国際情報専攻  神垣 幸志

            

     長谷川ゼミ4期生修士論文奮戦記

 

   


 長谷川ゼミ3期生より、『4期生の皆さんへ』で始まる長文の電子メールが届いたところから、我ら4期生の修士論文との格闘戦は始まりました。

 

【長谷川ゼミ3期生より4期生への2003年1月24日付け電子メール −抜粋−】

4期生の皆さんへ

明日は私たち3期生の論文に対する口答試問です。2期生の先輩から大事なメールを頂いたので4期生の皆さんに伝承いたします。長谷川ゼミとしては、5期生、6期生へと伝承しつづける事を願って、ここにお知らせいたします。尤も4期生の皆さんには1年後に役に立つものですが。••••••以下

 

さて、この奮戦記は3期生より向う1年間の心構えを説かれた我ら4期生が、その後1年間に渡って遣り取りした電子メールの中から、“激励”“悲鳴”“愚痴”など本音の会話を記録し、我ら4期生の戦いの記念碑にせんとする試みです。したがいまして、編集者の余計なコメントは極力避け、時間軸に沿って纏めてみました。尚、登場人物はプライバシー保護の観点より下記別称によって表記させて頂きました。4期の皆さん、悪しからず!

 

ゼミ生紹介:                                          別称

バイタリティー溢れる技術屋社長                                別称 “ゼミ長”

アルバイトで生活を支えながら勉学に専念する大学院生      別称 “勤労学生”

技術系の元国労闘士                                  別称 “ポッポ屋”

勉学の術を心得た高校教師                                別称 “優等生”

日本人であることに悩む海外駐在員                        別称 “怪しい東洋人”

 

では、我ら長谷川ゼミ4期生の“本音”の修士論文奮戦記をごゆっくりお楽しみ下さい。

 

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【“優等生”より“怪しい東洋人”への2003年1月25日付け電子メール −抜粋−】

『“怪しい東洋人”様。

メールどうも。•••前文略•••

論文に関しては、おっしゃるとおり、長谷川先生の考え方、方針を把握することが必要だと痛感しました。私は、世界経済論を履修しましたが、“ゼミ長”のメールにあった授業概要説明どおりです。その他の科目は、•••省略•••今日3期生から、口頭試問についてのメールを受け取りましたが、1年後はわれわれの番ですね。頑張らなければ   ••••••以下

 

【“勤労学生”より“ゼミ長”への2003年2月9日付け電子メール −抜粋−】

『“ゼミ長”さん

いつも情報ありがとうございます。 “ゼミ長”が凄い頑張っておられるので、私も奮起しなければといつも思っています。ところで、今、“ゼミ長”はどのようなことをされていますか?私は、卒論のテーマや文書構成等を考えています。まだ長谷川教授へ連絡していませんが、早く決めて卒論へ取り掛かるつもりです。道のりは大変険しく感じています。本当にいつも情報をありがとうございます。••••••以下

 

【“ゼミ長”より“勤労学生”への2003年2月9日付け電子メール −抜粋−】

『“勤労学生”さん

お久しぶり、余り連絡がないので心配してました。お元気のようで何よりです。私は何も頑張っていません。こういうと威張るようですがとてもとてもついていくのがつらいのです。と言ってもまだ命までは取られないからと、居直っているだけです。さて修論の関係ですが、ODAから少し方向転換してカンボジアについて学び、その中の援助の一端としてODAがあるとしようと思い先生に連絡したところ「開発援助学」を学び理解しなさいと言う一言でチョンでした。•••中略•••  長谷川先生は、優しくきつい先生ですから怒られても連絡を密にした方が良いと思います。また4月頃お会いできるのではないでしょうか。••••••以下

 

【3期生より“怪しい東洋人”への2003年2月17日付け電子メール −抜粋−】

『“怪しい東洋人”さん

•••前文略•••

それはそうと、ビンタン、よいですね。私がシンガポール滞在時に住んでいたイースト・コーストのベイショア・パークからも、海の彼方に見えていました。でも、私としては東南アジアのリゾートで思い出深いのは、ボルネオのコタキナバルとマレーシアのランカウイです。また行って、のんびりしたいものです。

