産業・組織心理学会 第23回大会 報告

博士後期課程 山田 智之

 2007年9月1日および2日に、明治大学駿河台キャンパスにおいて、産業・組織心理学会第23回大会が開催され、田中ゼミから4名の研究生全員が研究発表を行いました。

栗田淳二さん 「ケア職員の勤務意識に関する研究」
 栗田さんの発表は、ケア現場の最前線ともいえる特別養護老人ホームで働く職員がスーパービジョン(ワーカーやカウンセラーの業務遂行能力を向上させる教育訓練の方法)が、勤務意識に与える影響について、スーパーバイジー尺度開発することを目的として行った研究であった。研究の結果は、スーパーバイジー尺度の下位尺度として、管理的機能、教育的機能、支持的機能の3つの機能があることが見出され、実践面において複雑に3つの機能がからみあいあっていることを示唆するものであった。栗田さんは、今回の調査対象が、ケア福祉サービスを対象に行ったが、今後は様々な業種を対象にサンプリングを集め研究をしていく必要性を熱く語っていた。
 少子高齢化が進む中、誰もが関係をもつ可能性が高い職種を対象にした研究であるだけに、非常に興味深い研究発表であった。
写真1 栗田淳二さんによる口頭発表

村橋卓也さん 「組織のチームワーク・プロセスの規定要因の検討」
 村橋さんの発表は、組織の「チームワーク・プロセス」の規定要因を検討することを目的に行われた研究であった。村橋さんは、自己の研究において、先行研究の中では明らかにされていなかった「同僚間の文脈的業績」が「チームワーク・プロセス」に影響を与えていることを見出し、組織の「チームワーク」を高質なものとしていくために重要な視点であることを強調されていた。
 組織の中で働くものとして、「チームワーク」というものを再認識する、非常に興味深い研究発表であった。
写真2 村橋卓也さんによる口頭発表

山内柳子さん 「女性派遣社員の評価に関する研究〜コンピテンシー尺度を使って〜」
 山内さんの発表は、職種により異なる能力が求められる派遣社員の最適な人選をするために、求められる派遣社員を理解し、公平な給与算定をするために、派遣社員の能力を適切に評価することを目的として行われた研究であった。山内さんは、派遣社員とは「職能(スキル)を派遣する」ことではあるが、自己の調査の対象である事務系職種においては、テクニカルスキルの他に、ヒューマンスキルも求められる能力と考えられること、派遣先からの評価が、派遣社員のコンピテンシーに影響をおよぼしていることを示唆し、さらに質疑応答のなかでこれからの派遣社員制度への考えを熱く語っていた。
 これからの社会の中で、注目される働き方の一つであるだけに、山内さんの発表は非常に興味深い研究発表であった。
写真3 山内柳子さんによる口頭発表

江頭尚子さん 「高等学校の生徒集団の特性が教師集団の特性に及ぼす影響」
 江頭さんの発表は、高等学校における生徒集団の特性が教師集団の特性に影響を及ぼすことを明らかにすることを目的として行われた研究であった。江頭さんは、生徒集団の特性を進学校と実業校に分けて研究を進めた結果、教師に求められる能力が異なることを明らかにした上で、進学校でも実業校でもその特性に応じて教師によるきめ細かな対応が求められると述べた。
 これからの社会を担う人材を育成する場の教師と生徒を対象にした、江頭さんの研究は今後の教育の在り方を考えていく上で大変興味深い研究であった。
写真4 江頭尚子さんによる口頭発表

 今回発表された4名の研究生に共通していえることは、それぞれの職業実践にもとづく実証研究である。「片手に実践、片手に実証」という研究の本質をとらえた生きた発表であった。

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