国際情報専攻 川田 昌映
「私でも書けた修士論文」
はじめに 2003年1月末、日本大学の通信制大学院の新聞広告を夫が持ってきた。「このようなものあるけど・・トライしてみたら?」インターネットを使い、地方に住んでいる私でも修士号が取得できる。何か自分自身ための勉強をしたいと思っていた時期であったので入学試験を受けてみることにした。入学後、恥ずかしながらこの2年間、今までの人生の中で一番よく勉強した時であり充実していた時を過ごせた。 大学時代はのほほんと過ごし、卒業論文も適当に済ませてしまった私にとって修士論文をどのように書くのか、どのように研究を進めていったらよいのか手探りの状態であった。 1年目の課題リポートは、修士論文を書く上での基礎である。リポートの纏め方、課題論旨の展開の仕方、「注の書き方」など、課題リポートを作成することにより習得していく。先輩のアドバイスによれば、2年目には修士論文に集中するため、1年目は5科目履修した方がよいとのことである。つまり、1科目4つの課題リポート、20の課題リポートを仕上げることになる。 修士論文は、課題リポートと違って自分でテーマを探し、問題設定をしていかなくてはいけないのでさらに大変である。論文を仕上げることができるのだろうかという不安を抱きながら、修士論文を書き終えた現在、私の反省点を含めながら今後論文を書くための方の参考になればといくつか気の付いたことを述べたい。
1 ゼミには積極的に参加すること 1年目のゼミは、サイバーゼミが中心だった。サイバーゼミでは、限られた時間内で自分の発表をマイクに向かって一方的に話すのだが、今まで人前で話す機会が少なかったのでとても緊張した。要領よく話していかないと聞いている人に理解してもらえないし、また自分が話している最中、参加しているゼミ生の人の反応が全く分からないのでよけいに不安を感じた。しかし、このような機会は中々持ちえないので自己鍛錬のつもりでトライしてみた。 2年目のゼミは、市ヶ谷で行われたゼミに積極的に参加した。ゼミ生同士論文の進捗状況も把握でき、自分自身の志気を高めることができる。また担当教授以外のゼミ(乾教授)にも参加させて頂いた。普段のゼミと違った視点からのアドバイスを頂き、大いに刺激を受けた。また他のゼミ生との議論も大変に勉強になった。 9月には神戸にて「オープン大学院」が開催され研究発表会の機会を得ることができた。7月、8月の猛暑の時期に研究がおろそかにならないように9月の発表会に参加した次第であった。違う専攻の方のゼミ生の発表を聞いたり、交流ができたので貴重な体験であっつた。
2 焦点を絞り込むこと 修士論文のテーマに関しては、入学後すぐに「メディア・リテラシー」というテーマに決めてはいたが、内容が幅広く、論点のポイントをどこに置くべきか、その焦点を絞るのに時間がかかってしまった。メディア・リテラシー全体の把握がなされていなかったためである。1年目は、メディア・リテラシーに関する本を乱読していたが、もっと早くに論点を絞りその論点の書物を選んでおくべきであったと反省している。的を絞りこむことによりもっと深い研究が進められたであろうと察する。 当初、ある程度の内容の範囲で研究を進め、後からその内容を圧縮すれば研究内容も濃いものになるであろうと考えていたが、これは明らかに間違いである。この間違いに気が付いたのは、10月の中間発表を終えた直後であった。佐々木教授からも焦点を絞り込むようアドバイスを頂き、構成をしなおしたのであった。
3 早めの資料収集 地方に住んでいるので県立図書館で事足りない本も多く、近県の図書館からの書籍の借受には時間がかかった。そのためできるだけ資料収集は夏までに入手できるよう努めた。また、私の論文資料には、和訳文献の資料が多かったのだが、できることなら原文に接した方がより理解を深めることができたと思われる。
4 章立ては慎重に 12月中旬、論文を指導教授である近藤教授に見て頂いた。構成の変更をするように言われ正直大変焦った。1月の論文提出まで1ヶ月もなかったのである。慌てて書き直しを始めた。テーマのねらい、論点を再考し、年末年始は自分でも信じられないくらいの集中力を発揮し、なんとか提出した。 ゼミの発表の際にもっと章立てを慎重に検討すべきだったと後から気が付いた。章立てがしっかりしていれば余分な時間をとられ、振り回されることはなかったはずである。10月末に構成をしなおし、さらに12月に再編成したため、章立ての大切さを痛感した次第である。
5 最後は体力と気力 ラストスパートは、体力と気力が勝負である。12月中旬からの手直しは、まさしく悪戦苦闘の状態であった。風邪を引かないよう注意していたし、食事にも気をつけていた。しかし、面接試問が終わったと同時に風邪を引いてしまい、3日間寝込んでしまった。無事に修士論文を終えたという安堵感からか気が緩んでしまったのだろう。
おわりに
この2年間の勉強は、大変忙しく時間に追われた日々だったが、十分に満喫できた。通信制といっても、サイバーゼミや市ヶ谷で行われるゼミで顔を合わせることからより親しくなれたというのも楽しかった。修士論文を書き終えた現在、苦労したことばかりが浮かんでくる。しかし、貴重な体験が出来たし、また修士論文の作成過程において自分自身の反省すべきことがわかり人生のレベル・アップにつながっていったのではと感じている。この場を借りて、近藤教授をはじめ、諸先生方、ゼミの皆様ご指導やアドバイスを頂きまして本当にありがとうございました。 |
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