国際情報専攻 内田 恵子
「つねに前進を」
本大学院に入学を決意してから今日まで、これほど月日が流れるのが早いと感じたことはなかった。「常に前進していきたい」とかねてから考えていたが、実際に何をしたら良いのか分からなかった。ある日、立ち寄った本屋で手に取った雑誌に日本大学大学院の紹介記事を見つけた。時間も場所も制約されて不規則な生活をおくる毎日。自分の趣味に費やすゆとりや時間もなかった。だからこそ、インターネットを使っていつでもどこでも参加できるサイバーキャンパスはとても魅力的であった。仕事と学業との両立に不安もあったが、どんなことがあってもがんばろうと入学を決心したのである。
2年間で卒業するためにも、1年次は必修及び選択科目の単位取得に務めた。また、サイバーゼミや定期的なゼミにも積極的に参加し、実際にゼミ生に会うことで自らの学習意欲を高めていくようにした。 ゼミに参加することは、学習というだけではなく精神的にモチベーションを高めていけるという目的があった。近藤ゼミでは定期的にサイバーゼミを実施していたので、地方に住む生徒や仕事で多忙な生徒でも、立場は常に対等であった。要は与えられた時間を如何にして上手に活用するかであると思う。 必修及び選択科目の単位取得に関して言えば、時間が限られているということからも常に必死で時間を作った。まず、リポート課題の意味をきちんと理解する。次に、教材をしっかりと読む。読む中で、課題の回答にあてはまる箇所は、メモを取ったり線を引いたりすると、読み終わった頃には大体リポートを書ける段階までに整理がつけられる。最後に、リポートを書き上げるのである。 このサイクルをスムーズなものにする為にも、私は簡単なスケジュール表を作った。月に2レポートの提出を目標に、2週間で1レポートを完成させるのである。このスケジュールは、レポート課題によっては実行可能な時もあったし、不可能な時もあった。しかし、提出期間には余裕をもって提出することが出来たと思う。
1年次の冬に、私はかねてから取り組んでいた修士論文テーマを一変しようかと悩んでいた。1年次の選択科目で興味をもったアジア経済やTFT-LCD産業などを研究してみたいと思った。指導教官の近藤教授におもいきって相談したところ、「やってみなさい。」と前向きな励ましのお言葉を頂き、さらに参考文献としてお勧めの本を紹介して下さった。否定するのではなく、肯定的に人を評価して下さる近藤教授に感激し、私は早速その研究に取り組んだのである。 当時は、韓国経済とTFT-LCD産業について書こうと思っていた。2年次春の近藤ゼミにてその旨を発表すると、ゼミ生から多くのアドバイスを頂いた。その中で、「その研究からあなたは何を得られるのか?」という言葉がとても重く心に残った。つまり、ただ単に韓国経済やTFT-LCD産業を延々と書いても、既に多くの優れた文献がある。修士として求められる論文は、要素をスパイラルに展開し、分析し、証明し、最終的な結論を出さなくてはいけないのだ。 私は、TFT-LCD産業の基礎である半導体産業を一大要素に位置づけた。そして、半導体市場の現状を調査し、日本企業が今後、市場競争にて生き残っていく為の方向性について追求するための比較対象として、韓国経済を選定した。そして、韓国半導体産業の成長を分析することで、半導体産業の重要性を証明し、TFT-LCD産業からPDP産業へとシフトした事からその汎用性について立証した。また、同時に韓国経済成長の要因を分析し、そこから台湾経済の成長要因を探って、最終的に日本経済の今後の動向分析に結びつけたのである。 これらは、一見ばらばらの要素に見えるが、全てが最後に一つの結論へと繋がる数珠のようなものである。
修士論文が完成した今、思い出すと、この2年間全てが数珠のようであったと思う。サイバーゼミ、スクーリング、リポート提出など様々な部分で影響を受け、独りよがりにならない学生生活で、多くの先生、ゼミ生に刺激を受けた。この論文も、多くの方のアドバイス無しでは完成しなかったであろう。この2年間の大学院生活は、これからの自分の人生で大きな意味を持つものになるであろうと確信している。 最後に、近藤先生、近藤ゼミの皆様、その他大勢の皆様、本当にありがとう御座いました。
|
|
|