1. インターネットに慣れる。 みなさん、ご承知の通り、この大学院はインターネットを利用して、勉強する大学院です。
ということは、まず、インターネットを使いこなす必要があります。
「使いこなす」というと、「もともとあなたはそれが仕事だから」という声が聞こえてきそうですが、
簡単に言えば、どんな人でもある程度の時間をネットに費やせば、だれでも他人のサイトを閲覧したり、
検索したり、電子メールを使ったりは出来るようになるのです。
どんなものでも、慣れてしまえばこちらのものです。車の運転と同じように考えてください。 もし、それ以前にキーボードのタッチに問題があるという場合は、
ブラインドタッチを目指して独学するゲームソフトをインターネットショッピングでも、
街場の店屋でもいくらでも買うことができます。まずは、キーボードです。 さらにそれ以前に、マウスが思うように動かないと言う場合。大丈夫です。
これこそ慣れの問題ですので、早く時間数をマウスと心中して、あなたの手に使い方に慣れてもらってください。 なお、マウスは光学マウスの方が楽に動きます。
今は、1200円位からありますから、お好きなのを購入なさるのも手です。 その場合は、コネクターの形状を確認して、ショップにお出かけください。
ただし、かならず、売り場で実際に手に持って、コロコロ動かして、自分の手になじむかどうか確かめてご購入下さい。 さて、マウスの使い方の練習には、ウインドウズに元々付属の、トランプゲーム(当然タダ)、ネットが使い放題なら、 ネットのモグラたたきゲームで、
マウスの使い方に慣れましょう。
他にも色々ありますので、後でご紹介する検索サイトで、無料+ゲームで検索して、お気に入りを探してください。 なお、その昔、ウインドウズ95が発売された頃、企業のヘルプデスクにおりましたが、
「画面のボタンをマウスでクリックしてください」と申し上げたら、 マウスで画面をたたいた方(がっつん、がっつん、電話の向こうから音がしました)、
マウスを動かしてくださいとお願いしましたら、 「動かしたいのだが、机が足りないときはどうするのか」と聞かれた方など、
色々強者がいらっしゃいますので、あまり難く考えないようにお願いします。
2.従量制ではなく定額、つなぎ放題を選ぶ インターネットの接続は、なるべくなら、従量制でお金を払うのではなく、
固定料金で、好きなときに好きなだけインターネットに接続出来る環境を手に入れてください。
地域の状況もあると思いますが、フレッツISDNやADSLでプロバイダのフレッツプランに入るのは、
それほど維持費はかかりません。プロバイダを変えると、メールアドレスも変わってしまうので、
最初に、きちんと値段やサービスを比較して選んだ方がいいと思います。
地域で、色々なサービスをしている会社もあると思いますので、よく調べてみてください。
3.サーチエンジンでの検索に慣れる さて、いつでも使える環境ができたら、調べものをしてみてください。
私が、よく、初心者の方におすすめするのは、ニュース番組を背中で聞きながら、
わからないこと、聞き慣れない言葉があったらインターネットで調べてみる、と言う方法です。
検索エンジンと呼ばれる、「インターネットのサイトのどこに自分の必要な情報があるか」、
を調べることのできるサイトがありますから、そこに行ってなんでもいいから調べものをしてみてください。 ここで、一つ。日本ではホームページという言葉を使いますが、これは、英語にはありません。
外人さんに説明するときは、サイト(Site)と言ってください。 検索の際には、キーワードは一つだけでなく、スペースをあけて、いくつか入れることができます。
たとえば、四国のお遍路について、調べたいと思ったとします。 キーワードを思い浮かべてください。四国+遍路でしょうか。
検索のウインドウに、二つの単語を間にスペースをいれて、打ち込んで、検索ボタンを押してみてください。
次に、認知心理学の記憶について調べたいとしたら、認知+心理学+記憶といれたら良さそうです。 ここから先は、経験がものを言ってきます。
どんどん実際にやってみて、経験値を上げてください。 これを調べるには、キーワードはこれかな、とカンが働くようになったら、こちらのものです。
