地域社会との交流

国際情報専攻 4期生・修了 長谷川 昌昭


プロローグ
団塊の世代の大量退職が始まって暫く経つ。
夫は勤め、妻は子育てのライフ・スタイルは、我が国の一般的スタンスとして地域とは没交渉の夫族は、多数派である。
御多分に漏れず我が家もそうである。
他方 勤めの傍ら地域活動を積極的にこなす方々も居る。子育てを終えて、勤めを終えて地域活動に参加・参画する方々の割合が多いのも実態である。
自営業の方々は、平素の活動を通じて地域活動は不可欠である。勤め人は、その殆どが務めが多忙を理由に地域活動には、あまり関心を払わないのが団塊の世代以上の年齢層である。従って 中高年雇用促進を声高に政府が叫んでも、厳しい経済情勢下の現在は、以前の好況時代とその様相を異にして、再就職は厳しいのが現状でもある。
一定以上の貯えがある方々は、地域活動へ携わることは収入よりも達成感と貢献度にその生甲斐を求めているものと忖度するものである。

1 地域の国際交流協会へ参画
 我が居住地東村山には、連綿と先達の方々が築きあげた国際姉妹都市提携の国際交流親善活動をする「国際交流協会」は、本年30周年を迎えて、全国にある国際交流団体としても継続的で実質的な交歓活動を実施している実績を誇っている。
近所隣同志の暑気払いBBQ懇親会
十数年前に協会主催の英会話教室に触れる機会があって、現在は英会話教室のお手伝いを十年余続け、地域活動の一端を担いネィティブの先生と共に毎週水曜日の夜は、地域の方々の英会話教室に参画している。その間に交換学生米国ミズーリィー州の女子高校生を21日間ホームスティのホストとして受入支援も体験し、ボランテイア活動にも参画した。
当初は毎週水曜日の夜の確保はやや苦痛であった。継続する現在は習慣となって生活化している。通勤の駅・電車や市の行事とか本学大学院の修士論文の資料を図書館で渉猟していると思わぬ方々から、声を掛けられたり、丁重な挨拶を頂戴することがある。
この様な出逢いが充実した達成感に繋がるのかとも思うものである。
更に1964以降は、街角で地図や案内書と首っ引きの外国人には、積極的に道案内をするスタンスを継続して貫いている。

2 地域の自治会活動への参画 −初の隣近所暑気払いBBQ−
この地と隣接する同一町内の公社分譲低層マンションに10余年住み、200世帯余の管理組合の会計理事を1期1年を家内が主力で、総会で結果報告のみは経験があった。
その時期から、現在地居住は希求して実現した地である。
ご多聞に漏れず、我が自治会の町名は「青葉」でありながら、「下堀」の名を冠している。
発足当時の由緒ある名前を固執しているところに大変な友好的な地域活動と連携の絆の固くて善い住み易い街である。商店街と閑静な住宅街の基盤整備の精緻さが、町並みに品格を誇っている。東京の郊外の埼玉県に接する東村山市内の緑の濃い住宅地である。
自治会組織は、東京オリンピックの前年発足の歴史を誇り、上水道井戸から始まり、上下水道、道路整備、都市ガス整備、バス路線誘致、駐在所誘致等々で市の「環境美化推進モデル地区」の指定地区でもあり、阪神淡路大震災後は、他地区に率先しての自主防災組織も結成され、住民と行政の定期的訓練も継続している意識の高いことでも組織力は、抜群である。
その自治会組織活動の基は、総世帯数約2,000もあり、数年前に40年周年になった。年一回の総会参加者数は、所謂 委任状総会でなくて自分の町は、自分達での思想が根幹にあり、先達の方々の数々の施策評価と時勢即応の新方策とが融合効果的に運用がなされている。その安定運営の遠因は共同住宅としての賃貸アパートやマンションが極少ないことと地域安全拠点の青葉駐在の陰の功労を地域住民は忘れていないことにある。それは駐在所創設初代の勤務員の優秀性にあることは、自費での環境整備や受持区内スーパー強盗検挙や少年補導実績で年間2度の特別昇給該当者として評判の高い方である。先月の北海道洞爺湖サミットの後方警戒は、毎晩十数名の地域住民の方々はボランテイァ活動を積極的に推進する原動力となっている。この様に地域自治会組織は、住人が交互に輪番制での役員とその互選で選出の会長に協力する姿勢が不可欠であり、常勤の事務方を雇用可能な程に財政状況も良好で、同一町内から引っ越して20年余の体感からは、火災や災害と犯罪を抑止してきたことも、住民の絆の強固さにあると信じたいものである。
今年の夏は、記録的な猛暑であった。向う三軒両隣の所謂 班長グループ単位の長を務めるSさんの発案で、七月最終土曜日に初顔合わせの持ち寄りBBQ大会が開催の運びとなり、総勢世帯23家族が集った。
住宅街の幅5m程の私道に急造の椅子とテーブルは長年ボーイスカウトを育成しているFさんが中心にSさんと朝から準備、午後4-6までの時間に何とこの2ブロック23世帯の内19世帯の40名のパーティとなり、持ち寄り料理と会費タッタ500円で、焼肉BBQにビールまでと盛り上がりを見せた。
男性陣の殆どは初対面にも拘わらず隣近所の近隣愛に支えられ、時間制限の1分以内の自己紹介は時間オーバーでも和気藹藹と夕暮れの迫る迄続いた。中〆後は、全員で後始末は手際良く進んだ私道は、元通りに掃き清められ静寂な住宅街に戻り、翌朝の挨拶は「昨晩は有難うございました。」が狭い私道に響いていた。
この挨拶は地域安全と融和の最大のツールである。
挨拶は文字通り、=明るく(Cheerful)=何時も(Anytime) =先に(First) =続ける(Continuation)が肝要です。どのような方に対しても「あいさつ」です。先を越されての挨拶は、単なる応答です。機先を制しての挨拶程、地域のみならず仕事や交流の場でも、共通するものである。

