国際情報専攻 鞆谷 純一
インターネットで歴史資料を発掘
このような不便極まりない土地で勤務しながら、大学院で学びことができたのは、インターネットを活用したサイバー大学院である本研究科が存在したおかげです。また、修士論文やリポートを執筆する上で、インターネットを用いた情報検索は欠かせないものでした。 私の修士論文の題目は「満鉄図書館と大佐三四五」という歴史研究(近代史)であり、参照すべき資料の多くは東京や大阪の図書館等に所蔵されています。歴史研究という性質上、何らかの新資料の発掘は必須ですが、資料に直接アクセスすることがなかなかできないことが大きな悩みでした。 しかし、国立国会図書館や公共図書館では、インターネット上で蔵書目録が公開されています。蔵書目録を検索し、郵送複写を申し込んだり、下宿近くの公共図書館で閲覧できるように手続き(図書館間の協力貸出)すれば、資料収集はさほど困難なことではありませんでした。私が利用した主な図書館等のホームページを以下に挙げます。
1、「国立国会図書館蔵書検索・申込システム(NDL OPAC)」http://opac.ndl.go.jp/index.html 「国立国会図書館アジア言語OPAC」http://asiaopac.ndl.go.jp/ 国立国会図書館の蔵書目録と、雑誌記事索引が利用できます。雑誌記事索引は先行研究の調査に用いました。利用者登録しておくと、オンライン上から複写物の申し込みも行えます。
2、「大阪府立図書館蔵書検索」http://opac.library.pref.osaka.jp/cweb/jsp/search1.jsp 同館は戦前日本における有数の図書館であり、かつ戦災に遭ってないので、戦前の出版物をよく所蔵しています。
3、「NACSIS Webcat」http://webcat.nii.ac.jp/ 「Webcat Plus」http://webcatplus.nii.ac.jp/ 国立情報学研究所が提供する国内の大学図書館を中心とした総合目録です。
4、「国立国会図書館 総合目録ネットワークシステム」 公共図書館(都道府県立図書館、政令指定都市市立図書館等)の総合目録(和図書のみ)。 大変有用なシステムですが、一般には公開されていません。そのため、近くの公共図書館で代行検索をお願いするしかないのが残念です。
5、「国立公文書館 アジア歴史資料センター」http://www.jacar.go.jp/ 国立公文書館、外務省外交史料館、防衛庁防衛研究所の所蔵資料をオンライン上で閲覧、プリントアウト、ダウンロードすることができます。検索システムも充実していて、東京から遠く離れた人間にとっては大変な福音です
6、「東洋文庫 図書のオンライン検索」 http://www.toyo-bunko.or.jp/library/SearchMenu.html 世界有数の東洋学専門図書館。貴重な歴史資料を発掘することができました。
7、「皓星社データベース」http://www.libro-koseisha.co.jp/top01/top01.html 『日本人物情報大系』や『雑誌記事索引集成』を出版している皓星社のホームページ。私は、人物情報のデータベースにアクセスしました。戦前期の人物研究の下調べにはうってつけだと思います。
これらのホームページを駆使することで、かなりの歴史資料を蒐集することができました。しかし、書名や著者名の分かっているような特定の資料を探すのには便利ですが、未知の資料群の中から役に立つ資料を探し出すためには、入力するキーワードを試行錯誤するなどの手間が掛かる割りには、隔靴掻痒の感が拭えませんでした。事実、直接来館して書架の間を歩き、資料を手にとってみると、意外な発見をすることが多々ありました。インターネットが発達しても、何か越えられないものがあると感じました。また、データベース化されていない資料もあります。インターネットは役に立ちますが、それにすべて頼るのではなく、何処にでも一度や二度は実際に足を運んでみることも必要であると痛感しました。
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