ホノルルポリスと10年目に遭遇・遂にマイアミから電子マガジンへの返書受信

                       国際情報専攻 4期生・修了 長谷川 昌昭

  
1 社命による出張が齎した偶然の出逢い
   −「のぞみグリーン車」末席での偶然の出逢いに感無量−
 それは平成19年1月29日(月)のぞみに東京駅で飛び乗った旅がキッカケでした。
 前週に勤め先のJACCSの大阪支社と打ち合わせの過程で、直に逢って話し合う方向で日帰り出張となった。前職時代に大阪出張は頻繁にあったし、前々職時代も行っていたので左程苦にはならず、東京駅に昼前に到着した。みどりの窓口で席は、グリーン2席以外は総て満席状態だった。新幹線は11:33分に定刻発車した。幸いにも通路側は新横浜からも乗車せず、ゆったりと熱海にかけて、昼食を採りながら持参の本に目を走らせていた。反対側座席は日本人女性を連れた相撲の小錦に似た外国人で棚には150万円相当のヴィトンの旅行鞄がのっていた。その程度の認識で丹那トンネルを過ぎた辺から、現在手掛けているWPFG (注)関係の英書を辞書と首っ引きで読み出した。その辺から隣々席の外国人が盛んに私の方を気にしている視線を感じるようになった。清水付近でその外国人は靴を履かずにトイレに向かった。ハハーン、航空機はビジネスやファーストの常連客だとの認識を新たにした。
 トイレから帰ると、彼は私の隣の空席に座り込んで、"May I ask you a favor ?" と尋ねてきた。そして引き続き"Have you ever been to Honolulu?"と聞いてきた。"Yes I have. I have visited Honolulu several times."と返すと、彼は巨体を窮屈そうに捻って尻のポケットから身分証明書を取り出した。Honolulu Police Departmentの IDだった。
 『私は前々警察本部長マイケルS、ナカムラの勇退祝賀式典に臨席の貴男方をワイキキのホ テルから会場のホノルル警察本部へ、ホノルル警察の一番の新車のパトロールカーで、お迎えにあがった者です。覚えていますか。』

平成10年1月14日Honolulu Police Department
平成10年1月14日Honolulu Police Department 2階の勇退退役式場
Office of the Chief Information Resources Sectionの
Gary K.Lahens(左)とDavy Tantel(警部補)警察本部長秘書長(右)
(Tantel警部補は平成16年(2004)6月前ホノルル警察本部の
Lee D.Donohue警察本部長退役祝賀式の際は、警部に昇進していた)

 
2 偶然の遭遇に至る経緯
 一瞬に記憶装置を逆回転させたところ、平成10年2月11日に米国ハワイ州ホノルル警察のマイケルS、ナカムラ・ホノルル市郡警察本部長の勇退祝賀式典に招ばれた時、同警察本部の576マイルしか走行してない新車のパトカーで、私共をワイキキのカラカウア通り面したアウトリーガオンザビーチに迎えに来た方と想いが回りあいました。
 10年近い歳月を経ても覚えてくれていたので、当方はとても嬉しかったし、彼が隣の同伴の女性(旅の疲れの所為かで休んでいた)の頭越しに盛んにこっちを視廻していたのは、キット彼も記憶を再確認のための所作であったことで謎が解けた。貴方の記憶力は凄い、素晴らしい頭脳を持ち主だと握手し再会を喜んだ。流石に静かなグリーン車は英語が解かる方々が多く、拍手さえしてくれたり、微笑みを送ってくれた。 
 差し出された名刺は、Lahens Designs Hawaii Inc. Gary Lahens Presidentと記載。当日帰宅後に往時の名刺には、「Honolulu Police Department Office of The Chief Information Resources Section」とホノルル警察徽章に2699の認識番号が記載されていた。
 彼はハワイから商用で中国とバングラディッシュを経てハワイへ帰国の途中で、成田からは飛行機は何れも満席で、急遽関空へ向かう途上の旅でした。再会記念にホノルル警察のオフィシャルキヤップ(警察制帽)を頂戴した。
 その後は彼の同伴者は休んでいることもあって、隣同士の静かなグリーン車内で小一時間程、旧交を温め確認した。
 先ず、彼は私のことをその後勇退祝賀式典に臨席者へのインタビューを地元TVでも観て印象が残っているとのことで、当方はスッカリ忘れていたものでした。
 勇退後のマイケルS・ナカムラ ホノルル市郡警察本部長はハワイ大学での教鞭の傍ら、持病の通院途中に昨年交通事故に遇って他界され、残念だと冒頭に伝えられた。4月にSCIP年次国際総会で渡米の予定もあり、是非墓前を訪れたい。
 彼は依然として、ホノルル警察職員で、現在は暴力団担当部署の刑事だと誇りを持って語っていた。私には理解が出来ず、内規の兼業禁止規定に反するのではとの質問に対しては、警察職員の宣誓義務を十分に尽しており、今の旅は、休暇を10日程取ってであり、Home Businessとして、父の代にフロリダからハワイに移住した時のお土産店を引き継ぎ経営にあたっており、ホノルルに来たら是非寄って下さいとのことでした。
 先年の平成16年(2004)6月21日に前ホノルルLee D.Donohue警察本部長退役祝賀式に夫妻での列席や6月30日退役式にも夫妻で臨席したこと(電子マガジン17号「15日間にハワイ2往復の旅」参照)を詳細に懐かしいそうに覚えており語ってくれた。
 「貴男方は国際友情のために15日間にハワイ2往復もしたので、ホノルルの多くの方は忘れえぬ方です。」「Lee D.Donohue警察本部長退役祝賀式では1,200名の出席者にDonohueからの紹介があり、ホノルルの超有名人です。」などの楽しい会話の中に列車は新大阪に到着し、"Have a nice trip!", "You too."と別れた。
 翌々日の水曜日の私の出社日には、交換した名刺から、JACCSの新宿パークタワー37階とホノルルが電話で結ばれ、無事にハワイに着いて仕事をしていると元気な声が 831Mile(6,130Km)の彼方から届いた。ハワイは午後2時とのことで東京は朝9時でした。
 弊社の岡近畿エリア部長からの案件がなければ、起こりえなかった遭遇劇に同氏に感謝し、何事も積極的に誠実に前向きに対処しようと再び心に誓った。

