CEOの誠意
―世界のメガキャリーCEOと世界一超旅客機の部品を支えるCEO―

国際情報専攻 4期生・修了 長谷川 昌昭


はじめに
講演後に元NWA Richaed H,Anderson 現Delta CEO
早々のリスポンスには驚きました。ありがとうございました。
電マ16号「Amtrakの旅とJRそしてCEOの方々の誠実さ 4 CEOの心意気」で紹介した講演終了後に再会を果たしてNWA CEO Richard H. Anderson氏とのことです。
2004年5月19日東京港を望むホテルインターコンチネンタル東京ベイの5階ウィラード・ルームおいてACCJ(American Chamber of Commerce in Japan)1の昼食会に夫婦で招かれた時の状況です。
同氏は此の度、メガキャリアのCEOへの就任が決定し、このニュースは、昨年来世界の航空業界ばかりか、世界の競争情報界の注視の的でした。私は去る4月16日旅先の米サンディエゴの地元紙ユニオンで知り、早速祝電Faxを打電しました。

1 CEOの心意気
その当時のCEO Richard H. Anderson氏の講演から次の諸点をCEO乃至はそれに準ずる面々から心意気として学び、その後も体験の都度、検証、実践に取り入れている。
@ 当時の聴衆約300名は、熱心に微動だにしない、緊張感溢れる素晴らしい態度で、流石は超一流のCEOの国際ビジネスの最前線の感触でした。
その後に数回の国際会議でも体験したのは、目をみて聞く態度に徹することである。
A 聴衆の七割は日本人以外の方で、私の隣はオーストリアのDieter Haberl氏で、7年の在日暦を有し、英、仏、独、伊に日本語も大変に流暢で、私は一層の英会話能力の必要性を感じました。国際的に活動する方は、当然に駐在国の文化、言語、習慣に通暁することが肝要である。
B 昼食後の講演は、睡魔に襲われるものである。しかし、それは皆無でした。それは講演の内容の重要性とそのビジネス感覚が、国際競争には必須と感じました。当時、同一テーブルの向かい側の米BoeingのVice PresidentのTimoth E. Strait 氏は、私共に講演開始以前に先に名刺を出されて、それも日本文字の両面刷りのものです。今後は両面刷りが常識で、私も警視庁広報課課長代理職の時から実践し、現に必ず、Nihon Univ GSSCとM.A.I.P.S.Eと記載している。
C 左斜めの席に位置し熱心に聞き入っていたのは、エーシーニリセン・コーポレーションの代表取締役社長Lennart .Bengtsson氏で、矢張り両面刷りの名刺にURLとPhone やFaxの記載の名刺でした。名刺は両面が当然で、その他にURLとPhone、Faxは不可欠条件と感じました。その際に外国人に渡す場合は、+81の国際識別電話番号も付記するのがビジネス・マナーである。
D 聴衆の外国人は、講演の内容には決して頷かない。しばしば日本人に見られる半眼を閉じた聞き方も無かった。これは後刻、質疑の際に、あの時は頷いたではないかと言われぬためのディベイト的作法かとも考えさせられた。目を見て聞いているよそ見をしない聞く態度は、グローバルスタンダードとお見受けしました。
それとあまりメモしない。この程度は覚えられる、この程度も覚えられないのか、メモをするとセッション内容の関心度合いが漏洩する、プレゼンターとマジョリティのミスマッチを露呈する。ボールペンスタイルのレコーダーを忍ばせているので、聴衆の感触を把握したいのでメモはしない。などの答えは数回の国際会議での感触である。
E 良く見かけるシーンだが、質疑の段階などで、ホテル側が質問者にマイクを渡す時期がやや遅れた時に、NWAのCEOのRichard H. Andersonは素早くメモをした。 間髪を入れずに、NW日本統括目代社長はそのメモを直ぐにホテル関係者に伝えていた。、しばしばこのような会場で、質問者の発言がマイク手配不備で、頓挫することの幣を見事な連携プレーで見事に即応した好事例と受け止めた。
マイクは電気製品なので、電池切れや不具合故障は、予想内とするリスク管理としての予備の予備の機器と対処人員への気配りは、この種セッションの初歩的注意事項である。