それと、卒論のこと、書いているうちにどんどん変わっていきます。そういう意味で「早めに書き始めろ」という人の意見ももっともです。文章をまとめるスピードにも個性があるので、皆に当てはまる方法論はないのでしょう。ただ、内容が変わるのは、やはりいろいろと別のアイデアを加えるためで、とにかく闇雲に考え込んでもしょうがないということですね。••••••以下

 

【“ポッポ屋”より“怪しい東洋人”への2003年3月30日付け電子メール −抜粋−】

•••前文略•••

履修届けには、小松先生の「国際経済政策論特講」と書き込みました。動機は、ちょっと不純で、論文の面接委員の学科は取っておいた方が良いとの先輩の御意見に沿ったわけです。••••••以下

 

【“ゼミ長“より4期生への2003年4月23日付け電子メール −抜粋−】

『4期の皆さんへ

ご無沙汰しています。ゼミより早や一月、勉強進んでいますか? 昨日(22日)新しいテキストが届きました。昨年と違ってずいぶん小ぶりになりました。卒論のため課目数を絞った皆さんはどうですか。長谷川先生にもしばらくご無沙汰しています。一人一人先生に報告していかないと、お叱りが出るかも知れません。それではまた。』

 

【“勤労学生”より4期生への2003年4月23日付け電子メール −抜粋−】

『皆さん こんにちは、そしてお疲れ様です。さて私は、スクーリングの後、先生の推奨文献を3冊探して読みました。確かに“怪しい東洋人”さんが言う通り1回や2回読んだだけでは理解できませんし覚えてもいません。•••中略••• 一冊の本を1週間で読み、そして最低3回は繰り返し読んでいます。これが良いのか悪いのかは分かりませんが、論文を書くにあたっては苦しまなければいけないと感じています。ところで、私の修士論文構想について、昨日、長谷川先生より辛口のコメントを頂きましたので同期の為に情報をシェア-させて頂きます。

- 《先生のコメント》取り敢えずはそれでいいとして、ともかく書いてみるといいでしょう。ただし、あまりにも読んでいる専門書が少なすぎますね。他にどんな本を読んだのですか。たとえば、講談社学術文庫の林語堂『中国=文化と思想』、森三木三郎『老子・荘子』、みすず書房の島田けんじ『中国の伝統思想』、人文書院『老子と道教』、研文出版『中国文化史・近代化と伝統』、千石保『中国人の価値観』(サイマル出版会)、竹内実『中国の思想』(NHKブックス)、などは少なくとも読まなければ中国を知り得ないでしょう。もっと基本的なものの見方、専門知識を身につけないととても修士論文にはなりません。••••••以下

 

【“優等生”より“怪しい東洋人”への2003年5月3日付け電子メール −抜粋−】

『私には、今年の連休はカレンダーの関係で「ただの3連休」ということで別に意味がなくなってしまいました。高等学校は4月に新学期を迎えて、この時期は、問題が発生しやすく、不安定な時期です。生徒の問題行動、盗難、暴力事件や外部の「あやしい系の方」の登場など、恒例行事化しつつあります。•••中省略••• 先週長谷川先生より激励のメールがありましたが、背後には、当然叱咤の意味のほうが大きいとみなければ、と思っています。卒論については、章分け、と節分けをして長谷川先生へ送ったところ、論じる順序と論旨について、貴重な指導をもらいました。3期生の方に比べて、私には、長谷川先生は、答えを容易に言ってくださる気がします。ということは「こいつには、自分で考える能力がない」と判断されているのかもしれません。•••中省略•••また、“怪しい東洋人”さんは、8月には書き上げるとおっしゃっていましたが、進み具合はどうですか。3月にお伺いした論文のIT関連情報について、少し詳しく質問したいとかねがね思っていますが、お会いしたときにでも教えてください。••••••以下

 