3 マイアミより電子マガシンへの返信
 経緯を簡記しますと、端緒は昨年米国のフロリダ州オーランドで開催のSCIP国際年次総会出席の途上にエギズィビジョンやコンファレンスが集中する4月末はホテルの確保が難しく、止むを得ずオーランド1泊後キーウエストに5泊して、再度オーランドの開催地へ戻る時のこと。フロリダ国際空港でレンタカーを返す際、道に迷っているところを白バイ警察官に返却口まで青色灯とサイレンで先導して貰い、降車後にお礼に向かうと、"Bye!!!"と華麗に手を振って颯爽と立ち去った姿勢に感激したものです。
 取扱時間は4月25日10:30とレンタカー・レシートから特定できたので、帰国後の8月9日にマイアミJohnF.Timoney警察本部長へ謝意表明の書簡を送ったところ、同本部長の指揮下の約38,000名の職員から、当該警察官のMotor Officer William Abrairaを探し出し、9月13日に拙宅宛に同警察本部の公式書簡で同警察本部長の自署入の懇書が届けられました。米国の公務員気質と世界的に有名な観光地フロリダを管轄する警察本部長の心意気に感激しました。外国人観光客誘致政策上の貴重な参考事例となると確信します。
 私は前々職で都と国の治安機関に身を置いておりましたので、MPDは警視庁(Metropolitan Police Department)と確信していました。実はMiami Police DepartmentもMPDです。
 この件と状況を昨年11月10日に警視庁の伊藤哲郎警視総監へ報告に参上した次第です。何処の国の行政機関のトップもスタッフの善行には、多大な関心を寄せていました。
 一警察職員を特定の時間から、然もシフトの異なる大勢の警察職員中から当該警察官を割り出したその誠意と実態を精緻に把握している指揮統率には、改めて深甚なる敬意と謝意を表す次第です。クィックレンポンスな世界観光都市マイアミ警察のトップとスタッフには学ばされる点が大いにありました。士は己を知るもののためには骨身を惜しまないことの指揮統率の根幹の精神を実践し、実証したケースと信じます。

機会はあらゆる努力の最上の船長である−ソフォクレス




(注)
 WPFG=World Police Fire Gamesの略称、1967年米国サンディエゴで南カリフォルニアの法執行官504名が16のスポーツ競技を競うことをロスのシェリフの提言で始まったもの。現在は世界の49ケ国から51種目の室内・外の競技をするために12,000名の警察、消防、税務、出入国管理、検疫、森林・国立公園管理、沿岸警備、麻薬薬物取締、国境警備等の法執行官とそれらの職種を定年若しくは勇退後20年未満の者が集う競技大会。
 その経済効果は1兆7千億円のイベントに成長し、2003バルセロナ大会では、警視庁の木村通利元警視が3日間連続の60歳以上のゴルフハンディ戦(B)で日本初の金メダルを獲得している。
 今次大会は豪州のアデレードで3月末に開催。既に10,000名がエントリーを済ませており、日本からは70名の選手団が参加予定。前々回のバルセロナ大会では、開会式に大統領が臨席し、空軍戦闘機のページェントで開幕し、大勢の同国行政、警察、消防にボランティアが支援する法執行官を讃える国民的な行事。開催国は欧米豪が主であり、本邦は未開催。


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