2 世界最大に
此の度の合併劇は、Delta2とNWA3であるものの、その比率や存続会社か否かは、在籍者の処遇に激烈なインパクトがあり、当然両者に労組があれば、その主導権は商法上の存続会社決定協議以上の論戦がある。拙い体験だが、数年以前の所謂金融ビッグバンの際には、証券会社の五指以内の組織合併時の総務・人事部長を体験したので善く分る。
氏は、以前NWAの代には、リストラ旋風の以前で、その陣容は確か7万9千の体制であったと記憶している、年内にはDeltaが存続会社となって陣容は、7万5千の最大規模となっても、揺るぎない指揮統率を期待したいところである。
昨年DeltaのCEO就任の報に接して、日本では当時はアトランタ便1本で、あまり馴染みはないものの、日本支社を訪ねた際の対応は、丁寧な中にもセキュリティが行き届き、情報開示も的確で、感銘を受けたことがある。
米航空業界は燃料高騰の中に規模拡大によりコスト削減を図り競争力を強化している。両社の米国内線、国際線に競合路線は少なく、相互の補完関係にシナジー効果が見込めると素人目にも解るところから、世界的な航空再編成の成就を祈念するものである。
氏は、首都ワシントンで法律を専攻、連邦検事からNWへ転身、健康関連の全米規模の組織のトップから、再度Deltaの航空業界に華麗に舞戻ったキャリアから、メガキャリアとして乗客減少策に秘策があるものと確信するものである。

3 最新鋭機エアバスに特殊鏡を供給した町工場長CEO
  −不思議なFFミラーと発明者の出逢い−
特殊凸面鏡が世界一の超大型旅客機に
 
3/26日成田〜シドニー吾カバンを映すコミーミラーQA#136 Airbus 320-400
5月20 日初飛来超巨人旅客機AirBus380の頭上荷物室確認装置4は我が国の非上場会社の製品である。
この製品との出逢いは、一昨年にFIFAの日豪サッカー観戦にドイツのシャッルッガルトへのVIP弾丸ツアーという全行程ビジネスクラスだが、日本―香港―シンガポール―ドイツ―シンガポール―シドニー―日本の機中三泊ホテル三泊での、帰途のシドニーからのQantas航空のAirbusのビジネス席の頭上荷物収納室内の光る鏡でした。
エアーアテンダントの説明は
「この鏡はとても乗務員と乗客双方に、時間節約と貴重品置忘防止に大変役立つもので、貴国の方の特許で、世界の有力エアラインは装備しています。」と教えられた。
帰国後にやや注意深く興味を示していると昨年半ばに日経の全面広告で紹介、今年の元旦の朝日の「ひと」5で小宮山栄社長が記事になった。
「紀行」記載の豪州への旅の企画立案が粗整った二月末に、再度Qantas豪州路線でFFミラーとの出逢いを想起し、同氏に連絡したところ、2月28日に丁重な案内を頂戴する結果となり、3月21日に同氏を同工場に訪ねた。
世界企業のボーイングの目に留っただけの価値ある製品は、どのような規模の社屋かと一昨年シアトルのボーイング博物館で膨大な施設を一日かけて見学してきたので、期待して行った川口の工場社屋は、決して大きくはなかった。約束時間前に到着したので、暫く眺めていると女子社員が二階から降りて、玄関の張り紙を丁寧に剥がして何度も角度を変えて、点検する仕草が目に留まった。
期待に違わず、社内は、案内、表示、調度、従業員の起居そしてトイレまで、総て端正、清潔整頓が行き届き、「世界に通用するモノづくり」とボーイングの仕入部長が感心した誠心誠意の対応に納得出来た。
約1時間のブリーフィングは専務立会で行われ、将来 危機管理的見地から、また費用対効果の面からも「航空業界参入物語」が他業種に拡大するとの確信を抱いた。

4 終章
 組織のトップは毅然と誠心誠意な対応で法令遵守を堅持し、収益を挙げ、地域社会に貢献することに腐心している様は、スティックホルダーに伝わり、成果に結実すると信じたいものである。
 「それをやりに俺は生まれてきた。そのことだけを考えればよい。」
   キーウエストのヘミングウエー博物館で見たヘミングウエーの言葉


【注】

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