『第1回日本国際情報学会大会』報告
 

大会実行委員 情野瑞穂(国際情報専攻 2期生)

          
 

 

 



   
 

 

平成14年秋、日本国際情報学会は本研究科を母体として誕生いたしました。それから2年。第1回の研究発表の場を設けることができましたので、その報告をさせていただきます。

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1030日及び31日、週末の2日間を使って日本国際情報学会の総会と研究発表会が行なわれました。会場となったのは、水道橋にある経済学部7号館の講堂。新しく明るい色調でありながら重厚さをもつ建物です。すべての席にはPC設置が可能な長テーブルが付き、同時通訳設備も整った最先端をゆくホールとなっており、平日ならばほとんど予約を取ることが困難だといいます。

 会員による研究発表会は、本年度、すばらしいスタートを切ることができました。昨年は、研究科設立5周年記念の大学院祭のプログラムの中に、学外から研究者を招いての講演とシンポジウムを用意いたしました。今回は、会員の発表のほか、学会名誉会員と役員による講演が3本ありましたが、すべてのプログラムは会員によって構成されました。

 30日は冷たい雨がガラスドアをたたく中、総会がまず行なわれ、研究発表の大会は近藤大博会長挨拶から14時にスタートしました。佐々木健名誉会員、引き続いて荘光茂樹学会顧問による基調講演の後、本学ドクター生会員3名の研究報告がありました。翌31日は雨も上がり、大会は午前中から始まって、マスター修了生1名と現ドクター生6名による研究報告と盛りだくさんの内容となりました。一般発表の後には、歴史作家である星亮一会員の特別発表、五十嵐雅郎副会長による基調講演があり、最後は小松憲治顧問による挨拶で閉会となりました。

 初の大会であったにも関わらず、数多くの研究報告を披露することができました。そのため、各発表に十分な時間を割くことができませんでしたが、それでも発表後には多くの質問が寄せられ、聴講者には大きな刺激と新しい知識をもたらしたようでした。国際情報学会の活動目的の大きな柱の1つに、多角的な視点と手法により横断的な研究を進めることが挙げられます。従来の学会活動のような独立的な専門性を重視することなく、様々な角度から捉え、様々なアプローチを試みることによって現在の複雑な様相を理解し、そこから導き出せるものを探っていく。そのための材料を各会員が提出して学会に取り込み、会員皆で共有していくことを考えております。会が熟していくうちには、それらを会外に発信していけたら、との希望ももっております。

 今回の全14のプログラムは、まさに彩り豊かなものとなりました。各産業分野での実態と課題は、銀行経営や電子マネー、ライフサイエンス産業、エンターテインメントビジネス、自動車、鉄道、食ビジネスなどからのアプローチがあり、明治・大正期の排日・排中意識、今日の中国について、また、このグローバル時代における自己認識、社会基盤整備についての報告や講演が集まりました。そしてそれらの研究を身に付けていくためのベースとして、本学のような遠隔教育、サイバー大学院についての発表もありました。

これらはまったく異なった専門分野となりますが、国際社会の中での日本を見つめるために、それらはすべて直接的間接的に結ばれるものかと思います。11つの事象をいかように結び付けて理解を進めるか、そのセンスを身につけていくための機会をわたしども日本国際情報学会が提供し続けることができるよう、今後の活動を練っていこうと思っております。

次年度については10月に大会を考えております。それまでにいくつかの小集会や後援・共催事業もあろうかと思います。学会活動を支えるのは、各人の研究心かと思いますので、本学修了または現役の皆様、また電子マガジンを読まれている学外の皆様からもっと仲間が増えることをお待ちしております。