代表者を選ぶのにはお金がかかる 〜1票いくら〜
国際情報専攻 1期生・修了 斉藤俊之
「選挙はお金がかかるね」というフレーズを良く耳にする。投票する我々の目にはどのくらい立候補者がお金を使っているのかに気になったり、また、当選したのちの月々の報酬額や年収はどのくらいもらっているのかが気になります。 しかし、実は候補者の選挙中、当選後の費用ばかり気にしてはいられません。選挙事務を掌る市町村にとって選挙費用というのは大きなイベント並にお金がかかっていることを見逃してはいけないのです。 そう、我々の代表者、声を届けて欲しいと選ぶことに実は莫大なお金(税金)がかかっているのです。 例えば、先に行われた衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査であるが、選挙人有権者数14000人のある町に国から選挙執行経費として交付される費用は約800万円。単純に800万円をこの有権者で割るとなんと一人当たり570円注)。今回、一人に与えられた票数は3(小選挙区1票、比例選出1票、国民審査1票)で考えると1票当たり190円となります。投票に行っても行かなくても1票当たりにこれだけのお金が投入されて投票の準備、投票そして開票作業を経て議員を選出します。 与えられる票数が1票のみという選挙、例えば○○市長選挙、○○県知事選挙などになると1票の単価は190円から570円になります。1票の重みはどれだけ票数を取るかですが1票当たりにかかる費用も増しますね。 投票用紙1枚に190円、570円というお金がかかっているという目で見ると投票するという行動に貴重さを改めて感じざるえなくなります。また選挙の事務を扱う従事者にすれば投票していただいた投票用紙を慎重かつ大事に扱わなければという緊張を覚えるのです。 今年は4月の統一地方選挙そして先の衆議院議員総選挙と1年に3回も全国一斉に選挙が行われました。見方を変えれば、毎回この額ニ近いお金をそれぞれの市町村に投入して行われているのですから選挙も景気回復の一助になっている、いや、なっていなくては困ると思います。 選出された首長さん、議員さん、当選した票数という見方とは別に、あなたを選ぶにあたって貴重な我々のお金を投入して選出し、明日の進路を託していることを是非忘れることなく活躍してもらいたいです。 みなさん、選挙、投票への見方が変わりましたか。無駄にすることなく選ぶ候補者の声に耳をよく傾け、忘れずに投票に出かけましょう。(終)
注)国政選挙は国から選挙を掌る市町村へ決められた執行経費の算定に基づき交付されます。ここでは有権者約14000人、交付金約800万円のある自治体をモデルに単純計算しました。県知事や県議会議員の選挙は県から各市町村へ同じく執行経費が算定され交付されます。市町村の首長や議員の選出選挙は各市町村の経費で行われます。選挙の執行経費及び1票当たりの単価はみなさんお住まいの市町村によって変わります。文中に示しました単価は選挙の執行形態により変わり全国一律ではありませんので御注意ください。
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