4.Eメールに慣れる インターネットというインフラについての最後のトピックは、Eメールです。
私は、実はこれで失敗しました。 インターネットの大学院は、学校に登校するということが想定できません。 つまり出席するという概念がないわけです。
先生方にとって、学生が存在する証拠は、メールが来るというその状況だけです。
もしかしたら、質問をしても、メールを送っても、返事が来ないことはあるかもしれません。
ただ、先生方にも色々な状況があるし、それでも、やっぱり、波をこちらから送って、
メールを出してぶつかってみないと、疑問も解決しないし、レポートをよりいいものにすることはできません。
レポートの締め切り間際に添削をしていただいても、きちんと練り直す時間はとれませんでした。
私と同じ学年で、栄誉あるロバート・F・ケネディ奨学生選ばれた落合仁子さんも 電子マガジンに書いていらっしゃいますが、せっかく勉強するのですから、
ちゃんと先生方とやりとりをしたほうがいいに決まっています。
5.慣れは肝心 メールの書き出しは、○○先生。改行して、もう一回くらい改行して、で、用件を書きます。
Eメールでの印象形成を研究していたから、と言うわけではありませんが、
一般的に、やっぱりある程度メールのやりとりをすると、相手のことが少しずつ分かってきます。
そうすると、だんだん、メールは書きやすくなります。知らない人にメールを書くのは、
慣れないうちはとても大変な作業ですが、相手が少しつかめてくるとずっと書きやすくなるものです。
臆することなく、書きましょう。私たち学生は、メールを書いて、レポート書いて、修論書いて、ナンボの存在です。
どんどん行きましょう。(先生方、ごめんなさい)。 私は、最初の頃に電子メールで失敗をしてしまって、大学院との間に心理的距離が開いてしまいました。
その結果、モチベーションも下がり、悪いことにプライベートなアクシデントも重なって、 自分が思っていたほど勉強が出来ませんでした。
先生方も、勉強して質問をしてくれること、なんでもいいから、学生が勉強のことで連絡をしてくれることを、
また、指導教授の場合は、勉強を続けることに何か問題や心配が出来たりしたら相談してくれることも、
心から望んでいらっしゃることを実感できたのは、もう、何もかもが終わりになりかかった頃でした。
私が、教えて頂いた先生はほんの一部の先生方にすぎませんが、 多少、お返事を頂けるまでの時間に差はあっても、必ずお返事は頂けました。
私たちは、大学院に、こういっちゃおしまいかもしれませんが、好きこのんで進学したのです。 教えて貰えるのを待っている場合ではありません。
こちらからどんどん質問をし、先生方と人間関係を築いて行かなければいけないのです。
対面のコミュニケーションとちがって、インターネットでは人間関係を手間をかけて築いて行かなければならないのです。
さもないとあなたの大学院生活は、薄っぺらなものに成ってしまうでしょう。私のように...。 Eメールを通じて、フィードバックが戻ってくる経験をすることは、
あなたのインターネット学習意欲を強化(学習心理学の行動分析学で習いました)することになるのです。
そして、もしかしたら、顔も知らないままで終わるかもしれない先生方を、 すこしでも身近な存在として感じるためにも、Eメールは書いてみましょう。
最初は自己紹介からでも....(先生方、ご迷惑でしたらごめんなさい)
6.メール周りの小ネタ また、メールソフトにはフォルダを作る機能があります。
ですので、科目別にフォルダを作って、その中に、先生のメールも自分のメールも保存しておきます。
私は、何台ものパソコンからメールサーバー(Eメールの郵便局です。大学院の場合は、大学院にあります) にアクセスしていました。
はっきり言えば、大学院から貸与されたパソコンも含めて、全部で4台のパソコンからメールをやりとりしていました。
そこで、メールソフトのBCCという機能をつかって、 常に自分宛に自分が送信したメールのコピーが送られてくるようにしておきました。
こうすれば、どのパソコンにも受け取ったメールと、送ったメールが保存されるようになります。