【“ポッポ屋”より“怪しい東洋人”への2003年8月9日付け電子メール −抜粋−】

『“ゼミ長”が「ぎっくり腰」というのを8日の自主ゼミで聞きました。お大事に。8日は7人の少規模のゼミとなりました。M2は論文の途中報告をしてそれに対してコメントして貰いましたが“優等生”さんは相当進んでいるようでした。小生はまだ緒についたばかりで焦りを感じました。リポートをまず8月中に仕上げないと9月提出なので・・・・。あの種のゼミも、先生はいないけど、結構有意義なゼミでした。それでは。』

 

【“怪しい東洋人”より“ポッポ屋への2003年9月10日付け電子メール −抜粋−】

『すっかりご無沙汰してしまいました。お手紙から、頑張っていらっしゃる様子がみえるようです。私は、前回のゼミの後、めちゃくちゃに忙しくなってしまいました。今日も3時間前に、香港から戻ってきたところです。修士論文に取り組もうと思っているのですが、疲れると何もできません。参った!ということで、お分かりのように、最近、先生から報告しない人は、卒業できませんよと言われているのは、実は、私です。ともあれ、久々に、交信できましたので、気合が入りました。有難うございます。』

 

【“ポッポ屋”より“怪しい東洋人”への2003年9月27日付け電子メール −抜粋−】

『論文を今も作成中です。鉄道に関するデータを集めながら統計的にまとめています。その結果を、先生に送信しても「これではコメントできない」と厳しい御指導です。このパターンが何回か続いていて、気が焦ります。そろそろ決着つけないと時間がないし。仕事もこれから来年2月まで忙しいし。ところで、“ゼミ長”は元気ですかね。メールしても返事がないので心配です。生きてますかね。••••••以下

 

【“勤労学生”より4期生への2003年10月10日付け電子メール −抜粋−】

『お仕事と修士論文の作成大変お疲れ様です。どうですか? 修士論文は進んでいますか。私は、発狂寸前です。なかなか第1章が終らずにいます。まさか、皆さん、もう書き終えたって言うんじゃないでしょうね!こんな調子で果たして、論文が出来上がるのか?今、非常に焦っています。••••••以下

 

【“怪しい東洋人”より“勤労学生”へ 2003年10月10日付け電子メール −抜粋−】

『ご心配なく!

少なくとも、私は、まだ第一章で悩んでいます。おまけに、悩みついでに、開発経済学の入門書である、高木保興東大教授著「開発経済学の新展開」を先週末から再読しています。ついでに、日経文庫の「経済思想史」も読んでしまいました。本というのは、読み出すと止まらないので、論文を書いている暇がありません。困ったものです。“勤労学生”さんも、開き直って読書をしませんか?新たな知恵が湧いてくるかもしれません。ということで、私は読書に戻ります。では』

 

【“ゼミ長”より4期生への2003年12月3日付け電子メール −抜粋−】

『4期生各位

久しぶりにメールします。というのはこのメールもいつオープンしたかと言う位、久しく開けていません。(怖くて開けられない)“勤労学生”の悲鳴と、“怪しい東洋人”の優しいアドバイスの他は、3人とも無言か、無視・・・・。地獄の11月が終わりました。10月末から今日まで一歩も前進しませんでした。(威張っているわけではありません)日帰り出張に加え、盛岡や秋田など遠距離出張が重なり、旅先まで受講課目のテキストは持って行ったのですが、とてもホテルで読めません。せいぜい10ページ進めばよいでしょうか。(実は3ページ)では、行き帰りの車中では読めるのではないか!と長谷川先生のお声が聞こえてきそうです。残念ながら脆弱な僕ちゃんは行きは新聞と車外の景色を見て、帰りは疲れきってお酒を少しあおって居眠りです。次の2〜3日は出張のまとめリポート、出張中の残務整理などであっという間に、1週間が過ぎてしまいます。では日曜日は?って。先生はこのような状態に陥ることを百も承知の上で、なんでも良いからメールをよこせ、よこせと仰いますが、こんな言い訳ばっかり皆さんはメールできます?兎に角、喉の先までギブアップと出かかっていますが、あと1月頑張って見ます。終わった人も、終わらない人も、仲良く卒業できるといいんだけれど。面接日の(非情な)通知が届きました。小生は1月25日です。•••中省略•••  “優等生”さんのサゼッションにより、乾先生の『論文の書き方(技術編)』を読みました。大変役に立ちました。(深謝)つい先週も戸田山和久『論文の教室』NHKブックスを買いました。今更?といわれるかもしれませんが、袴に「論文なんてコワクない、読めば必ず書ける究極の入門書!」なんて書いてあるから、お守りみたいな気がして、つい買っちゃいました。これでこの関係は6冊目ですが、買っただけでは論文が通るわけありませんよね。ただ怖い長谷川先生から『君のは、全く論証に欠けているよ』と言われないように、この部分が比較的分かりやすく、この本には書かれていましたので、ついつい・・・。

