憧れのヴェトナム・ホーチミンへ

 

 

                                   人間科学専攻2期生・修了 山根 尚子

 
 ずっと行きたかったヴェトナムのホーチミンに料理手習いのため行ってきました。その時感じたことを書いてみました。

1. 治安は悪い?

 成田からホーチミンに向かう飛行機で隣に座ったヴェトナム語ペラペラのLoiさん。1978年にアメリカに移住して、2週間の休暇をとり初めての里帰りだとか。時計、貴金属、お金には気をつけるようにと助言され、やはり危ないの、と不安いっぱいでヴェトナムに入国しました。パスポートをホテルに預け、お金はその日に使う分だけをポケットにそのまま入れて出かける毎日でした。いつ危険が降りかかるかしれないと常に気を張っていましたが、災難に遭うこともなく無事帰国しました。帰国直後、ヴェトナムで20年間技術指導してきたというヴェトナム通の人の話を聞きましたが、いまやヴェトナムはアジアの中でいちばん安全との評。その話を先に聞いていればよかったのか、どうか。とはいえ、旅行は、注意しても注意し過ぎるということはありません。

2. 料理研修
 
 一般的にタイにしてもヴェトナムにしても、肥沃な土地柄、人々は豊かな食生活を送っています。そして、その二つを比べた時、ヴェトナム料理はタイ料理ほどインパクトがないという思い込みをしていましたが、本場のヴェトナム料理に接して、この意見は見事に裏切られることになりました。隣国中国からの影響もあるでしょうし、もともとのヴェトナム人が相当なグルメだったのかもしれません。



 

 まず、ヴェトナム料理の特徴は、何より豊かな食材にあります。肉、野菜、果物、香辛料が朝早くから市場に並びます。市場の隅には生きたままの鶏が籠に入っています。牛・豚はそれぞれ塊状になって売られています。魚、海老、蟹も新鮮です。そして何よりも野菜類は贅沢の域です。その日の朝に摘んできたばかりの多種の野菜、香菜がみずみずしいままに積まれています



 

 次に、素材の味を引き出すのに長けていることでしょうか。だしは肉、魚からとります。だし用につかった肉、魚はもちろん料理の具材に使います。だし取りの間、料理に応じて玉葱、パイナップル、生の香辛料の塊等を入れて、具材を柔らかくしたり、臭みをとったりと計算高い調理法が取られます。だしはスープに、煮込んだ具材は別の一品物の材料に使われます。



 

 また、味の特徴ですが、ヴェトナム料理と言えば、ニョクマムです。タイのナンプラ―、日本のしょっつる、いわゆる魚醤です。魚醤だけにそれだけでこくがあります。ニョクマムのたれの作り方は以下の通りです。ニョクマム大さじ1杯、水大さじ1杯、砂糖大さじ1〜2杯、レモン汁1杯、にんにくと赤唐辛子のみじん切りを混ぜます。これは少量の作り方ですのでこれの×2、×4で作ってみて下さい。このたれは生春巻きにつけたり、フォー(ヴェトナムうどん)にかけたり、ヴェトナム料理のありとあらゆるものに合います。このレシピから想像できるように、甘くて酸っぱいというのがヴェトナム料理の特徴です。またヴェトナムでは味の素の消費量が多いのですが、今では日本であまり使われなくなった味の素を、ほとんどの料理に使います。この完璧でないところが愛すべきヴェトナム料理なのかもしれません。料理学校の先生はいつも照れ笑いしながら味の素を入れていました



3. ホーチミン見どころ

 ホーチミンの歴史的建造物に統一会堂(旧大統領官邸)があります。数年前に公開された映画「天と地と」(トミー・リー・ジョーンズ主演)での、サイゴン陥落の場面、アメリカ兵が続々とヘリコプターで脱出するシーンが蘇ってきました。そこで実際にロケをしていたのかもしれません。建物内に入り、中央部から外を眺めると、まっすぐに延びる道路がたくさん群衆で埋め尽くされていたような錯覚さえ覚えました。

 ところでヴェトナムの道路状況についてですが、バイク、自転車、車の走行は途切れません。その中を右折、左折し、横断の人が歩いて通り抜けます。慣れてくるとだんだんコツがつかめてきます。急に走ったり立ち止まったり突飛な行動さえ取らなければ、ゆっくり歩いて抜けられるものなのです。

 さて、観光客相手にヴェトナム名物シクロという乗り物があります。自転車の後ろに椅子のついた荷台がついています。一部で危険という案内もありますが、安全です。ぜひお試しあれ。

4. エステ三昧

 今回の旅は6日間午前中料理教室に通うものでしたので、ホーチミン市外へ遠出することができませんでした。そのため挑戦?したのがエステ、マッサージです。日本での疲れを癒すべく、日々エステに通いました。

 ほとんどその種の店は外国資本で経営されています。日本のS化粧品会社が経営するエステサロンは見るからに瀟洒な1階建ての建物なのですが、フロントを通りエレベーターで地下6階まで潜ってのエステ体験でした。ヴェトナムでは地下を掘削するのが安価なのでしょう。有事の際にはシェルターに早替わりするのもしれません。そんなことを考えながら優雅な数時間は癖になるほどの至福の時でした。

5. ショッピング

 日本円の強みでもって信じられないほど物価は安いです。手刺繍バッグ、オーダーメイドの洋服は観光客向けに多少高めになっていますが、それでも安いのです。市場、スーパーで売られている食器、食材は現地プライスでかなりの割安感です。現地の初任給は高卒で月80ドル、エリート社員が150ドルという相場からみれば買物天国も頷けます。

最後に

 ホーチミン滞在中、イラク攻撃、SARSのニュースが飛び込んできました。SARSについては最初の感染者がハノイに滞在していたこともあり、まさに他人事ではありませんでした。ヴェトナムは観光地であるだけに何かあれば直接被害を受けます。被害がどれだけ大きいかと心配ですが、同時に不屈の強さで跳ね返すパワーを感じます。ヴェトナム、カムオン!(ありがとう。)