国際情報専攻  稲田 照幸

学而時習之、不亦説乎

   

 

 私は、20028月、満55歳を迎える年になり、324ケ月間勤めていた会社を早期で定年退職しました。会社は、コンピュータ製造・販売・情報サービス・コンサルティングを行う多国籍企業で、50歳になると60歳までの10年間は、いつ辞めても定年退職扱いが適用できる仕組みになっていて、この間に第二の人生を考えるゆとりがありました。

 もともと九州育ちの私が、大学卒業後、福岡、神戸、大阪、東京と勤務し、色々な土地で多くの企業、たくさんの人々との交流を持てたのは幸せの一語につきます。

 この間、米国、ドイツ、イギリス、オーストラリアに研修に行かしていただいたのも良い人生経験となりました。神戸時代は、神戸六甲道で阪神大震災に遭遇し、自宅全壊の憂き目にも会いましたが、神戸地区のお客様企業の立ち上げに奮闘し、感謝いただいたのも今は懐かしい思い出となりました。

 会社を辞したら、郷里熊本に帰り会社時代の経験を生かし、大学教壇での仕事を夢見ていた私は、知人の紹介で幸いにも2つの大学の非常勤講師と、専門学校の常勤教官が舞い込んで来たのには驚きました。

 20028月から、熊本で勤務する20034月までの半年間、所謂浪人時代考えたのが、もう一度きちんと勉強しなおそうということでした。というのは会社では、ライン管理職職務が約20年続いたため、知識は浅く広くで、第二の人生に若干の不安を持っていたからです。しかも、住むところは熊本で、どのようにしてきちんと勉強をしたらいいのかと考えていた矢先に、Webで見つけたのが、日本大学大学院総合社会情報研究科でした。

出願時の研究計画書の段階から、会社時代に取り組んでいた「企業革新研究」の観点で研究を志ざし、五十嵐教授にご指導いただくことを希望し、2年間の大学院生活が始まりました。

 1年目に、5科目、2年目に2科目選択し、スクーリングには参加したものの、東京で開催されるゼミには参加できなかったのが残念ですが、福岡、大阪での出前ゼミ、Webを使用したサイバーゼミには必ず参加し、交流をもてたのは有意義でした。

 

修士論文テーマ

 修士論文の題目は、「顧客志向を視野に入れた企業革新の研究 −ITシステム・サービス企業の組織マネジメント改革−」としました。

 所謂、ITサービスを業としている企業が、急激な技術変化、ビジネス形態変化、顧客要望変化の激しいIT業界で生き抜くためには、組織、人事、教育、マネジメントシステムおよびITインフラストラクチャはどうあるべきかを追及したものです。

 

修士論文作成

 論文については、五十嵐教授のご指導のもと、1年次の秋頃までに方針を決定し、1年次の終わりまでの間は、論文構成の検討と目次の作成、書籍、雑誌、新聞記事、Webデータの収集を進めていきました。

この作業は、20037月、福岡での出前ゼミ、20042月の大阪での出前ゼミにおける会合・討論が大いに役に立ちました。この頃は、ゼミ生同士の忌憚の無いお付き合いもできるようになっており、様々な分野のメンバーとの交流では、自分に欠けていた視点に気づくことも多く、有意義なものであったと思います。

 2年次に入り、秋ごろまでに一応の素案ができあがりました。幸いにも私の第二の人生には、夏休みという、願っても無い休暇があったことが幸いしました。夏休みの殆どを論文執筆に当て、自分の書きたいものの整理、論理の見直し、必要資料の整理とやればやるほど迷路に落ち込むこともありましたが、五十嵐教授の「夜の電話コール」で、構成組み立てに、1つひとつと整理がついてきました。

 こうして、10月、第1回添削をいただきましたが、五十嵐教授の厳しいコメントで、再度12月、第2回添削をお願いし、完成へと近づきました。

このように、長丁場の中で、決して計画的とはいえない進捗でしたが、五十嵐教授の叱咤激励のおかげもあって、何とか20051月の提出期限に間に合わせることができました。私は基本的には、調査とか、読書は好きですが、時間的に追い込まれないと集中できない性格もあって、もう少し事前計画に沿ったやり方をしておけばよかったと反省しています。皆さんは、如何でしょうか。

 

感想

日本大学通信制大学院についての素晴らしさ、この一言に尽きます。自分で好きな時間に研究する。それをリポートにまとめ、成果について適切な指導を頂く。タイムリーな出前ゼミ、サイバーゼミ、スクーリングでの教授、院生との交流。感謝しています。

「学びて然る後に足らざるを知る」〔礼記-学記〕にあるように、謙虚になって、自分なりの研究課題を常に持ち、探求する姿勢を持ち続けていこうと心ひそかに考えています。そして、「学びて時に之を習う、亦説ばしからずや」〔論語-学而〕の気持ちを持ち続けていこうと思います。

 最後になりますが、適切なご指導とご激励いただいた五十嵐教授、近藤教授、乾教授、諸上教授そしてリポートのご指導をいただいた先生方、加えて、熱心に議論、交流をしていただいた五十嵐ゼミの皆さんに深く感謝申し上げて、この報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。