RE:「Jan1705、月曜日デトロイト・オートショーを見学して」

           

        

 

 

                      国際情報専攻 6期生     森田喜芳

          

                       

   

 私は現在アメリカ、デトロイトの郊外で北に位置するトロイ市の自動車関連会社に勤めており、本年度より当大学院の博士課程前期の6期生として学んでおります。又、当大学院のパソコンとインターネットにて海外にて在宅での勉学を効率的に、大いにフル活用させていただいております。そのような環境の中で、今年のデトロイト・オートショー見学記をお届けいたします。

(当日は雪がチラチラして、デトロイトの典型的な冬でした。会場は私のアパートから約25分のダウン・タウンにあるコボ・ホール会場です)

 

<見学内容>

今年の、オートショーの前評判はアメリカのビッグ・スリーが環境などを重視して、従来は日本車の得意としていたハイブリットカーを出品し始めた。また、日本の自動車メーカーは、更にアメリカでのシェアーを伸ばすため、小型SUVやトラックなどの出品車が多く目立つと言われていた。

初めに、会場に入った時の雰囲気は例年に比べ、静かな感じがした。

特に、激しい音楽や車の紹介のマイクの声などがあまり見られなかった。(私が1980年代から90年代に最初の駐在をしていた時のキラキラと華やかで、音楽と多くの女性モデルによるディスプレーとは大変な違いである。 

会場に入場したら、驚いたことにすぐに、いつものビニール・バッグ配りに黒人の女性がいたが、なんとその人達は、UAWの人であった。今まで何回となく、オートショーに来たがこのような事は初めての出来事である。

多分、ビッグ・スリーの車の売れ行きのシェアーが落ちてきたので、UAWも危機感を持っているのではないかと感じた。

また、米国で生産する日本車並びに他の外国車では、ダイムラー(クライスラー)を除いてUAWには参加していないのが実情である。従って、ビッグ・スリーのシェアー・ダウンはUAWの仕事が減る事に直結する。

最初に私の関心事項はやはり今年の目玉商品になっているホンダのピックアップ・トラックのリッジライン(Ridgeline)という車を見た。デザインもよく内装もなかなかよく出来た車だと感じた。3.5リーターで225馬力あり、かなり力強そうに見えた。ホンダもいよいよ、これからこの分野でフル・ラインを揃えるとなると3.5リッター以上のエンジンが必要となるため来年あたりにはV8でエンジンと馬力の大きい車を期待したい。

日産は今年もSUVとトラックを昨年同様多く出品してかなり派手に宣伝しており、私は今年の日産のトラック分野はかなり売り上げを伸ばすのではないかと感じた。

トヨタについては、総花的に多種類の車を出していたがハイブリットが中心に見られた。今年はあまり特徴的な車がなったという印象であり、レクサスなど乗用車よりも日産と同様にSUV、トラックに力を入れているように感じられた。

逆に、スバルの水平対向のエンジンには1度乗ってみたいという気持ちがわくほど魅力を感じた。なかなか良さそうである。多分,今年あたり売り上げがまた伸びのではないかと期待する予感した。(アメリカの工場も、いすず自動車から譲り受けてすべて自前にもなったことでもあり良い車造りを期待する!)

GM、フォードはいつものようであまりぱっとしない感じである。しかしながら、一日1万台以上の車を売っている両社はさすがに出品の数も多く、底力の凄いところを見せつけている。但し、相変わらず燃費の悪い大きなエンジンの車が多い!(今年も更にシェアーを落とすことは確実のように思えた!)

ダイムラー・クライスラーでは驚いたことに、スマート(Smart)という大変小さな車が数多く出品されていた、これはひょっとすると今後の流行になるのではないかという気配さえみせる大きな変化のある車と見た、多勢の人が見ていて注目されていた。

この分野では、日本の軽自動車に相当する車でホンダ、富士重工、ダイハツ、鈴木、三菱、などが強いため、今後この分野でこういった車が、(燃費の関係と安全で米国基準をクリアされれば)相当面白い車になってくる。

なんとなく、ヨーロッパ調の車になってきており(小さくて馬力がありスピードも出る。)これからアメリカでも流行するのかという兆しが出ている。今回、唯一この車種での感じが私の収穫であった。(但し、スマートは日本では発売中止という記事を読んだ記憶がする。又、最近のニュースでは独ダイムラー・クライスラー社は、このスマートの次期新車開発を一時凍結するなど超小型車事業の見直しをすると発表している。尚、日本では昨年も軽自動車は販売最高台数を記録している)

今後、現在乗っている車の次の2台目に何を買うかと自問自答すれば、やはり何と言ってもミニクーパー(BMW)である。

 アメリカでは、これは本人が乗る車よりもむしろ2台目の奥さんが乗る車にぴったりではないかとみた。但し、子供が大きくなった後の家庭のことです。

 BMWは相変わらず素晴らしい車で、日本で外車を買うのに何かと聞かれたら、BMWを一押しです。

ベンツはもうオールドファッションで、なんとなくセンスは田舎のセンスです。魅力は感じなかった。ちょっと戦略を変えた特徴ある車を出していかないと、じり貧になるのでは無いかという感じを受けた。

ヒュンダイ(現代自動車)は、小型のSUVを出してきた。このカテゴリーに参入して、値段が27,000ドルぐらいだと他社の価格帯と同じになり、今までの廉価と品質が良いといわれたイメージから、価格帯が同じで勝負する車が出てきたので、これからがヒュンダイの本当の勝負になる。今年あたりが勝負になるか?(今迄は100%輸入車であり、今年からアラバマの生産製車も販売するため価格と品質の勝負になる)

但し、この会社の凄い所は「ソナタ」という新型セダン6気筒エンジンで2万ドルを切る価格帯の車を出していて、今年からアラバマで始めて現地生産する車である。「ソナタ」はトヨタの「カムリ」ホンダの「アコード」という日本の両社の看板車種と競合車種としてぶつけてきたことである。この分野は今まで日本車の独壇場であったが今年はかなり激戦区となりそうである。

以上が個々の車の感想であり、全体的見て車は色が黒、グレーが基調であり、あまり派手な色が今年は見られなかった。

オートショーのお客も若い人よりも中年以上の人が目立っていた。また、乳母車などでの夫婦も多くきているのが特徴的でした。

本当に車を買う人が来ているのかな、という感じがしないでもない。なぜならばコンセプトカーとか大きい車(ハンマーのような軍用車の改造車)などに人だかりがしていたからである。(日本のオートショーも同じ傾向にある。但し、日本は学生を含めて若い人が多い!)

更に、今年は何故か車を説明するのが今迄は若い女性が派手な服装で説明をしましたが、なんと男性が説明をしている例が半分ぐらいあり(かなりイケメン!)しかも女性も男性も黒を基調とした洋服で説明していたのが特徴的であつた。

車も、人も、黒っぽい感じの印象が目立っていた。

その他、コンセプトカーではないが、ジャガーのリヤー・シート、ヘッドレスト部分にテレビをつけた車もかなり話題になっていた。電子制御のディプレー車が数多く出品されており、今後の車の原価の比率は、電気関係が40%を占めるといわれており、その傾向が一段と目立つようになって来ている。

 以上、デトロイト・オートショーの見学記でした。 森田