アメリカで修士を学んでいるアジア人留学生
国際情報専攻 6期生 森田 喜芳
久しぶりに現在住んでいるトロイからアナーバに出かけました。そこは、ミシガン大学がある所で大変有名な場所です。私の住んでいる所から約1時間でミシガン大学に隣接している公園にアジア人のパーティーがあり約30人の集まりに出席しました。私は初めての参加でしたが日本人は私だけで、韓国人の女性が1人、インド系が2人、中東の国と思われる人が2人、その他はすべて中国人でした。また集まった人 も年齢層も非常に22歳から30歳ぐらいまでの学生が大半であった。 このパーティーの主催者は中国人で、現在ある会社のディレクターの役職にある人です。その方は出身が台湾で、米国に留学して6年で博士号を取得して最初に自動車会社のGMに入社しました。その後、GMの部品会社で中国の社長を勤めたりしました。現在はマイノリティー関係の会社の事業拡大や支援の仕事を担当しています。(アメリカの大企業はマイノリティーの人が経営する会社からどのくらいの取引をしているかということの基準があり、また企業の評価を表す指標としても使われています)。彼は今年の12月に定年になりますが、これからもこのようなパーティーをボランチアで続ける予定です。又、彼が私の仕事仲間で本日の唯一の友人でした。 私はこのパーティーで大勢の中国人と会話をしました。その結果、パーティーに来た中国人は以下の3つの層に大別されると私は見ました。 (1)アメリカに住んでいて仕事をしている人。 (2)企業に働きながら大学院で修士課程を勉強している人。 (3)中国から留学して大学院で修士課程を勉強している人。 (1)の人たちはアメリカに留学して、その後アメリカで就職をして現在に永住している人でした。 (2)の人たちは中国の現地会社で働いており、アメリカに留学を希望して企業との条件がマッチして親会社の米国にて働きながら学んでいる人たちでした。 (3)の人たちの中にも2つの分類の人達がいました。 (3−1)は(2)の希望がかなわずアメリカ人留学してから企業のインターン生として1年間働かせていただいている人。 (3−2)は全て自費で2年間勉強に来ている人たちでした。 これらの人たちと話をしている中で、中国の学生は素晴らしいバイタリティーを持っている人たちが多いということ痛切に感じました。例えば(2)の人たちは中国での会社を辞めてアメリカに留学し勉強したいという人たちの中で、中国企業の親会社のあるアメリカに転勤をさせてもらい勉強している人ですが、2人とも未婚の女性でした。ミシガン大学では日本大学院と同じようにパソコンで勉学しインターネットを通じてレポートやQ&Aを行っている仕組みのようです。また2年次になると週に1回仕事を終えた後、通学をして勉強しています。 女性の1人で名前はクリスティーン(アメリカでのファーストネーム)という人で、20代で中国の上海から転勤して週に1度、1時間かけて学校に通っています。転勤当初は、車の運転免許証も車もなく大変苦労したとのことでした。(一般的に、アメリカでは数少ない都市を除いては、車がなくて運転できなければ生活ができないのが実態です。すなわち車と飛行機が絶対的な交通手段です) クリスティーンさんは中国で会計学の学士を取得後、企業で働いていました。その後、向学心をもって自立を目指してアメリカで修士課程の留学を決意し、現在米国の親会社に勤務しながら会計学の修士課程をミシガン大学で勉強しています。彼女はミシガン大学で会計学を学び将来自立して行く、と言って目を輝かして生き生きと私に話をしてくれました。今の調子で仕事と勉強に励んでいけば、将来は素晴らしい人生か彼女にあるのではないかと思います。(また同時に私も彼女の若さと、そして行動力を羨ましく感じました) 米国の会社では働きながら勉強する人たちに企業が支援するプログラムがあります。学士、修士、博士などに対するさまざまな支援プログラムが用意されています。働きながら自分で勉強していく制度を会社が奨励しており、自由の国アメリカでは、自らが望めば(努力すれば)学位のトップレベルまで学べるシステムが実業社会の中で確立されている点は、非常に進んでいます。残念ながらこの点、日本は非常に遅れていると私の長い実社会での実感です。また、私はアメリカの社会が「学歴社会」といわれるゆえんはこの辺にあるのだろうと感じています。したがって大企業のトップレベルの大半は修士課程を学んだ人たちです。 (3)のグループの中の人たちは修士課程を2年間で終了し、その後は米国内で就職を希望している人達です。また、ミシガン大学の修士課程のクラスでは約1,200人の学生とのことです。その学生の大半は米国人で、その他は1番多いのが日本人で40人程度、続いてインド系、中国系、韓国、中東、ヨーロッパなどの学生で構成されているとのことです。すなわち留学生には日本を含むアジアの人たちが圧倒的な構成を占めている。1人の中国人の話では、日本人は企業から派遣されている留学生がほとんどで、例えば「トヨタ、デンソー」などの企業人が多いとのことです。日本からは自費で留学している人が少なく、企業からの派遣であり、経済的にも余裕があり非常にうらやましいと言っていました。それに比べ、中国人は自費で勉強をしに来ている人であり、私には中国人が必死に勉強しているという姿勢がうかがわれました。 今日ここにいる中国人の留学生の積極的な姿勢を見て、日本人にはなぜ中国人のように青年が自ら積極的に海外に出て勉強する人たちが少ないのだろうかと考えさせられました。しかも中国人学生の3割は女性でした。この女性の積極さは、私のような定年後に働いている者にとってはセクシャル・ハレスメントと思われるかもしれませんが、非常な驚きと新鮮さを感じました。 現在の日本は出生人口が減少しており、日本の将来について日本人全員が憂いを持っておりますが、今日ここに集まった中国人を見ると、人口大国の中国は素晴らしい「積極的な思想と行動力」を持った青年が大勢いるということを実感しました。このことは今、日本に欠けている事であると私は強く感じました。残念ながら、今の日本には、今日ここで見る中国人の青年たちは私の周りには見当たりません。私も「企業戦士」といわれた時代に海外で仕事をして今年で20年になります。しかし、これからは、「企業戦士」ではなく、「真の国際人」が求められます。それには、若いうちから自らが積極的に海外に飛び出し、国際人たる素養を身につける必要があります。日本の青年の多くが、「真の国際人」になって活躍するよう期待します。これは、日本大学大学院で「国際情報」を専攻している私の大いなる関心事項です。 今後、この勢いで推移すれば、中国は人口だけでなく素晴らしい「国際人」が数多く育ち、近々真の国際大国になることが目に見えています。
以上が、私が今回のパーティーで会った中国人の留学生との会話の感想です。パーティーに出席して大変良い勉強をさせていただいたと痛感しております。 |
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