紀行       欲張り、贅沢な休日

 

                                国際情報専攻 修了生 齋藤俊之

 

   

 「ペナン島ではビーチの木陰でウッドベンチに座りのんびり本でも読みたいよ。」と鈴木佳徳さん(同専攻修了生)。極寒の日本から南国マレーシア。それもリゾート地のペナン島で時間を過ごすとなれば正論の正論。時間も贅沢に使いたいものです。

 しかし、私は違って、目新しいことと歩き回るのが好きな性格らしい。特に好きな国(地域)ではこの性格がなぜか強く出るらしい。鈴木さん曰く「歩く姿が街にとけこみすぎ」「違和感なし」と。そう言えば通りで何気に声をかけてきたお菓子屋と洋服屋のおばさん、不思議そうに私を見ていたっけ。

 ペナン島からフェリーで15分ほど、本島にある街バターワースから各地に出るバス乗り場の利用を知って、ペナン島内だけで時間を過ごすことがもったいないと感じていた私は何処かに行かずにはいられない。そこで、初めての土地ランカウイ島へ日帰りで行く決心をしたのでした。(ランカウイ島はペナン島よりも新しいリゾート地、日帰りというのはさらにもったいないのは十分承知だったのですが。)今回のトライは、陸路とフェリーを使ってペナン島とランカウイ島を往復することです。

 本紀行文ではこの経路について紹介することにしましょう。

 ペナン島からランカウイ島への行き方は、@ペナン国際空港から航空機(国内線)Aペナン島発直行フェリーBバターワースのバス乗り場からアロースターまで行きケダ川の河口からフェリーで行くパターンの3つがあります。

 一番手軽で判り易いのは@の国内線で行くことですが、基本的に出発日の前日までにチケットの確保が必要であること、また出来る限りリーズナブルに行きたいという願望からAかBの手段を選択しました。特に、Aは鈴木さんの第1希望でありました。早起きしてチケットの確保に2時間も粘ったのですがゲットできませんでした。どうやら、ツアー団体が乗船客のほとんどを占め、団体優先のようです。個別にチケットを買うにはかなりの「運」が必要か。予め前日までに予約購入することが必要なようです。そこで、今回、我々が選んだコースはBでした。では、この経路をもう少し詳しく書いてみましょう。

 ペナン島 ― フェリー(所用15分・往路無料・復路0.6MR)― バターワース ―(徒歩)― バスターミナル ― 高速バス(所用100分、片道6.2MR) ― アロースターバスターミナル ― タクシー(所用20分、15MR) ― ケダ川河口フェリー乗り場 ― フェリー(所用70分、15MR)― ランカウイ島  (MR30円)

 バスはバターワースの幹線道路を通り高速道に入ります。高速道脇に続く穀倉地帯を疾走。藁を燃している光景や牛を放牧している光景は心地よいです。1時間程で高速道から一般道に入ると路線バスのように乗客は降車し始めます。道路標識にアロースターという文字が出て来ると市街まであとわずかです。ケダ川の橋を渡りアロースター市街のメイン通りへ入って来るとクアラルンプールやペナンの街とはまた違う、白壁の建物が目を引く穏やかで静かな街並みであることに気付きます。そう、ここは前首相マハティール氏の生まれ故郷でもあります。

マハティール前首相の生家

 

 市街地を抜け、総合病院前を過ぎると終点のバスターミナルに到着です。ここからフェリー乗り場までの巡回バスがあると聞きましたがバスがどれなのかわからず我々はタクシーを使いました。

 細い農道を右へ左へと行く途中で、農作業帰りの人達の一連とすれ違ったり、畜舎から今まさに解体したのであろうと思われる牛の足を運ぶ男の姿など庶民生活を垣間見たのでした。

 フェリー乗り場では乗り場案内の男達が一生懸命呼びこみます。フェリーは、ジェット高速船。座席はなんと全席指定です。我々の記された席はなんと1A、一番前の席でした。スクリーンでやっているDVDの映画を見ながらの優雅なランカウイ行きとなったのです。(フェリーは思った以上に揺れず船酔いの心配は要りません。)

 70分程でランカウイのフェリー場に到着。船を降りると大きなイーグル像と強い日差しがお出迎えしてくれました。将にここは楽園ランカウイ島、ペナン島から陸路で片道約3時間30分の乗り物ツアーでありました。

(帰路)

 ランカウイ島からペナンまでのフェリーは1430分が最終便。ケダ川河口までのフェリーは30分おきに1830分頃まで出ています。アロースターバスターミナルからバターワースまでの高速バスも20分〜30分おきに出ており便利です。

 クア地区の海浜公園を散歩しました。モスクでお祈りする人、ベンチで語り合う若者達、芝生の上でゲームをする子連れ家族、池の中の魚を指差しながら笑う少年と両親など、至福の光景と青い空の空間の中に身を置き静かにゆっくり時間を過ごしている自分がとても贅沢に感じる休日でありました。

                         (2004/02/01現地)