連載     「川物語(多摩川編その4)

 

                                                                           

                                       国際情報専攻 2期生 ・修了  村上恒夫

                                                                                      

 

 

 

 

 

NHK大河ドラマの影響もあり、新撰組を生んだ多摩(東京都の西部)は一躍注目を浴びることとなった。NHKのドラマ開始にあわせ、土方歳三を生んだ日野市では「新撰組フェスタ」を土方歳三生家の近く万願寺で開催している。

 

大河ドラマの殺陣を指導する団体の試斬

 

 前回も書いたが、新撰組は多摩では英雄なのだ。少なくとも、多摩に育ち、剣道でもやろうものなら、新撰組気取りだ。勿論、筆者もその弁にもれず、防具を担ぐ高校時代を多摩で送った。

 

大河ドラマに使われた衣装など。

 

 幕末における新撰組の評価には、なかなか厳しいものが多い。生まれ育った風土で純朴素朴の育った彼らに対してあまりに厳しい評価なのではと、ついつい弁護してしまう。

 出張で行く高知の飲み屋(竜馬亭)では防戦一方である。孤軍奮闘なので、なかなか酔っていられない。手厳しい指摘に乾く喉のため、ビールに手が伸びる。福島で飲むときは苦労しないが、山口や高知で飲むときは矢面に立たされながら杯を干すことになる。

 

土方生家のすぐ近くを流れる浅川(多摩川支流)

 

 土方歳三の生家の近くを流れる浅川にはモノレールが渡り、マンションが並ぶ。140年前には思いもしない風景が広がっている。

 

土方歳三生家(土方歳三記念館)

 

 多摩モノレール万願寺駅から歩いて5分もすると、「土方」と表札のある家がある。土方歳三の生家で現在「土方歳三記念館」として一室を公開している。

 

甲州街道日野橋付近からの多摩川

 

 天然理心流を学んだ若者たちも夏には多摩川で暑さをしのいだことだろう。京都の鴨川の流れを見て、故郷の多摩川に思いを馳せたことだろう。京都を追われ故郷の多摩川を再び見たとき、彼らは何を思ったことだろうか。

 

注)新撰組フェスタは10月まで開催されます。問い合わせは実行委員会(042-589-7272)