また、大学院のサーバーに残ったメールは、アクセスチェックが送られてきた日などを目安に、 毎月まとめて消していました。
そうしないと、大学院にいつまでも、昔のメールが残ったままになり、メールサーバーの容量を食うことになります。
BCCを利用して、自分の送ったメールのコピーを受け取るように設定した場合は、
いらなくなったメールは、定期的にサーバーから削除する癖をつけてください。 こうすれば、どれかパソコンがだめになっても、他にファイルが残りますし、
それは、書きかけのレポートも同じで、添付ではなく、 テキストをコピーする形で(そうするとファイルの大きさが抑えられます。
ワードのファイルは、思いの外大きなサイズになっているものです。
添付して送ると自分が落とすときにも時間がかかります。)作業を終了するときに、自分宛にメールを送っていました。 ただし、インターネットにはウイルスがいっぱい。
大学院から貸与のパソコンはウイルス検索ソフトが入っていますし、
メールサーバーもサーバーに届いたメールにウイルスがいないかどうかを検索してくれるセキュリティソフトが入っています。
一般のプロバイダーにもその手のサービスを提供しているところもあります。
しかしながら、第一に、周りの人に迷惑をかけないように、自分でも出来る対策は万全にしておきましょう。
ご自分所有のパソコンを使われる場合も、ウイルスには要注意です。 大学院でも利用していますが、ウイルスバスターはいいソフトです。
パッケージと言って、箱に入ったCD-ROMを店で買うこともできますが、 ベクターなどのオンラインショップでダウンロードする形だと、少し安く、
二本セットはさらに安く買うことができます。 インターネットでも自分の安全は自分の責任です。
やはり企業での例ですが、メールで取引先のコンピュータにウイルスを感染させてしまったというケースで、 損害賠償を請求されたということもあります。
セキュリティには、十分に注意を払って損はありません。
7.今にして思う、「ごめんなさい」 そして、Eメールについての最後に、これは、私がしみじみ反省している点ですが、
先生方からメールをいただいた時、思ったように勉強が進んでいなかったり、忙しかったりしたときに、 私は返事をさぼりました。
「ありがとうございました。勉強停滞しています」でもなんでも、書いて返事をするべきでした。
通常の世界では、メールの着信の返事はきちんとするのに、勉強が進んでいないから、
返事が書きにくかったというが本音です。つまり、おさぼりしてるから、返事ができなかったのです。 私の指導教授が、大学におたずねしているときに、時々、
「○○さんから、全然メールが来ないんだよ。どうしてるのかなあ、元気なのかなあ」
とおっしゃるのを何度か聞いて、簡単に様子を知ることの出来ない学生のことを、
先生方が心配していらっしゃるのを肌で感じて、「しまった」とつくづく思いました。 お返事をさぼったこと、各先生方に、この場からお詫びします。本当にごめんなさい。
8.履修した科目 私は、インターネットでのコミュニケーションを勉強したくて、進学しました。
そこで、履修するときに、自分の興味のある分野に関係のある科目を履修しました。
1年次が、必修の社会哲学の他に、コミュニケーション心理学、学習心理学、心理学史、
それと他学科の国際コミュニケーション論でした。2年次は、社会心理学、認知心理学、国際メディア論でした。
心理学史は、直接関係ありませんでしたが、私は大学では法律が専門だったので、心理学は素人です。
そこで、歴史をしれば、アウトラインが分かるかもしれないと思って、心理学史を勉強しました。
これは、後にとっても役に立ちました。 また、この一年の勉強の間に、自分の学びたい分野の英文の論文をインターネットで探して、
読んでみるということを何回かやってみました。 また、自分が読んだ論文については、小さなカードに、タイトルとアブストラクトをまとめて書き写して、
蓄積していくといいということを先生から習いました。
これは、後に、専攻研究についての論文を探したり、読んだりするときに、とても役に立ちました。 また、真邉先生のDRにも、さらにプロフェッショナルな論文の探し方が掲載されていますので、ご覧下さい。
