第4回 日本国際情報学会 大会

国際情報専攻 2期生・修了 情野瑞穂/村上恒夫

 10月27、28日の両日にわたり、日本国際情報学会(http://www3.ocn.ne.jp/~bin-go/)の大会を行いました。 今年のテーマは『国際情報の必要な時代』。私どもの学会は、すこし変わっているかもしれません。 学術の動向として“スペシャリスト”が望まれるこの時代に、“ジェネラル”な研究基礎も重視します。各会員による研究を国際情報というワードでつなげ、横断的情報交換をしています。そのため、大会での発表の内容は、これが1つの学会か!?というくらいにバラエティに富んでいます。毎年、大会のたびに、自分自身の研究が他分野と思われるような研究のある部分とつながり、新たな発見ができるのも魅力になっています。
 では、その大会のもようをざっとではありますが、報告させていただきます。
 会員による一般発表の多くは2日目に用意され、1日目は、講演が2枠、会員による発表が3枠です。

大会1日目(土曜日)日大市ヶ谷会館601A号室
 当日の夜には台風上陸という予報が出ており、朝から雨模様。大会は午後スタートでしたが、すでに風が出てきていて、市ヶ谷駅から延びる並木道では、葉が大きく揺さぶられ、落ちて、道の端に溜まり始めています。会員の参集具合はどうだろう?案じつつ会場入りすれば、既に多くの会員でにぎやかな様子。「やあ、元気か?」「がんばってるね〜」などと、久しぶりに会う仲間同士の会話が飛び交っていて、ほっと胸をひとなでしました。
 毎回ながら、いかなる万障をも横において駆けつけてくれる会員の皆さん、とくに遠方から飛行機や新幹線をつかっての参加には、大会実行委員として、うれしい限り。苦労の甲斐があるってものです。

 トップを飾るのは五十嵐雅郎先生の講演。テーマは「経済環境の変化と産業界の対応」です。とにかくグローバルに物事を考えろ、そうしないと損するぞ!確実に状況は変化している。これからの時代は「政策と経営」なんだ。気の利いた企業は既に状況判断し変化しているのだ。ダラダラするな緊張しろ!いつもながら、先生、熱いです。熱すぎます、焼け焦げます!(ん??筆者の方が熱くなったかも!?)。先生、これからもよろしくお願いしますよ!先生の熱い闘志を分け与えてください!
 五十嵐先生は、本学でのご指導を続けながら、英国国立ウェールズ大学大学院日本校の教授にも就任されるご予定です。これからの日本には、きっとすばらしいMBA取得者が続々と誕生することでしょう。
 続いての講演は、階戸照雄先生。フランスへ研究旅行されたばかりとのことで、とてもホットなデータを盛り込んでの「フランスのファミリービジネス」。日本のファミリー企業についても十分紹介され、昨今のニュースを賑わせている食品企業の名もいくつか聞こえて、ぐっと引き込まれる内容となっていました。
 日本では“同族企業”というと、そうしたモラルや経営体制の甘さに通じてしまうイメージがあります。しかし、実は、日本のファミリー企業は、海外からは大きな評価を得ているのだそうです。とくに、全世界的にみても歴史の長い“老舗”が多いということで、リストを資料にしてくださいました。温泉好きの私としては、1,300年ほど続いているという山梨県西山温泉の慶雲館に、ぜひ訪れてみたくなりました。

 会員による発表は、まず、星亮一氏の特別発表から。星氏は、皆さんご存じの歴史作家、会津研究で名の通った方です。先日はNHKの高視聴率番組『その時歴史は動いた』にご出演されていました。昨年は榎本武揚の開陽がなぜ沈んだのか、という発表の中で、沈まなかった場合の、函館との政府連立状態の可能性を話されていました。今年は「彰義隊始末−彼らはなぜ戦ったのか」。彰義隊の活躍次第では、薩長の軍備の多くを上野にとどめることによって、会津でもっと善戦できたのではないか。そう語る星氏からは、会津への愛情が感じられます。
 彰義隊から、なぜか江戸っ子気質についての話と移行し、質疑応答も楽しい時間でした。

 しかしながら、ちょうどこの翌日は「長州・大江戸 スタンプラリー」が開催されていて、江戸の中の長州を巡る旅として、日大市ヶ谷会館がスタンプ場所に選ばれていました。長州の維新志士からは大学創立者が多く出ている、とのことで、本校もポイントの1つとなっていたわけです。
 風一過の青空の中、日大会館には、リュックを背負ったウォーキングを楽しむ方々が多く訪れていました。同じ場所で、前日に、やれ薩摩はナンだ、長州はもっとヒドイ!などとやっていたとは、もちろんご存知なく・・・

 その後の一般発表は、村上恒夫氏と高橋健太郎氏です。
 村上氏は、そのご職務経験から「文字と数字の情報伝達−防災情報の視点から」について発表くださいました。ちょうど、新聞やテレビで、荒川土手が決壊した場合の被害予想が発表されたばかりで、川口市に住む私には他人事ではありません。村上さんも、その最新データを盛り込んでいました。銀座では水位2m!とか。イメージしづらいほどの大打撃となる試算がされています。記録的な集中豪雨で、中野など首都圏のあちこちで洪水による被害が出たのは、記憶に新しいこと。怖いです。。。
 防災の現場から、刻々と迫り来る現況をどう文字や数字にするのか、また映像ライブ配信についてなど、その問題点などを発表くださいました。村上さんは、実際、職場では2台のパソコンに向かい、監視活動を行っているそうです。1台は防災、もう1台はご自宅のネコ。どちらが監視すべき最優先事項なのでしょうか・・・はてさて。
1日目最後は、高橋健太郎氏による「沖縄密約とジャーナリズム」。うわ〜きましたか!?さすがは社会派高橋さんです。ご存じのとおり、何やらすっきりしない判決のあと、どのような発表をするのでしょうか。
 35年前、“国民の知る権利”と“言論、発表の自由”をしっかりと認識していた、1人の新聞記者がジャーナリスト生命を絶たれました。国による情報統制。それに真っ向から戦い挑む裁判は、様々な反響、意識喚起、論争を起こしています。なぜ、真実を伝えようとした記者だけが処罰されるのか?
 沖縄密約はほんの1事にすぎません。表沙汰(文字通り、“沙汰”)にはならない、情報操作、虚偽説明。密約は密約だけに表にしてはいけないものなのか?多々考えさせられる発表でした。

