修士論文完成までの2年間

              


                              国際情報専攻3期生    安田 守    

                   ちょうど2年前の今頃、花粉の飛散が始まった頃でした(何を隠そう私は花粉症歴20年!)。仕事の予定も立ち、何とか大学院の為に2年間時間を作れそうだと思っていました。明日に大学院の受験を控え、午後から仕事を早退しようと考えていた朝に上司から呼び出されました。「部署を移動してくれ」と・・・・。頭に描いていた計画が音を立てて崩れ行く瞬間でした。そのまま心の動揺を抑える事もできずに、京都から東京まで移動しました。

 何とか無事に合格し、2年間の大学院生活がスタートしました。慣れない仕事と大学院のリポートが重なり、精神的に余裕の無い日々が延々と続きました。論文のテーマは「市町村合併問題」で、軽井沢の合宿を契機に1年目の6月には具体的な道筋が決定しました。

 ただ、私の論文テーマは今の仕事と全く関係がありませんので、仕事を利用しての資料収集や、仕事の経験を基に論じる事はできませんでした。

 「まあ、資料は何とかなるさ!」と高を括っているうちに、一年はあっというまに過ぎて行きました。もちろん自分には「市町村関係の資料は年々変化するから、最新のものを用いなきゃ」と言い聞かせていましたが・・・・。

 そんなこんなで、2年目の夏も過ぎようとしていました。もちろん論文の流れと、序章は書き終えていましたが、主たる章がどうにもまとまりませんでした。中間発表会は何とかこなせましたが(論文の到達点は自分なりに少しは見えていましたので)、論文の完成はまだまだ見えないところにありました。

 秋を迎えるころには、徐々に焦りだしました。毎日毎日机には向かい、少しずつ少しずつ論文も進んでいるのですが、どう考えても年末までに仕上がる計算になりません。また役所の資料を集めるにはどうしても平日に行動しなければならず、有給休暇を取りにくい環境とあいまって、精神的に段々と追い詰められてきました。この頃から何をやっていても頭の隅に「論文」という二文字が離れなくなりました。

 「秋風や のらくら者の うしろ吹く」

 いや、決して怠けてはいません。しかし時間が取れないのです。仕事や会合、付き合い・・・更には子供の相手・・・焦る気持ちと裏腹に時間は止まることなく過ぎてゆきます。

 師走になりました。この頃には仕事を時間までに無理矢理終わらせ、帰宅するとすぐに入浴と食事。そのあとすぐに机、いやパソコンに向かいました。子供と顔を合わす時間も無くなり、論文の進行とともに父親の威厳(いや、もともと有りませんが・・・)も失墜して行くような気がしてなりませんでした。

 12月の半ばに最後のゼミがありました。それなりに用意して臨みましたが、論文の書き方を全面的に変更することになりました。正直焦りました。しかし四の五の言うよりも実行あるのみです。自分の予定も考えず、ゼミの後1週間強で書き直すと宣言して京都まで帰ったのでした(もちろんゼミの後に宴会には参加しましたが・・・)。約束どおり60ページ余りの論文を約1週間で書き直しました。時間ですか?それはもう一言ではいえません。でもクリスマスの前には何とか草稿を書き終えることができました。その後、年内に2回ほど書き直しましたが、2002年最後の12月31日(紅白歌合戦の始まる前)に一応の完成をみました。

 年が明けてから文章の流れと誤字脱字のチェックを行い、副本を提出。副本の提出と前後して、論文要旨の英訳を行いました。更に面接日までに文章の整合性と誤字脱字のチェックをまたまた行い、面接日前日(いや、時間的には当日でしたが・・・)の真夜中に最終的な副本を印刷して終了しました。最後の1枚をプリントアウトしたときに、プリンタも故障するといったオマケ付きで・・・。

 さあこれで万全と思い、就寝したのはよかったのですが、夜中の4時に悪寒と身体の震えで目が覚めました。そのときの体温は38.5℃。最後まで順調には終わらせてくれませんでしたが、重い身体を引きずり、何とか面接をこなす事ができたのでした。

 最後に真面目に論文作成のポイントを!
 1.「注」及び「参考文献」はその都度挿入する事。後から整理するのはかなりの労力を要します。

 2.可能であれば、他人の目で確認を。自分の書いた文章ですから、ついつい読み飛ばしてしまいます。誤字脱字等を見つけるのは他人の目が一番かと思います。

 3.時間のある限りゼミに参加を。ゼミに参加する事により、他のゼミ生の進捗状況を知る事ができ、さらに他人の目からみたアドバイスがもらえます。ある一定の間隔での刺激とプレッシャーは私にとって一番重要なものでした。

 これから論文作成される皆様、時間は絶対に足りません。余裕を持った行動を!