9.メモは私を救う もう一つ、単位取得のために勉強しながら心がけていたのは、
自分が勉強したいと目的に抱いてきた事柄に関係ありそうなことが、 テキストや参考文献に出てきたら、それをメモして置くことでした。
メモは、紙に書いた時もありましたし、最終的には、メールソフトの草稿(下書き)として、 タイトルをつけて、保存していました。
テレビのニュース、教育番組、情報番組、新聞、雑誌、インターネットのメールマガジン、
なんでも気が付いたものは、メモをしました。印刷された長い文章の場合は、OCRソフトとスキャナーを使って、 読み込んで保存しました。
とにかく、気が付いたときになんとか、その情報を自分の中にとどめておくために、出来るだけメモを作りました。
これは、後で、とても役に立ちました。
10.統計の坂は急だった 「心理学の論文は、文学部の他の科目と違って、データできちんと検証できることを前提とします。
作文ですますというわけにはいかないのです。」そう指導教授に言われて、次の難関は、統計でした。
データできちんと、と言うことになると、統計は避けて通れません。
例によって、本屋に突撃して、何冊か買ってみました。そして、結論。私には難しすぎました。 もう、1ページ目から、知らない単語が出てきました。
ひどいときは、前書きからちんぷんかんぷんでした。人生で初の経験でした。 そこで、いつもの通り、インターネットで検索。統計+勉強とか、統計+わかるとか、
簡単+統計でひっかけて、いくつかの工業高校や大学の先生が、ご自分の学生のために作られたサイトを見つけました。
こっちは、対象が初学者なので、分かりやすいものが多く、ドリル形式になっているページもありました。
インターネットつなぎ放題の環境でしたので、一つのページを読み終わると、また次のページと、
いくつものページを読みました。わかりにくいところとか、覚えたいところは、プリントもしました。
結局、統計学は、本ではなく、色々な学校の先生方が工夫を凝らしたサイトの拾い読みが一番よく分かりました。
色々なサイトがあるので、丹念に拾い読みしてご覧になることがおすすめです。 また、統計には色々な種類があります。私が使ったのは、χ二乗検定(カイじじょうけんてい)と、
分散分析、α係数、因子分析などでしたが、それもよく分からないと、また別に検索をして、ページを探して読みました。
こうやって、たくさん読んでいくと、色々な先生が色々なやり方で説明してくださるのを見ることができて、
いつの間にか、すこしずつ分かってきます。 つまり、イメージとしてはこうです。 結構急な坂に猫がへばりついています。
坂は、つるっつるで、猫は爪が立たないので、ずるずる滑り落ちています。 ところが、前足の爪が一ヶ所引っかかると、滑り落ちるスピードが落ち、
もう一本の前足の爪がひっかかると、今度は落下が止まります。 だんだん引っかかりが増えて来ると、体重を支えるだけではなく、
落ちるばっかりだった坂を上っていくことが出来るようになります。
つまり、インターネットを漁って、あなたの爪が引っかかる何かを見つける、それが肝心です。
引っかかりを多くすることが、つまり勉強だと私は思いました。 論文で、その検定の結果をどうやって書くか、それは、卒業生や、
インターネットで読める他人の論文から盗み(内容は盗んじゃだめ!!)、 それでも分からなかった部分は、指導教授に伺いました。
また、このあたりに来ると、入学時に推薦されたフィンドレイの「心理学 実験・研究レポートの書き方」が、 役に立ってきます。
11.統計ソフト 上述のように、やり方が分かるというか、原理
(何を調べているのか=検定している内容はどういうデータなのか、とか)が分かったら、
実際に計算するのですが、それを、電卓とか、そういうローテクなことで片づけようとすると、 はっきり言ってドツボにはまります。
私は、自分がマイクロソフトのエクセルのかなりなユーザーだったので、エクセル統計を使うことにしました。
これは、エクセルのプログラムに統計の機能をプラスするソフトで(アドインソフトと言います)、 2002年12月には、「エクセル統計2002 For
