『夢に見た大回顧展の開催!〜没後35年記念黒田重太郎展より〜』
文化情報専攻 3期生 戸村 知子
黒田重太郎の作品との出会いから10年、そして調査を始めてから7年越しの願いが、今夏、実現しました。没後35年記念「黒田重太郎展」の開催です。9月25日まで滋賀県立近代美術館(1)にて、11月5日からは千葉県の佐倉市立美術館(2)でご覧いただけます。今回の展覧会は、本大学院研究科にてまとめた拙論「黒田重太郎研究」が契機となったもので、展覧会企画をまとめて頂いた前川公秀氏(千葉県立美術館主幹)との出会いなくしては実現し得なかったものといっても過言ではありません。心から感謝申し上げます。
京都市美術館で1971年に遺作展が開催されて以来の大回顧展となった今回の展覧会では、黒田の生涯にわたる作品約140点が展示されています。また図録には、出品作品に加え参考図版として所在不明なものや戦災にあったものなど、展示されていない作品の写真も掲載されていますので、黒田の画業を知るには充分な資料に仕上がりました。展覧会準備をすすめてこられた 今、遺作展の時の図録(パンフレット)を手に、私が調査を始めた頃のことを思い出していました。勉強不足なことも手伝って、当時はこの遺作展図録だけが黒田を知る唯一の資料でした。時間を見つけてはご遺族をお訪ねしたり、京都の星野画廊を覗いたり、そして黒田の足跡を追って各地の美術館や図書館に出かけて行ったのがつい先日のようです。各訪問先では、貴重な助言や資料の数々を頂戴できましたし、それらとの出逢いが今日の展覧会への道しるべとなりました。とくに大切な出会いは、かつて原田平作氏(愛媛県立美術館名誉館長)のご尽力により大阪大学附属図書館へ収められた黒田重太郎の貴重な図書資料でした。その中から一部を今回の展覧会図録において掲載させて頂くことができました。また、稲賀繁美氏(国際日本文化研究センター教授)のご研究など重要な先行研究も発表されておりますので、今後の展開がとても楽しみです。と同時に、私自身の調査研究不足が明らかとなりましたので、さらに引き続き、皆様にご指導を仰ぎながら丁寧にすすめてまいりたいと思います。
また今回の展覧会の一般公開に先駆けて開かれたオープニングレセプションでは、本大学院の近藤教授が駈け付けて下さり、また翌日には専攻を越えた同窓生6名と共に展示作品を鑑賞でき、感激いたしました。また11月には
ところで今年は黒田重太郎と同時代、しかも同じ京都で修行を積んだ画家の作品展が他にも二箇所で開催されます。一つは、三重県立美術館で現在開催中の「安井曽太郎展」(3)、もう一つは11月から開催予定の京都国立近代美術館の「須田国太郎展」(4)です。黒田とも親しく交流した二人の画家の展覧会が前後して開催されるのも何かの縁なのでしょう。また、
なお、上記「黒田重太郎展」の図録制作に携わっておりました関係で、本大学院の電子マガジンへの連載もしばらくご無沙汰しておりましたが、また次回より再開させていただきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願い致します。
(1)http://www.biwa.ne.jp/~sg-kinbi/exhibition/exhibition_now.html (2)http://www.city.sakura.lg.jp/museum/index.htm (3)http://www.museum.pref.mie.jp/miekenbi/jp/index_exhib.htm (4)http://www.momak.go.jp/excol2000_j.html (5)http://www.biwa.ne.jp/~sg-kinbi/exhibition/exhibition_next.html
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