すっか、すねがだ、なじょすっぺ
− 『オープン大学院 in 仙台』 2006 −国際情報専攻 2期生・修了 三浦 悟
幕末、戊辰戦争でゆれる仙台を舞台にしたシェイクスピアの翻案劇、奥州幕末のハムレット『破無礼』は東北学院大学下館和巳教授が主宰する「シェイクスピア・カンパニー」の最新作で台詞は仙台弁によっています。
この劇団は、直接原作から翻訳、翻案した脚本をもとに、新たなシェイクスピア劇の可能性を模索し、その創造の過程で東北地方の歴史文化を掘り起こし、地方から文化を発信してゆくことをめざしています。(同劇団ホームページから転用)
「すっか、すねがだ、なじょすっぺ」は有名な“To be or not to be, that is the question”の仙台弁訳です。欅並木が紅葉した仙台市で11月4、5両日、「地域活性化は如何にあるべきか」を統一テーマに『オープン大学院 in 仙台』が開催されました。
小島勝衛研究科長(日大総長)のメッセージを携えた竹野教授をはじめとする教職員、全国各地や海外の在校生、修了生が多数駆けつけてくださいました。
また、学内関係者を上回る宮城県内外の参加者のお陰で企画は大成功と言っても過言でないと思います。第1日目は仙台戦災復興記念館で開催しました。
宮城学院女子大学助教授熊谷優克さんに『今後の地域金融機関のあり方』の演題で、新局面を迎えつつある地域金融と今後のリテール業務のあり方について特別講演をしていただきました。
在校生の発表者は2名。
柳澤 泉さん(国際情報専攻8期生)の『新しい社会システムの提案 ― 地域で暮らす喜びを創る ― 』は、地域の自立を目指した青森県内の取り組み事例を紹介しながら、地方で暮らすことの歓びをどうやって創り出していったらいいかについて。
柴崎 聰さん(博士後期課程3期生)の『サンチョ・パンサとは誰なのか ― 詩人 石原吉郎をめぐって ―』は、石原吉郎の代表詩「サンチョ・パンサの帰郷」の朗読を交えて、この詩中のサンチョ・パンサは誰なのかを探る、をテーマに。修了生は3名が発表。
森田喜芳さん(国際情報専攻6期生)の『日米子女教育体験』は、アメリカ駐在17年の経験からアメリカと日本の子女教育の違いなどについての紹介と生涯教育としての当大学院の良さについて。
柏田三千代さん(人間科学専攻6期生)の『医療における人間の尊厳 ― 医療・看護哲学を目指して ―』は、医療現場における「人間の尊厳」についてどのように考えていく必要があるだろうかということを。
村上恒夫さん(国際情報専攻2期生)の『災害に対する心構えと準備について ― 使わなきゃ損する設備や情報、宮城県沖地震などの自然災害に備えて ―』は、ITを駆使した防災システムの紹介と地震の多い宮城の方々に対する一般的な災害時の心構えを。最後は五十嵐雅郎講師が『21世紀のサイバー大学院』の演題で、当大学院の紹介とその成果や課題を踏まえて通信制大学院の有益性について講演し、締めくくりました。
それぞれの内容は統一テーマに必ずしも合致していたわけではありませんでしたが、いずれも興味深く、司会した私自身、久しぶりに在学当時の熱い気持ちが蘇えり、それぞれについて議論を交わせる時間を持てなかったことが残念でした。
2日目はハーネル仙台に場所を変えて、国際情報専攻4期生・修了の長井壽満さんが成都(中国)から司会をし、全国各地から各専攻生の参加によるサイバーゼミの公開で、改めてサーバー大学院の魅力、凄さを証明してくれたと思います。
私は今年3月までの3年弱、仙台市にいて東北6県で仕事をしていました。東北各地を回りながら地盤沈下、空洞化の現状をまざまざと見せ付けられながら、地域活性化について考えてきました。
今回のオープン大学院で発表者がそれぞれの土地、職場で考え、取り組んでいることやサイバーゼミを通じてそれぞれの考えを情報発信できることの意味は大きかったと思います。。
特に発表者のひとり柳澤さんの青森での活躍ぶりは、まだまだ東北もやれると再認識しました。
「すっか、すねがだ、なじょすっぺ」ではなく、「やってみっぺ」の力強さをもう一度引き出すこと、それを会場の方々にも少しはわかっていただけたのではないかと思います。このようないい機会を与えてくださった柏倉実行委員長をはじめとした地元の方々、ITの実力を発揮した遠隔地からの支援や当日の応援に駆けつけた方々に改めて感謝申し上げます。