“怪しい東洋人”さん12月大変のようですね。貴方のバイタリティなら大丈夫でしょう。オットト、そんなこと私が言える立場ではありません。私は“優等生”さんと違い、未だ2合目を登っているのだから。ところで“勤労学生”さん生きてますか?“ポッポ屋”さんは鉄道マンらしく、レールに乗って一直線に走っているようですね。

学問に王道は無いけれど、社会人を対象にした大学院は苦しみばかりでなく、学ぶ楽しみを感じられる時間が欲しいですね。多分長谷川先生に、ぶん殴られるでしょうけれど! 元気のようで、元気の無い“ゼミ長”より。』

 

【 “怪しい東洋人”より“ゼミ長”への2003年12月6日付け電子メール −抜粋−】

『出張前に提出していた草稿に関するコメントを先生から頂き急ぎ手直しをしているところです。ついでに、ソーシャルキャピタル理論の参照文献として「フクヤマかパットナム」を推奨されたのでさっきまでシンガポール大丸3階の紀伊国屋書店で探していました。(とても原文で読む気がしませんので)でも、情けないかな田舎の本屋の悲しさで「バットマンの漫画」は置いてありましたが、目的の文献は見つかりませんでした。こうなったら、インターネットで勝負です。ところが、そのインターネットが妙なバイルス(?)に感染してしまい、悪戦苦闘しています。このバイルス(?)は、IEを起動するたびに、USAのアダルトサイトに自動的に接続してくれて、次々と勝手に超過激なxxx写真を画面に表示してくるのです。この金髪xxxが表示されると、学問のやる気を失わせ、変なやる気を起こさせてくれます。でも、暇なときなら、笑って画面を消していけるのですが、この忙しいときにこれでは少々辟易しています。 皆さんも、金髪xxxバイルス(?)には気をつけましょう。この件は、八代さんには質問しにくいので、当地のインターネットプロバイダーである、NTTに助けを求めているところです。まったく、困ったものです。この切羽詰った時期に、金髪xxxバイルス(?)と格闘している “怪しい東洋人”からの近況報告でした。』

 

【“勤労学生”より4期生への2003年12月14日付け電子メール −抜粋−】

『私は、修士論文を書き終えました。

っと言うのは嘘ですが、もう大変苦しんでいます。レポートも他に2科目書かないといけないのに、もうそんな余裕なんてありません。論文第一に考えていますから、レポートはどうしても後回しになってしまいます。はっきり言ってもうやめたい。だけど仕事を持っている皆さんに比べると•••諦める訳にはいきません、ええ最後まで諦めずに頑張ります。とにかく、来年の1月25日に皆様にお会いできるのを楽しみにしています。それまでに、しなければいけないことが山ほどありますけど25日は、皆さん!朝まで飲みましょう。』

 