Windows」のアカデミックパック(学割です)を、 17000円くらいで、東京のビックカメラの店頭で購入することができました。
通販でも買うことが出来ます。たとえばこちら。 http://www.getplus.co.jp/。
ちょっと癖があったり、因子分析ができなかったり、ちょっとお馬鹿だったりしますが、 私は、十分に働いてもらいました。
このソフトのインストールをしたフォルダのなかに、サンプルが一緒に入っていますので、 自分がしたい統計のサンプルを見て、やり方を学んでください。
テキストのたぐいが出ているかもしれませんが、必要ないです。落ちついて見ればわかると思います。
12.エクセルで使った関数 また、エクセル本体でも、いくつか関数というものを利用しました。下が、代表的なものです。関数自体は、エクセルのヘルプの中に、説明も一緒に書いてあります。他のアプリケーションもそうですが、手引き書よりとにかく使ってみることです。エクセルも、慣れてしまえば苦しいことはありません。最初から難しいことをしようと思わず、家計簿からとか、手近なところから初めて見るのが一番かもしれません。
=SUM(最初のセル:最後のセル) |
合計を出します(家計簿でも使えます)。 セルは縦か横に並んでいることが原則。 とびとびのセルを合計するときは、CTRLキーを押しながらセルを選んでください。最後にエンター。
|
=AVERAGE(最初のセル:最後のセル) |
平均値を計算する。データの中にもし、不要なものが含まれているときは、エクセルの表のなかで、その欄は0ではなく、空白にしてください。さもないと、合計に0を加え、そのセルを含んだデータ数で割って、平均値を出してしまいます。 |
=STDEV(最初のセル:最後のセル) |
標準偏差を出してくれます。不要なデータについては、上と同じ。 |
13.フィンドレイの「心理学 実験・研究レポートの書き方」の使い方 何事にも、正式なものには、お作法というのがあります。
結納にはするめと昆布とエビがつきもので、宮中晩餐会には洋装の女性は小さなヘッドドレスと肘までの手袋が必要で、 論文には論文の決まり事があるわけです。
「なんで?」と聞いてはいけないのです。そうなってるのです。
長いものには、巻かれなければなりません。ぜひとも。 しかし、私は、論文のお作法を研究しに大学院に入ったわけではないので、
フィンドレイの本に付箋で小さな見出しをつけました。辞書というか、手引きというか、手元において、
論文を書きながら分からないときにすぐに必要なページが見つかるように。
これは、とっても便利でした。付箋なら、すぐはがせるので本も傷みませんし、汚くなったら簡単に貼り替えられます。お試しあれ。
14.先行研究や論文はインターネットでも探せる 私は、先行研究を探すのは、原則としてすべてインターネットで自分で探しました。昼間の時間、図書館に入り浸るというのは働きながらは不可能ですが、夜になって、パソコンに向かって、自分の時間内で検索をするのは、時間の制限もないので、自分のペースでできます。インターネットのサイトは、24時間営業。勝手な時間に読みにいけます。まず、関係のある本を読み、後ろの引用文献で本文とのかかわりで、
関係ありそうな論文をインターネットで検索してみました。英語の論文で、古典と言われるようなものは、ほぼすべて、インターネットで読むことができました。日本語の論文も多くがインターネットで読むことができました。英文文献の単語は、手では辞書を引かず、インターネットの無料の翻訳サイトや無料の英和辞書を使いました。
せっかくテキストの形(紙に印刷されたものではなく、入力する必要なしに使える文字情報と言う意味)があるのですから、なんでも利用しました。
ただし、語学として習得するためには、この方法はむきません。外国語で書かれた論文を読みながら、語学も勉強しようと思われるなら、辞書を手で引いてください。記憶の働きから見ても、その方が覚えがいいはずです。今回、レポートや論文を書くのに使ったの辞書、辞典のたぐいは、心理学事典と百科事典だけでした。
百科事典は、CD-ROM版を購入していましたので、それを利用しました。
月あたりいくらか支払えば、インターネットで利用できる百科事典もあります。