3 地域の同好会への初参加
地域趣味の会での作品展示会
我が街には、多彩な同好の趣味を楽しむ組織が継続的で活発な活動を続けている実態は他地域からは、羨望と称賛の眼差しで見られている。
曰く 体力増進の会、民謡と日本舞踊の若竹会、グランドゴルフの会、囲碁クラブ、園芸・ガーディニング愛好会、青葉ゴルフクラブ、写真クラブ、手芸等々と多彩にある。その何れもは30年以上の長きに亘り、活動と地域の連携の紐帯の強化に寄与している。
同好の士のグループであるところから、行事の開催や会の運営は輪番制で自主的にボランテイア精神での企画が趣旨で、イコール・パートナーの精神で相互の立場を尊重しての日程の調整や男女の格差や年齢のハンディを克服しての理想に近い運営形態である。
斜向かいのKさんの勧めで、青葉ゴルフクラブの丁度30周年大会に初参加したところ、当日は20組80名の参加で、プレー後の30周年記念パーティにも参加を許されて、次回からは、「優勝も視野に楽しんで下さい。」と言われた。肝心の戦績はブービーの一寸前でした。次回は家内共々参加し、遅ればせながら地域の方々との交流に心がける所存である。
このクラブもご多聞に漏れず矢張り高齢化は進んでいるのが実態です。クラブ各会員は、既に退職後の方々や自営業の方々の中にも、既に勇退、悠々自適や次世代に禅譲した方が七割近くを占めている。
しかしながら、その彼等は「元はこうでした。」−元野さんや「前はこうだった。」−前野さんが居ない。とても現時点を楽しみ互いに褒め合う雰囲気の素晴らしい仲間でした。次回の参加が待ち遠しい昨今ある。
舞い上がったアプローチショットを見上る同伴者
プレー中や昼食時そして30周年パーティでは、私は初参加にも拘わらず仲間は、生涯の朋友の如くに、親密な会話と所作には感激した。その根底には仕事ではなく、地元の仲間だから、気を許して「裃を脱いで」の付き合いが、快適で癒しを与えてくれる雰囲気に溢れていて、その後の町内での出会いは、「アプローチが良かったすね。」「初参加でも今後も仲間になって!」「奥さんもゴルファーだそうですね、次回は是非。」と友好善隣の輪が気持ち良く広がりつつある。


エピローグ
居住地の家庭以外の外の活動には、無関心で20年余を過ごしてきた。当然にその代役は、子育て中の家内の専従で輪番制の役割は果たしてきていた。
現在地に転居してきた時期には、我が家の前の私道は、未舗装だった。子供に土の感触を味わせたい、私道舗装に市側の助成金交付を受けると私道含みの土地評価が削減される、車両保有者は私道舗装分担金に比例すべき、議論百出で纏まらなかったのを新参者の私が、しがらみを断ち切っての公平負担と市助成金配分の公平性を柱に提案の上、合意に達して私道舗装完工した。
前項のBBQの折の自己紹介で「私道舗装」に触れたところ、近隣の方々は待ち望んでいたことが判明し、主宰者からは、その功労が大との思わぬ評価には驚きと面映ゆい思いをした。当時は居住者の合意に達するには意外に時間を要して市側との折衝の期限との絡みから、永住の地で恨みや嫉みを背負っては、と一時は中断の事態もあったのを完遂し、良かったと思うと同時に再補修の問題は、現在の行政財政状況の逼迫と居住者の高齢化による負担増忌避の問題が喫緊の課題である。と考えるとビールの味は一層ホップが効き苦味が増し思わず空を仰ぎ見て一人考えさせられる思いをした。
今後も、決して奢らず、衒わずに加齢と共に変化するライフスタイルを素直に表現し、大学院での研究と地域・社会、そして家族への些かの貢献と現在 教鞭をとっている千葉科学大学の危機管理学部の学生の要望に沿った自己表現を継続する所存である。
“天はピンチを克服出来る者のみにしか、ピンチをチャンスに替えない。 “ 



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