【“ゼミ長”より4期生への2003年12月17日付け電子メール −抜粋−】

4期の皆さんへ

 メールの題名、おどろかしてゴメンナサイ。

 私には、ついに先生から本日最後通告が来ました。余りにも連絡しなかったからです。今、出張から帰って大慌てで謝りのメールを入れましたが、どうなる(許される)か分かりません。私も論文提出締切日まで出張を絞りに絞って1日にしましたが、もう駄目です、と先生に言われたら、留年です。本当はカネの問題が無かったら、留年してもう少し実のあるものにしたい気もあります。環境社会学や、文化人類学を包含した「開発理論」が面白くなりかけてきたところです。兎に角、あと一月を切りました。全員ハードルを越えたいですね。“優等生”さん余裕の海外旅行、気をつけて行ってらっしゃい。“怪しい東洋人”さんは仕事(飲み会も入れて)かなりきつそう。でもバイタリティあるもんね。“ポッポ屋”さんも大変のようだけど、旨く行きそうな雰囲気ですね。“勤労学生”さん、声が聞こえてよかった。貴方と僕が一番きついようですね。ではまた。』

 

【“怪しい東洋人”より 4期生への2004年1月2日付け電子メール −抜粋−】

『新年あけましておめでとうございます。

今年も宜しくお願いいたします。

ところで、本日も1月1日だというのに(既に2日の明け方近くになっていました。)修士論文をまだ書いています。やっと、先ほど最終節を書き終わり長谷川先生に送ったところですが、今は、先生のコメントも待たずに、全体の見直しをかけているところです。ともあれ、当地での勤務契約では12月31日も出社、1月2日が初出勤で正月といっても休めるのは元日だけ、おまけに今年はオフィス移転と重なってしまい1月4日も出社です。やはり季節感の無い国では、ものごとの変化を祝うという気持ちが湧きにくいのでしょうか?もっとも、チャイニーズニューイアーは連休となるのですが、今年のチャイニーズニューイアーは21日〜25日ですから、卒業試験と重なっています。で何を言いたいかと申しますと、私にとっては25日は正月休みに等しく新年祝いを行うのに最適だと言いたいわけです。ですので、“ゼミ長”そして4期の皆様、お忙しいでしょうが当日は試験のみならず一緒に新年を祝ってやって下さい。

ところで、“ゼミ長”のメッセージ中に私が深く共感する一節を見つけました。それは:「基礎の無い私は一冊一冊読みながら理解し、初めて出会うことに感動していると、とても幼稚な質問しかできないような気がして、つい質問が遠のいてしまいます。」この箇所なのですが、“ゼミ長”の驕りを抑えた控えめな表現は別にして、私にとっての、修士課程は、正しく「質問ができない」何故、できないのかを考え続けた2年間でした。結局、自分なりに問題を見つける目を作ることが研究行為の基礎なのだと骨身に沁みて分かったのです。 これは、考えてみれば、先生が最初から私たちに色々な表現で繰り返し話してくれたことなのですが、その意味がやっと本当に理解できたところです。何か、私が学んだことは、これだけだったような気もしているのですが、ともかく今年も良い年になりますように、では、これから会社に行きます。』

 

【“ゼミ長”より4期生への2004年1月14日付け電子メール −抜粋−】

『長谷川ゼミ4期の皆さんへ

修論の提出は、たぶん私が最後のようですネ。(今日ですから)皆さん終わられてホットして居られるでしょうね。最後の最後まで、親不孝ならず、先生不幸をしました。自分でも、内容について半分も満足できていません。しかし、タイムリミットのため、一応?義務は果しました。しかし評価と査定は先生側にあるため、もうどうもがいても仕方ありません。25日に、引導を渡されることを覚悟で面接に望みます。あとリポートが4本残っていますが、2本については余りクレームが無く僅かな修正で提出してよいとのことで安心していますが、もう1本の環境問題は、貴方のオリジナリティの考えで書くよう指示されていて、これがなかなか厄介なところです。どちらの先生も、過去に一度ほめられてしまったため、今更ギブアップやそのままの提出が(多分出せばお情け合格でしょうが)できなくなってしまいました。人の心理の恐ろしさを感じます。一番頻度よく連絡しなければならない、長谷川先生にはつい時間が空いてしまう連続でしたのに。これってトラウマでしょうか?