15.レポート提出システムでの失敗 ある科目の前期のレポートの草稿を期限間際に提出しました。
そして、先生に提出の連絡のメールを送りました。お返事がなかったので、間際に出し過ぎたからなあ、 と反省しながら、そのまま、最終提出しました。
それから、ずーっとずーっと経って、後期の提出の時に、レポート提出システムの中に、
前期の草稿が添削されて帰ってきていたことを発見したときは、思わず、パソコンに向かって土下座しました。
先生方の所には、提出期限間際には、駆け込み草稿と、余裕の最終提出が入り乱れて送られてきます。
ですから、添削戻しのメールが来ないこともあるわけです。先生方も人間ですから。 添削が戻っているかどうか、自分で大学院にアクセスして確認をしましょう。
賞味期限前に添削済みを味わうために。
16.材料を集めてパズルをする データもできあがり、統計もできたら、後は論文のストーリーを作ることになります。
まずは、ワードで、自分が用意しなければいけないものの台紙を作りました。
要旨の表紙、要旨本文、論文表紙、目次、本文(序論、研究の方法、結果、考察)、文献、添付、謝辞です。
出来るところから、メモのような箇条書きを書いては、保存をして、だんだんに肉をつけていきました。 私は、蓄積してきた情報の中から使えそうなものや、関係のありそうなものを引っ張り出し、
コレクトの情報カード5×3に書きました。 (本当は、もともと、仕事の経験で、そういうことには慣れていたので、ワードを使って印刷したり、
プリントアウトを貼り付けたりしました。) このカードは、もともと、大学院に入ってから、既読論文の整理のためにも使えることを学んだあのカードです
(8章参照)。 そして、統計の結果の概略も書いて、それを、自分の考えたストーリーに添ってならべて、 それから、論文を書き始めました。
17.論文は誰のため? 私は、大学院に入って、初めて大学院生を含めた研究者の仕事は、研究の成果を論文にまとめて、
世の中の人のために役に立てることだと知りました。 教授に教えてもらって、それを一生懸命覚えていた大学生活の思い出から抜けられず、
研究は自分でするものだということ、大学院生は研究者の端くれであること、それらを全く意識していませんでした。
それを大学院に入って初めて知って、目から鱗が落ちる思いでした。 そこで、論文を書くとき、今更、基本的文章力はどうしようもないにしても、せめて、読みやすい、
わかりやすい文章を書こうと思いました。 そのためには、文章は短い方がわかりやすいので、むやみやたらと接続詞で繋がないこと、そして、
社会哲学で佐々木先生に教えて頂いた、レポートの書き方の憲法をきっちり守ることにしました。
改めて、佐々木先生のメールの添付文書のファイルを取り出し、印刷して、デスクの前に貼りました。 そして、もうひとつ、本気で心がけたこと。
大好きな人に説明するつもりで、丁寧に書くこと。 必要以上に難しい表現を使ったり、文章を長く繋げて、何が書いてあるのか、
わかりにくくしたりしないようにしました。
18.謝辞について フィンドレイのお作法の本には、謝辞について、とっても短い説明があります。
同級生の中には、書かなかった方もちらほらあったやに漏れ聞いております。
しかし、私たちは専門家ではなく、社会人をしながら研究をし、論文を書くと言うことで、 先生方にはほんとうにお世話になっています。
私の若い友人達で、大学からすんなり修士課程に進んでいる人たちに比べたら、私は、 自分の指導教授にほんとうにお手数をおかけしたと思っています。
専門知識がないから、私にはわからない落とし穴やドブ、見えない木の枝などがあって、事実上、
修士論文そのものが頓挫したり、或いは重要な論点や検討すべき点を見逃したりするような失敗も しているかもしれません。
そもそも、そこにそれが存在することを知らないのですから、見つかるはず、気が付くはずがないのです。
それを丹念に教えて頂き、落とし穴は気づかないうちに埋めてくださり、ドブには板が渡され、 木の枝はその存在を教えてくださって、私は今日を迎えています。
さんざんお世話になりました。そして、そのことに、正式にたった一度、研究者として本気でお礼を言えるチャンス、
