「パリ祭(7月14日)の革命 ─ある実行委員の独り言」

 

                                          総合社会情報専攻1期 菊地善太


 フランスでバスチーユ監獄が襲撃され、いわゆるフランス革命の口火が切られたのは1789年の7月14日。以来その日は「パリ祭」の名でお祝いされていますが、昨年2002年の7月14日、ここ市ヶ谷でも小さな革命の火が灯りました。通信制大学院の歴史の1ページを刻む盛大な大学院祭、その第1回実行委員会が開催されたのは、まさにこの7月14日でした。発案者の戸村さんにしてみれば、もう一年がかりの大仕事だったことになります。

 さて、当日集まったのは、三浦さん、村上さん、情野さん、落合さん、戸村さん、安田さん、そして菊地の7名。修論作成を抱えた現役二年生は言うに及ばず、修了生のお三方も多忙な方ばかり。この日も、忙しい合間を縫っての集合です。でも、日頃から専攻を超えて交流し、発言してきたメンバーなので、実行委員はすぐに打ち解けられました。皆、大学院の活性化と更なる発展という思いを持って、そしてこのプロジェクトはスタートしました。

 その後、人間科学専攻から菅宮さんが加わって8人となり、その後、三浦さんがご都合で委員を抜けられましたが、私たちはパリ祭の日に灯した火を消すことなく、企画を練り、日程を決め、関係者に働きかけ、外回りをし、或いは学内に案内し、各校舎にも出かけ...と、それぞれに頑張りました。特に、二年生が修了してからというものは、交わすメールも隔週、隔日から毎日へ、それも数通といった単位ではなく、毎日十数通とか何十通とかいう単位になりました。ピーク時は、情野さんなどは百通単位だったとか。ほんと、パワフルで素晴らしいメンバーと仕事ができたものです。実行委員だけではありません。学生側と大学院側の橋渡しにご尽力くださった事務課の皆様と竹野先生には本当に本当にお世話になりました。また、多くの先生方に、院祭についてアドバイスをいただき、或いはPRにご協力いただきました。

 そんなこんなで迎えた院祭当日。幸いお天気にも恵まれ、総長の開会ご挨拶の時には用意した席も満席に。細かい反省点はいくつもあるものの、一つ一つのプログラムが無事に成功していくたび、実行委員の皆の顔に笑顔が浮かびます。寝不足と、緊張と、喜びの入り混じったなんともいえない表情が、その日の実行委員にはあったことでしょう。

 私は市ヶ谷、所沢の両日とも、個人発表のプログラムの担当で、会場の司会を務めました。発表は、いずれも強制ではなく、自主応募により受け付けたもので、それだけに皆さん、準備もしっかりしていて、専攻外の者が聞いても内容的に面白い発表が目白押しでした。先生方も積極的に発表会場に駆けつけてくださり、貴重なコメントもいただけて、発表者にとっても意義深いプログラムでした。私も、所沢でシェイクスピア関連の発表をさせていただきましたが、地元の方でしょうか、とても熱心に聞いてご質問をくださった方がいて、嬉しく励みになりました。他の発表者の方も同様だったのではないかと思います。

 院祭が終わって二日が過ぎ、未だに少し疲れが残っていますが、気持ちは晴れ晴れしています。今回の経験は、私個人にとってだけでなく、実行委員のメンバーにとってだけでなく、本通信制大学院にとっても、一つの記念すべきイベントになったのではないでしょうか。「学生の本分は学業にある」とはよく言われることですが、学業だけが全てではありません。学校という機関の持つ役割には、学生同士の、或いは学生と教員との人的交流の促進も含まれると思います。通信制大学院の学生は、同じゼミの学生同士でさえなかなか顔を会わせることが難しいような環境にありますが、そんな中で、その意義に感じ、何十人、何百人という方のご参加をいただけたことは、単に嬉しいでは終わらない、今後の通信制大学院のあり方を示唆するものがあると思います。

 ゼミの枠を超え、専攻の枠を超えて集う機会によって、私たちは学際的研究に耳を傾けるといった学問的成果のほかに、一緒にことを為した者との連帯感を持つことができます。しかし、こういった機会を提供できるポテンシャルを持っている機関は、残念ながらそう多くはないでしょう。いや、これほどのことができるのは、これだけの人材を擁する日大通信大学院ならではではないかと思うのです。今回芽生えた気持ちを、私たち一人ひとりがどこかにしまっておくことができれば、次回また大学院祭のようなイベントが企画された時は、今回に増して素晴らしい連帯の気持ちを持つことができることでしょう。革命の灯火は今回の実行委員から、参加した皆さんに行き渡りました。さらに美しい灯火をいつかまた見たいものです。その日を楽しみに、今日は筆を置きます。

 院祭にご参加くださった皆様、ご協力くださった皆様に感謝を込めて。