 このあと、懇親会へとなだれこみます。しかし!外は雨!風!かぜ!
 なるべく外を歩く距離が短いようにと設定した懇親会場ではありましたが、ほんの5分足らずの距離が、つむじ巻く風におどらされて、長くなり、その分、雨にぬれます。祈祷師のように傘を振りかざしながら店に入ると、そこからはとてもホットな時間と場所となりました。
 そして、店を出る頃には、雨も風もだいぶ弱くなっていました。ありがたいことに台風は逸れてくれたようです。

大会2日目(日曜日)日大市ヶ谷会館203号室
 前日の深酒(したらしい、記憶が1軒目の後半から無い!2軒周ったらしいのだが。。。。。本当に私はいたの?その場所に??)が残り、朝から酔っ払い状態で開始。
 今回の実行委員長木村栄宏氏の「大学生のキャリア形成」の発表は、各大学で試まれている大学生のキャリア形成を踏まえた上で、ご自身の所属される大学(氏は千葉科学大学准教授)を例に取り、実際面でのキャリア形成の取り組みを発表されました。学生消防隊の話は最高でした。
 そして、今回の発表の為にわざわざ大阪から飛行機で駆けつけてくれた坊農豊彦氏の「企業における個人情報保護の生成」の発表は、個人情報を保護する為の新しいシステムについての発表でした。データの流れをアニメーションでわかりやすく説明してくださいました。企業にとって個人情報の保護はお金のかかる、頭が痛い問題なんですよねえ。うまく処理すればかなり楽になると思います。個人的な興味もあり、実行委員の端くれという立場を忘れてしまいました。反省!

 ここで、午前の部終了です。参加者と情報交換、名刺交換しながら昼食です。まだまだ酔っ払い、坦々麺がやさしく暖めてくれたって?坦々麺って辛いじゃないかああ!!汗だく、しかしお酒が抜けました。

 さて午後の部です、危機管理、テロ対策と言えばこの人しかいません!長谷川昌昭氏の「連続する英国標的のテロへの対応からの訓えを踏まえ空前の渡航者増加傾向への留意事項の提言など」です。氏は言わずと知れたその筋の専門家、大学で危機管理関係の学生に教育の為に教壇へ立つ時もあります。大いに興味がそそる発表でした。しかし、長谷川さん、隠密行動のスカイマーシャルへ身分を問い詰めるのはご遠慮くださいませ。
私が在籍したゼミの後輩で乾ゼミの知性派、情報社会における表現の自由と言えばこの人しか語れない大テーマです、安保克也氏「情報社会における表現の自由」、いつのまにか大阪国際大学の准教授。学生相手に熱弁を語られていることは、先日の発表を見て想像に難くありません。「思想の自由市場」は氏のゼミ時代からの研究のキーワードです。これからも表現の自由を守る戦士として、ご活躍祈念しております(ああ、同じゼミ出身だと紹介が偏る!)。
 一般発表の最終発表はこの方に締めていただきました。リクルート誌には写真付きで紹介されていましたね、中国事情と言えばこの人、青山周氏「環境を制する者が中国を制する」です。中国版スター誕生で327万票獲得した女の子可愛かったです(話大それですが)。今では環境破壊の代名詞になってしまった感のある中国にはたして救いの道はあるのでしょうか!?報道されるセンセーショナルな内容とは別の最新中国の環境への取り組みをご紹介くださいました。大変有意義でした。

 どれをとっても、意欲的で考えさせるテーマでの一般発表が全て終了し、熱い余韻が冷めるまもなく、最後にすごく楽しい、そして、今ここにいなければ聞けない、来場したことを神様に感謝する気持ちが湧いてくる話で今回の研究 大会は終了でした。それが寺井氏の特別発表でした。
 みなさん、電子マガジンの連載が出版されました!
 出版した本に書けなかった、あんな事やこんな事!!
○○代議士の■■は◆◆でしたか!!!
☆☆党はそうだったんだ!!!!
★★党はそんな活動を!!!!!
特別発表!寺井融日本政治の現状と問題点−『裏方物語』に書けなかったこと」
当然、ここにも書けません!申し訳ございません。参加者のご褒美と御納得くださいませ。
この本です。
裏方物語
Jihyo books
寺井融 時評社 (B6 )  2007年10月 価格:1,260円(税込) 
 最後に、木村実行委員長と近藤会長の挨拶で、無事今回の研究大会が終了しました。

 えっ?勿論行きましたよ。お疲れ会はお寿司屋さん。しかし、なんで我々は寿司屋で寿司を頼まん???? 記憶はちゃんとあります。

 楽しい、そして新たなる研究心に火がつくような2日間でした。

 研究するぞ〜〜〜っ!(メラメラ←闘志が燃える音です)

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