それではお会いする日には大いに飲みましょう。その時の私は青菜に塩の状態かもしれませんが。もう腹は据わりました。だって61歳の老人だもの。それまで皆さんお元気で。チャオ!』

 

【“勤労学生”より4期生への2004年1月15日付け電子メール −抜粋−】

『皆さん、お元気ですか。

昨日の1月14日のAM11:30頃に、ヤマトにて私も修士論文を発送しました。発送ギリギリまで、やっていました。一往大阪から埼玉所沢まで翌日には着くと確認しての発送ですが、天気がとても心配です。日本海は大雪、おまけに京都から岐阜、名古屋と大雪のために、15日に着くかどうか  •••中省略••• 今から、3期の先輩に教えてもらった。面接試問の質問を纏めています。レポートも今日草稿を提出しました。これも19日までの最終提出まで手を抜かずにやり遂げたいと思います。あと、就職活動も頑張ります。では、25日にお会いできることを楽しみにしています。』

 

【“優等生”より4期生への2004年1月20日付け電子メール −抜粋−】

”怪しい東洋人”さんへ、CC:4期生の皆さん

私の試験日は1月25日(日)13:40からですが、つべこべ言わずに、5期生への申し送りはお引き受けします。臨場感のため、試験日前日に送付することにしましょう。

•••中省略•••  そこで、自分がどれだけ正直に、努力をし、成長できたかがこの2年間の時間と授業料にたいする代償ではないかと思います。結局は自分をどれだけ鍛えることが出来たか、自分との戦いにどう挑んだか、ということで、他人は関係ないと言うことです。••••••以下

 

【“怪しい東洋人”より“優等生”への2004年1月21日付け電子メール −抜粋−】

『先ず、私も“優等生”さんの意見に賛成であることを表明します。この大学院は、人間を振り落とすのではなく、人間を成長させるための機関だと感じています。従いまして、卒業証書も重要ですが、何を身につけたのかがより重要だと感じています。その観点でいいますと、たしかに、論文を纏める速度と、メールを打てる量は増えましたが入学前と比べての違いに気がつかなくて悩んでいました。

しかし、最近気がついたのですが、私は、先生の著作を抵抗感無く読めるようになっていたのです。今でも、覚えていますが、先生の著作は私には難解で、2年前には内容を理解するのに相当な時間がかかっていました。でも、今は、理解度はともかく、先生の論点が理解できるようになってきました。本読みの速度向上、これもささやかな進歩のひとつでしょう。でも何よりも、世の中にこれほど多くの思想と理論が満ち溢れていて、自分の疑問点や悩みなどは、先人がほとんどの場合、解決していることを肌で知ったことが重要でした。つまり、学問とは、文字通り、問いを発して、そこから学ぶものなのであり、問いを発する力を持つことが全ての始まりであり、回答は先人の業績を調べそこから学ぶものなのだと理解しました。

結局、学問とは人類が作り上げた巨大な知識ベースの正会員になり、刺激を受けるっていう感じなんですね。ここで、正会員になれる資格は質問力と理解力ですから、この2年間でそれが向上していれば元を取ったことになりませんか?皆さんは、どうお考えでしょうか?このテーマで是非25日は飲みましょう!!』

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 以上、M2の1年間に、同期生で遣り取りしたメールのうち、ほんの一部を紹介させて頂きました。これを読んで頂けただけで、何故、修士論文完成を目指して集まっただけのメンバーが、M2終了時には深い絆で結ばれるのかをご理解いただけたかと思います。

 それほど頻繁に会う訳でもないのに、何故か旧知の間柄であったような錯覚さえ覚えさせてくれる仲間です。修士論文完成(提出しただけ?)も嬉しいけれど、それ以上に、たとえ月並みな言葉だと笑われても、やはり最後には言いたくなります。

『“ゼミ長”、 “勤労学生”さん、 “ポッポ屋”さん、そして “優等生”さん、これからも友達でいようね!』

ところで、長谷川先生はそんなに怖い人かですって? 勿論、違います。実際の先生は、学問への姿勢は極めて厳しいけれど(だから反論できないので怖い。)学生思いの優しい方です。大学院受験生の皆さん、ですから、安心して長谷川ゼミに挑戦してみて下さい。

 

-完-