「セカンドバッグは買い物カゴ!?」

人間科学専攻 石津希代子  

  大学院生活で、いつの間にか、私の通勤には、買い物カゴが欠かせないものになっていた。スーパーの食品売り場などで見かける、例の買い物カゴのことである。お気に入りの洋服を着て颯爽と(?)ジャケットをはおり、携帯や財布、化粧品など入れたバッグを肩にかけ、そして片手に、青い大きな買い物カゴを持って出勤していたのである。一般的な女性の通勤スタイルとしては、ちょっとどころか、大きくはずれている気がするが、私は、毎日、これを片手に出勤した。

  さて、何ゆえに通勤に買い物カゴなのか――。私は、大抵、仕事が終わると、そのまま職場(学校)で、レポート作成をしたり、研究をまとめたりすることが多かった。放課後、そして夜の職場(学校)は、恐ろしく静かであり、私にとって作業が最もはかどる場所であったからである。そこで、問題となったのが、自宅と職場間の資料の持ち運びである。レポート作成や研究には、何冊もの書籍や、多くの文献が必要であった。そのため、これらの資料を入れることができる大容量で取り出しやすい入れ物、必要なものが探しやすく、なおかつ、運びやすい入れ物が求められた。これに、買い物カゴが最適であったというわけである。形態上、物の出し入れがしやすく、ひと目で何が入っているかがわかる。整頓して入れなくても、バサッと放り込んで、サッと出かけることができる。それに、どんなに重くなったとしても、持ちあげられる重さであれば、多くの荷物を効率よく運搬できるのである。

  ということで、朝は、買い物カゴに、その日に必要になりそうな書籍や資料を、とりあえず放り込んで出勤し、夜は、自宅で使いそうなものを詰め込んで帰宅した。必要なものを吟味して持ち歩くのではなく、必要になったときにスグ使えるように、使う可能性のあるものを持ち歩いていたのである。この冬も、買い物カゴは、やはり大活躍であった。修士論文執筆に必要な文献や資料は山のようにあった。これらの資料を全て、ときにはパソコンも買い物カゴに入れ、毎日、持ち歩いた。休日や年末年始に、これらを持って職場に行き、執筆した事もあった。

  このように、私の大学院生活には、買い物カゴは必須であった。これは、田舎の職場に自家用車通勤、しかも歩く歩数がドアからドアへ数十歩という、私の通勤環境から生まれた、買い物カゴのセカンドバッグ化といえる。もし電車通勤だったら、あるいは通勤で長い距離を歩く必要があったら、きっと出来なかったことだろう。

  修士論文を書き終えた現在、買い物カゴに入っていた書籍は本棚に戻し、文献や資料も整理し片付けた。それとともに、私の通勤スタイルは、やっと普通に戻ったところである。

 

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