「できすぎた」サイバー・キャンパスの功罪!?

 

 

                                   博士後期課程 1期生  岡村 光浩       

 

 

 

 


 博士後期課程への入学が決まったとき、本学通信教育部 (1) (学部レベル)卒業生の知人から、「通信制大学院ってどんなところ?」と聞かれたのがきっかけで、筆者の個人 Web サイト (2) 内に通信制大学院のコーナー「Graduate Parlour」(3) を開設した。

 恥ずかしながら更新が行き届いていないが、電子マガジン初投稿となる今回は、なぜそのようなコーナーを作ったのかについて述べたい。

 通信教育部の学部生の皆さんの中にも、大学院進学を考えている人は少なくない。通学制を目指される方ももちろんいるが、仕事を続けながら通信教育部に在学していた方であれば、当然我らが日大通信制大学院も考慮の対象となる。


 そこで通信制大学院についての情報を集める訳だが、実は、通信制大学院の中身は案外「ブラックボックス」のような印象を与えており、授業料の高さばかりが目に留まっているようなのである。


 なぜそんなことになってしまうのか?

 日大の通信制大学院である総合社会情報研究科は、「通信制大学院のトップランナー」を自称するにふさわしく、強力なサイバー・キャンパスを有している。


 すなわち、

 ・専攻別・ゼミ(教員)別・履修科目別はもちろん、教職員や修了生も含めた研究科の関係者すべてが参加可能なディスカッションルーム(DR =掲示板)

 ・ネット上で、カメラ映像や PowerPoint も用いた発表と意見交換が可能なサイバー・ゼミ

 ・Web 上で課題の提出と返却が可能なレポート提出システム

そしてもちろん

 ・メールによる研究指導(個別指導及びゼミ別・科目別のメーリングリスト= ML 利用による)

等も行われている。


 メールアドレスは院生の修了後も残される(現時点では修了後に維持費などは特に取っていない)ため、DR と併せて院生・修了生・教員によるコミュニティはどんどん拡大していく。これからが楽しみである。

 これらのインフラを組み合わせ、また(これこそが重要なのだが)指導教授の先生方が精力的に院生の指導にあたられることで、「通信制は『通心制』」と言い切れるシステムが実現されているのである。


 にもかかわらず、なぜ「ブラックボックス」=「通信制大学院ってどんなことをやっているのかよくわからない」という印象を与えてしまうのか?


 それはおそらく、大学院のサイバー・キャンパスの出来がよかった、あるいはよすぎたからではなかろうか。

 比較の材料として、通信教育部生(通教生)ネットワーカーの間で定番となっている、通教卒業生による情報サイト「ネルのノート」(4) を見てみよう。


 日本大学通信教育部には、オフィシャルなサイバー・キャンパスというものは、現時点では存在しないが、その代わり、ネルのノートを初めとして、学生が勝手連的に立ち上げたサイトが多数存在する((4)のリンク集等を参照)。

 それらのサイトの掲示板では、(科目修得試験=「かもしゅう」の)過去問題を教えてほしいとか、教職課程関連(教員免許申請手続きや、教育実習先の確保)、あるいはスクーリングでのおすすめ宿泊先など、在学生同士の情報交換ももちろん行われているが、インターネット上のオープンスペースでの公開運用であるため、通信教育部への入学を考えている、その時点では学外の人間もアクセスしてくる。


 入学するかどうか、しても続けられるかどうか迷っているのだが、通信教育部ってどんなところ?、といった質問や相談がそういった人々から書き込まれると、在学生や卒業生から親切な回答が寄せられ、お礼の書き込みがあってしばらくしてから、質問者が「入学しました!」と挨拶してくる、というケースを、筆者も何度も見た。

 ひるがえって通信制大学院のサイバー・キャンパスであるが、DR が既成の、かつ運営元の身元も確かな(公式なのだから当たり前だが)オンライン・コミュニティとして最初から存在しており、DR (と、研究科報その他オフィシャルなコンテンツ)のみで情報の流れが自己完結してしまっている。


 確かにインターネットを活用して情報を共有してはいるのだが、それが行われているのはパスワード認証が行われているエリア内のみなので、外部には出てこない。それが「『サイバー大学院』という割に、学生の生の声が外に流れてこない」という印象を与えているのではないだろうか。

 大学側が提供するインフラの出来がいいばかりにそういうことになるのだとしたら、全く皮肉な話ではある。

 そのギャップを多少なりとも埋められることができたら、というのが、「Graduate Parlour」を立ち上げてみた理由である。


 実のところ更新が思うように進まず充実度はお恥ずかしい限りの状態なのだが、とりあえず

   ・研究科公式サイト
   ・電子紀要
   ・電子マガジン
   ・公認サークル
   ・関連学会
   ・(公式サイトからリンクされていた)先生方のサイト
   ・修了生のサイトで確認できたもの

を集めてリンク集を用意してみた (5)

 これだけでも従前にはなかったことだと思うので、大学院進学をお考えの方にご紹介いただけたら幸いである。


 また、院生・修了生の皆様から、ご自分のサイトの情報や、大学院でのさまざまな体験についての感想やコメントをお寄せいただければ掲載させていただきたいと考えている(詳細は Graduate Parlour に掲出の説明をご参照いただきたい)。

 いわゆる「口コミ効果」がマーケティング手法としても注目されている昨今だが、大事なことは、院生の「生の声」が、外部からのアクセスが可能なところに流れることだと考える。筆者のサイトには BBS も設置し、Graduate Parlour にもリンクしてあるので、DR よりさらに軽いノリのお話をされたい方に、ぜひ遊びにお越しいただきたい。

 どうも世間には「通信制」を軽く見る、あるいは、仕事と院生生活の両立を疑う、あるいは妨げる、風潮があることも承知している。だが、みんなでカミングアウトしなければ、そのステータスが上がる日は永遠にこないのだ。

 どうせやるなら、楽しくやろうじゃありませんか。

<関連 Web サイト>

筆者のプロフィール: http://y7.net/okamura/

(1) 日本大学通信教育部: http://www.cd.nihon-u.ac.jp/

(2) 「ひろのインターナショナル☆カフェテリア with 倫敦<ロンドン>漱石記念館」: http://www.intlcafe.com/

(3) 日本大学通信制大学院非公式情報「Graduate Parlour - NU-GSSC」: http://y7.net/nugssc/

(4) 「ネルのノート〜日本大学通信教育部非公式サイト〜」: http://www13.cds.ne.jp/~nell/

(5) 日本大学大学院総合社会情報研究科(通信制大学院)リンク集 (Graduate Parlour からもアクセス可):

          http://www3.airnet.ne.jp/admhiro/cgi-bin/directory/yomi.cgi?mode=kt&kt=01_01_02_02