在校生、修了生を訪ねる 〜修了生・長谷川めぐみさんの職場訪問記〜

人間科学専攻 8期生 池谷 博美

 2007年8月31日〜9月2日に我が眞邉ゼミは札幌でゼミを行いました。前回2月の沖縄ゼミに続く地方ゼミ第2弾!
 札幌ゼミでのメインイベントは3つ。「面接ゼミ」、「北海道の美味しいモノを満喫」、そして今回ご報告する「修了生の職場訪問」。札幌ゼミでは修了生の長谷川めぐみさんが勤めている大学をゼミの会場としてお借りすることになったので、眞邉先生のかねてからの念願であった修了生の職場訪問を実現できる運びとなったのです。普段のゼミでは見ることのできないゼミ生の「仕事の顔」を見ることができる機会だったので、参加する私たちもとても楽しみなイベントとなりました。まるで社会見学に行く小学生の気分デス♪

 長谷川さんが勤める天使大学は看護学科と栄養学科に分かれていて、長谷川さんは栄養学科の助教として主に給食経営管理論実習を担当されています。今回の職場訪問では、給食経営管理論実習について紹介していただきました。給食経営管理論実習は2年生の授業に組み込まれています。栄養士の資格を取得するためには100食以上の食事を作る実習が必要なのだそうです。
 2年の前期には実習の計画をたてたり、講義を受け、後期になって実習を行うカリキュラムになっているそうです。実習を行う学生は100人くらいで、10グループに分かれます。このうち栄養士役、調理員役それぞれ10名ずつに分かれて実習は行われます。

 実習室は、下準備をする下処理室と料理を作る主調理室とに分かれていて、その他に調理室に入る準備をする前室があります。まず、前室で白衣・実習室用の履物を着衣し、手洗いをします。そして実習室に入ります。
 調理実習というと、下ごしらえから「作る」作業のイメージだったのですが、この実習では業者さんからの材料の納品、検品から行うとのこと。こういう所から実際の現場に即して実習を行うことになるほどと思いました。
 検品した食材は皮や芯・種などの食べられないところなどを廃棄します。そして廃棄した量もきちんと計算するそうなのですが、料理などをまだあまりやったことない学生さんもいるため、廃棄の量の目安が表になって壁に貼られていました。学生によっては多く切りすぎてしまったり、予定以上に廃棄をしてしまうこともあるので、これで過量の廃棄にならないようにしているそうです。
 下処理室では、野菜のどろを落としたり、皮や芯・種などの食べられない部分をとったりします。ですので、そのための設備やアイテムがいっぱい。
 まずはピーラー。私たちの身近にあるピーラーは片手に収まるモノですが、ここにあったのは、業務用の掃除機のようなでかいモノ!ジャガイモやニンジンの皮むきなどに使うそうなのですが、中がヤスリのようになっていて水を流しながら野菜を入れると、皮がこすり落とされていくそうなんですっ。そしてその隣にはピーラーよりも一回り大きいバケツのようなアイテム。洗米機です。お水を流しながらお米を入れるとぐるぐる回り、ぬかなどが落ちていきます。1回に4〜5キロのお米を洗米できるそうです。5キロのお米って何人前くらい炊けるのでしょう・・・想像がつきません。長谷川さんに伺ったところ、12キロで大体150人前くらいになるそうです。数字を聞いてもこれはこれで想像がつきません。これらの他にかぼちゃなどの固くて危ないものを切るための機械もありました。また、下処理室の水道からは強酸性水がでるように設備されていて、野菜の消毒などをすることができるようになっていました(以前は塩素消毒をしていたそうです)。このように学生たちが安全かつ効率よく実習ができるようにアイテムの導入を考えるのも長谷川さんたち教員のみなさまのお仕事だそうです。

 基本的に下処理室では汚れているモノを扱うため、主調理室に入るときには履物を履き替え、手洗い消毒をしなければなりません。わかりやすいように床が色分けされていました。素人は言われないと気づかないことですが、教えてもらうとなるほど納得なことばかりです。
 食材を主調理室に運ぶ度に、毎回履物を履き替えたり、消毒をしていては大変です。そこで設置されていたのが、パススルー冷蔵庫!下処理室と主調理室の境のドアの隣に、両方の部屋をつなぐ冷蔵庫があるのです。処理が終わった食材はここに入れることで、人が運ばなくても主調理室から取ることができるのですっ。上の段に野菜、下には野 菜以外のものを入れておくように決められていました。
 まず釜は回転がまとブレージングパンが設置されていました。1〜2歳児が入って楽しめそうな大きさです。どちらも基本的な使い方は一緒のようです。煮物や炒め物・スープを作ったり、油を入れて揚げ物をしたり、焼き物以外はなんでもできてしまうすぐれものです。ブレージングパンの特徴としては釜が平らなため、煮物などの煮崩れが心配なものに適していること。逆に回転がまの特徴はドライ式であること。釜の底に排水溝があり、どっこいしょと水を出さなくてもいい仕組みになっています。
 そしてオーブン。スチームコンベクションオーブンと言うそうなのですが、私たちの思考で分かりやすく言うなら「ヘルシオ」みたいなものだそうです。焼くだけだと固くなってしまうものもスチームを用いることでふっくら仕上げることができたり、素材の違う野菜(ブロッコリーや人参などなど)を調理するのに便利っ。そして、その隣もオーブンかと思っていたら、こちらはブラストチラーという機械でした。熱いものを冷却する道具です。例えば、ポテトサラダとか、固まりにくいゼリー(ゼラチン)とかを冷気で冷まします。実際に冷気を出してもらいましたが、かなりの勢いでした!ちゃんと素材の中心温度を測る温度計も付属されています。

 主調理室の隣は食堂になっています。主調理室と食堂は特にドアなどはなく、大きい会社の食堂のような感じでつながっています。
 実際に作ったものを食べるわけで、そうすると片付けも必須。パントリーも社食のようになっていて、食べた側からは軽く食器のよごれを流せるようになっています。そして溜められた食器はお湯で洗浄し、消毒保管庫にしまうそうです。

 このような流れで実習を行うそうなのですが、これをテキパキとやるにはやはりかなり時間を要するわけで、1年かけてこの実習を修了するというのは納得です。献立をたて、誰がどのように動くかまで学生たちで相談し、また技術的なことも各々練習しなくてはなりません。
 こうやって学生たちが頑張って実習を行うと並行して、長谷川さんが取り組んでいらっしゃるのは、学生たちが考えた献立をサイトでアップして、一般の方々に見てもらおうという取り組みです。「天使の給食」というタイトルのこのサイトにはこれまで、学生たちの献立・レシピが紹介されています。献立内容もさることながら、献立のタイトル、そしてその看板にもすごく工夫がされていて、見ていてとても楽しいサイトです!
 私たちはサイトを見て、自分たちの食事の献立の参考にできますし、また作っている学生も一般の方がみることによって刺激を受け、また新たなアイデアが出るきっかけになるのだと思います。

 長谷川さんは現在「天使の給食」の運営や作り方について研究を続けられています。今回の職場訪問によって、今まで聞いていた長谷川さんの研究がよりクリアにわかるようになり、職場訪問後の面接ゼミでは、今まで以上に興味を持って話を聞くことができました。

 修了生の職場訪問は今回が初めてでしたが、とても楽しくためになる企画で、ぜひまたやってみたいと思いました。
 次回もあることを今から楽しみに・・・そして次回もおいしいモノツアーとの抱き合わせで、ゼヒゼヒ行いたいものです☆

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