人間科学専攻  田中 聡

       「修論完成への道のり」

       

   

 先日、やっとの思いで修士論文を提出いたしました。修士論文完成にいたるまでのこの2年間は、僕にとって非常に険しいものでした。この長くて短かった道のりの概略をご説明したいと思います。事実経過を包み隠さずに、率直に記します。

1年目

5月

 初のゼミが開かれ、その場で私の当初のテーマであった『メディカルエンジニアの職務満足感の検討』(ちなみに私は普段、病院でレントゲン技師をしています)について発表する。ゼミの諸先輩方から「その研究の意義はどこにあるの?」といった質問を受け、完全にフリーズしてしまう。

6月〜9月

 修士論文のことはいつも頭の片隅にはあったものの、初めてのレポート提出を控え、四苦八苦の日々を過ごす。そのため修士論文の作業は置き去りとなっていたが、レポート提出のための学習を進めるうちに、心理学の様々な視点についてぼんやりと理解しはじめ、修士論文のテーマについても新たな観点から考え直すようになる。

10月〜1月

 『X線フィルムにおける病変の見落としについて』というテーマに大きく変更を決意。はりきって私なりの仮説のもと、予備実験を行うが、的はずれな結果が出てあえなく失敗。しかしながら、教授から、「こういったことはよくあることですよ、心配しないでください。」というお言葉をいただき、さらに研究を進めようと奮起する。

2月〜3月

 ゼミの先輩方が修士論文を無事提出されたことを聞き、あと一年しかないことに不安を強く感じる。また同期の皆さんの方向性が固まっていくことに焦りを覚える。

2年目

4月〜8月

 教授の手厚いご指導のもと、さらなる予備実験と少ないながらも先行研究の論文を読み進める中で、ようやく本実験に移れそうな見通しが立つ。

9月〜10月 

 ついに本実験を行う。非常に手間のかかる大変な作業であったが、徐々にデータが集まるにつれて、結果に期待が高まり、実験を行うのが楽しくなってくる。

11月〜1月

 結果が出そろったので分析に取りかかる。だが、これが予想以上に時間がかかってしまい、時間が足りないことにさらなる焦りを感じる。結局、正月もない状況に追い込まれてしまうが、何とか提出期限までに修士論文を提出する。

 というわけで、険しい道のりではありましたが修士論文を提出することができました。提出し終えた今、私は研究することの面白さを強く感じています。確かに論文を書くことは苦しい作業ではありましたが、同時に楽しく面白い作業でもありました。私にとってはこの修士論文がまさにデビュー論文。今後、さらに勉強をして研究を進め、自分でも納得がゆき誰の目から見ても良い論文を書きたいと思っています。これから修士論文を書かれる皆様、最後には研究を行うことが面白いと感じると思いますのでがんばってください。