戸村知子と7人の小人
                    ――― 一人の小人の懺悔 ―――

 


                                              国際情報専攻2期生・修了 村上恒夫



 戸村さんの5周年企画の言葉を聞き、大学院祭の開催を考えていたグループは吃驚した。そして何よりも嬉しかった。思いを同じにする仲間がいたことを知ったからだ。そして、戸村さんのもとに7人の仲間が集った。

 高校や大学の学園祭の話は良く聞くものの、大学院の主催する学園祭っていったいなんだろうか。いままでそんな話を聞いたことがなかった。戸村さんたちも同じように悩んでいたようで、一緒に考えて実現しようということになった。

 大きな講演を用意し、院生の発表を行う。大体の大枠は決まったものの、少し意地の悪い小人である私の頭には拭いきれない不安や疑問もあった。「なぜ大学院祭をやるの?」という素朴な疑問に明確な答えが出ないからだ。5周年記念なら大学院側がやれば良いのではないか、大学院のPRになぜ学生が主体となるのか?などなど。。。。。。そもそも、なんで我々は大学院祭をやろうとしているのだろうか。そんな疑問や他の院生が参加してくれるだろうかという不安が募っていった。我々はただのお調子者の集団なのだろうか。だいたい、院生の発表なんて言っても参加してくれる院生はいるのだろうか?当初はなかなか具体的な動きも見えず、内心不安でいっぱいだった。

 しかし、そのような考えは杞憂であった。応募者は当初の予想をはるかに越え、最終的には個人発表の時間を短縮せざるをえなくなった。実行委員の動きも活発になった。自分たちの行動に自信が持てるようになったからだ。参加者が多くなるとともに、大学院祭の運営に陰の力となってくれる多くの支援者も出てきた。何か手伝えることはないのかと聞かれるのが一番うれしく、そして励みになった。そしていつしか「なぜ大学院祭をやるの?」という疑問の答えが見えてきた。

 みんなこの大学院に熱い思いがあるからなのだ。この大学院が、そこに集う仲間が好きなのだ。計画当初、素直にこの答えを口にすることができなかった自分を恥じるとともに、答えを導いてくださった多くの仲間に感謝の言葉もない。日本大学大学院総合社会情報研究科という森を愛してやまない白雪姫と7人の小人、そしてそれを支えてくれた数多の方々がいた。10周年、50周年、100周年、きっと素晴らしい記念祭が実現することだろう