「大学院での充実した2年間を振り返って」

国際情報専攻 西尾 安正  

 思えばあっという間の2年間であった。レベルの高い環境に身を置いて自分を磨き、その成果として、修士論文を書き上げるという目標を掲げた私は、日本大学の通信制大学院の門をたたいた。

 夢にまで見た大学院生としての生活は、決して楽なものではなかった。当初、一番大変だったのはパソコンを使いこなすことだった。通信制ということで、実際の研究活動にパソコンは欠かせないものであったが、それまで私はパソコンをまったく使ったことがなかったのである。パソコンと格闘する日々が続いたが、毎日メールを出したり、リポートを書いたりしていくうちに、パソコン操作に対する不安感が徐々に払拭されていった。それと、所属した近藤大博教授のゼミがサイバーゼミを頻繁に行なっていたので、サイバーゼミへ参加するためには、必然的にパソコンを使いこなさなければならず、結果的にパソコンに早く慣れることができた。

 またリポート作成もとても大変な作業だった。とりわけ日々の仕事をこなしながら、リポート作成の時間を作ることは至難の業だった。いきおい睡眠時間を削っての作業となってしまい、精神的にも肉体的にも大変きついものだった。しかし、今考えると、リポートにしっかり取り組んだことが、後の修士論文作成におおいに役立ったことは相違ない。つまり、書く分量が多いか少ないかの違いだけで、書き方自体に変わりはないのである。その意味で、リポートを修士論文執筆の予行演習と位置付けて取り組んでいくことは大変重要である。それと忘れてはいけないのは、必ず一年目で五科目分のリポートを提出して、単位を取得しておくことである。私自身は忙しさにかまけて、一年目に三科目分のリポートしか提出できなかったため、二年目に大変苦労をするはめになった。したがって、二年目に修士論文の執筆に専念するためにもこのことは必須事項であるといえる。

 社会人大学院生の一年は思いのほか早く過ぎ去る。あっという間に修士論文を書くべき二年目を迎える。修士論文を書く上で、一番重要なことは論文テーマの選定である。論文テーマさえ決まってしまえば、修士論文は半分完成したといっても過言ではない。それくらい重要なのだが、実際、修士論文にふさわしいテーマをみつけることは容易なことではない。私の場合も、大枠での論文テーマは入学時にはすでに決めていたものの、それをどのような切り口で研究していくのかという点については、なかなかよいアイディアがうかばず、二年目になっても論文テーマを決めかねていた。しかし、前述したように近藤ゼミは、サイバーゼミを頻繁に開催していたので、ゼミでの研究発表を通じて先生やゼミ生からさまざまなアドバイスをしていただき、最終的には納得のいく論文テーマをみつけることができた。もちろん、研究というのは本来自分の力で切り開いていくものではあるが、優秀なゼミ生との討論は自分の研究をより深化させる役割を果たしてくれるのである。したがって、集合ゼミにせよ、サイバーゼミにせよ、チャンスがあれば積極的に研究発表をしていくことは、常に自分の研究を深化させていくためには大変重要なのである。

 また付随していえば、二年目の秋に行なわれる修士論文の中間発表会には、必ず参加して研究発表をすることが望ましいといえる。なぜなら、この中間発表会が行なわれる時期は、タイミング的には修士論文の本格的な執筆に取り掛かる直前であり、修士論文の方向性を軌道修正するにはラストチャンスとなるし、指導教授以外の先生や、他ゼミ生など多くの人に自分の研究発表を聞いてもらえるので、さまざまな質問を受けることができて、さらに自分の研究に生かしていくことが可能となるからである。私は中間発表会を欠席したのだが、たまたま地元の名古屋で「オープン大学院in名古屋」が開催されたので、そこで研究発表をさせていただき、そのことが結果的に修士論文の執筆に弾みをつけることにつながったので、とてもラッキーであった。

 さて、中間発表会が終って年末を迎えると、後はひたすら論文を書くのみである。とにかく時間との勝負である。世間が浮ついたムードに包まれる年末年始に、黙々とパソコンに向かって論文を書き続けることは、とてもつらい作業であった。しかし、それに耐えることができたのは、私の場合、ゼミの同期生の存在が大きかった。一般的に通信制は孤独であるといわれるが、メールやインターネット回線を利用したスカイプ通話によって、ゼミ生同士の連絡が密に行なわれたので、実際、孤独とは全く無縁であった。このことは私が修士論文を書く上で、最も大きなポイントであったといえる。

 以上、修士論文が完成するまでの二年間を振り返ってきたが、もちろんこれは自分ひとりの力によるものではない。おおよそ計画性がなく、怠け者の私が修士論文を期限までにきちんと提出できたのは、ひとえに指導教授の近藤先生の温かいご指導と、優秀なゼミ生の適切なアドバイスがあったからこそである。近藤先生とゼミの仲間には感謝の気持ちでいっぱいである。また、修士論文の完成はひとつのけじめにはちがいないが、研究活動はむしろこれからが本番である。今回の修士論文の執筆で得た経験や研究成果を土台にして、今度は博士後期課程を目指してさらに精進を重ねていきたい。

 

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