「初心にかえれ! 頑張ろう!」

国際情報専攻 前田 保 

 

 愛知県岩倉市の市役所に地方公務員として勤務しています。勤務先の岩倉市の事例に基づいて、地方税の収納向上策をテーマにして修士論文を書き上げました。
  今日、地方分権一括法の制定、e―JAPAN計画などにより、地方自治は大きな変革期を迎えています。岩倉市も近隣の市長村との合併を検討・議論しています。合併問題以外にも、種々問題を抱えています。まずは、交付税等の減額を受け、行政運営の変革を余儀なく迫られています。地方分権は「対等・協力」を基本とする国と地方の新しい関係を構築し、さらに個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現するためが主眼であるはずです。ところが、歳入減の状況下で、その目的を達成し、地方自治の本旨である住民の福祉の増進を図っていくということが、極めて困難となっています。行政運営の効率化は真っ先に職員削減という手法に現れ、それは行政運営の根幹部分であるマンパワーの低下を意味します。さらに、電子政府―電子自治体というIT化の波が急激なスピードで押し迫ってきます。
  これらの今私たちが直面している大きな変革の中で、地方自治体の未来図を鮮明に思い描くに足りる力をつけたいという願いを持って、日本大学大学院総合社会情報研究科に入学したのです。地方公務員として、岩倉市を良くしたい、地域を繁栄させたいという思いをどうすれば形にできるのか。ITによるコミュニケーションで、自治を発展させることができるのか。いろいろな疑問があります。地方自治が抱える問題や自分自身の中の様々な命題を解決していくためには、しっかりとした基礎知識と新しいものを取り入れていく柔軟な思考が必要であると考えます。憲法―地方自治法などの法的な知識と、今後の地方行政の民主的、能率的運営を図るためのNPM(ニューパブリックマネージメント)のような新しい手法などを学び、その基礎知識の上に総合的な政策形成能力や行政管理能力を身につけていきたいと思ったのです。
  特に、研究したいことは、ITシステムの活用でした。情報公開やプライバシー保護、政策形成と日本以外での情報化社会のおける危機管理について、IT革命による情報の変質と政治・社会の変化の関係……、以上のようなことが研究対象となります。
  パソコンを活用できるかどうかで、学習の能率に大きく差が生じる時代になりました。
  総合社会情報研究科は、ITを駆使する通信制です。通信制は仕事と学習を両立させることができます。さらに、学習・研究を主に自宅のパソコンで行える点が魅力です。私はパソコンを使うのが好きですし、メールやインターネットなどにも習熟していました。研究科は、専門が多岐にわたる教授陣を擁しています。だから、研究科で研究・学習をすることにしたのです。
  これからは、パソコンは、よりいっそう教育研究活動に影響を与えます。これにより、地域間の格差が縮小できる可能性もあります。パソコンを活用する新しい教育体制のよりいっそうの充実が求められています。研究科は最先端を担っていますが、さらなる発展が望まれます。
  いまでは懐かしい限りですが、 レポートでは苦労しました。奮闘しました。草稿提出、添削、検討、修正の過程を経、最終提出となるのでした。最終提出となると、本当にホッとしたものでした。
  自分に何ができ、何ができないかを把握できるようになりたい、との問題意識をもって、レポートなどに取り組んできました。仕事を今までとは違った視点で理解できうるようになりたいとも願って、学習・研究をしてきました。今後も以上のような問題意識や願いを堅持していきます。
  最終的には、論文題目は「地方税支払い不払のマネージメントシステムの研究」になりました。何度も、何度も、添削されました。修正、検討し、変えました。しかし、修士論文をとうとう完成させることができたのです。このことは、今後の大きな励みとなります。 
  初心にかえれ! 頑張ろう!

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