それが謝辞だと私は思いました。 謝辞については、指導教授から、「ぼくにありがとうって書いてね」と言うに等しいのに、
何か指示やコメントがあることはまずないと思います。 しかし、慣習として、常識として、「謝辞は必ず書くものである」、と夫は大学で習ったと申しました。
また、感謝する相手は、指導教授だけではなく、資料を集めるのを手伝ってくれた人、黙って支えてくれた家族、
色々な人があると思います。どうぞ、それらの人々に正式に「ありがとう」を言うチャンスを有効に利用してください。
19.研究しようと思っていたことがだめだったとき 私は、入学して数ヶ月で、研究しようと思っていたことが、
色々な公的な制約で実現するのに大変な時間と費用を要するようなことに成ってしまうことに気が付きました。
その時点で、研究テーマの変更の必要がありました。 そこで、あわてて、インターネット+心理学の二つのキーワードで書籍をしらべ、それを読みあさりました。
その次は、朝日新聞の記事データベースの会員になって、似たようなキーワードで、過去の記事を調べました。
使ったキーワードは、そのほかにEメール、対人関係、出会い、サイト、ホームページ、携帯メール、携帯、 パソコン、自己表現などでした。
そして、やっと「Eメールでの印象形成」にたどり着きました。 その間、私の指導教授は、「論文が書けるということは確かに大前提で、大切だけれど、
なにより興味のないことを研究したって時間の無駄ですよ。やりたいことを見つけて、
どうやってやったらいいかをすこし考えて、相談してください」とおっしゃっていました。
結果的に、またもや、指導教授のご専門分野とは全く関係ないことを研究することに決心して、
アンケート調査をやりたいとご相談したとき、指導教授と同じ研究室にいらっしゃった先生が 助けてくださることになりました。
その先生は、質問紙調査のプロで、カウンセリングもプロでした。 質問紙の作成から、統計の読みとり方、有りとあらゆることを教えて頂きました。
分からないことを書きためては、質問をさせて頂きました。本もたくさん貸していただきました。 日大は大きな大学です。
ですから、考えようによっては、同じ学内のどこかに、あなたのやりたい何かのプロがいらっしゃる可能性が高いのです。
指導はしていただけないまでも、直接お話ぐらいしていただけるかもしれません。 Eメールならお返事が頂けるかもしれません。
実は、私は、これが日本大学大学院の一番の強みだと、そのとき、思いました。
もうひとつ、敢えてあげれば、もしかしたら、学生の中にも、その分野のプロフェッショナルが密かに
紛れ込んでいる可能性もあるのです。 社会人大学院なので、学生はみんな、研究を専門にやってきたと言うわけではありません。
仕事や色々な関係での必要性や、素朴な興味から、勉強をしたくて進学してきているわけです。
研究の対象は、実に多種多様で、バリエーションに富み、ゼミでその内容を伺っても、ただひたすら感心するばかりです。当然、ほんの一握りの大学院の先生方に、そのすべてがカバーできるはずもないのです。それでも、先生方は研究のプロです。だから、細かなエッセンスは学生が自力で掘り出して見つけだして来るにしても、それを心理学なりなんなりの論文にまとめると言う作業そのものは、指導していただけます。そういう意味では、自分の知りたいことを調べ、または、研究する、その材料をそろえれば、後は、自分のゼミの先生に相談が出来るわけです。そして、その手前までの作業については、本を読んだり、調べたりしながら、同時に、日大の中の自分の専門の特定分野についてのプロに、「同じ日大の学生です。質問があります」と、相談できる、これは、ものすごい財産だと私は思いました。
20.絶対あきらめない 極めて私事ながら、この2年間、色々なことがありました。 研究計画は入学早々に計画倒れしました。
とある事件があって、対人恐怖症になりました。
ごたごたを起こしたせいで、大学院と心理的距離が開いて、一人で勉強を続ける方法を模索しながら、退学も考えました。
2年の前期のレポート提出の頃に、義父が8月30日、父が9月2日に亡くなりました。
前期のレポートは正直、何を書いたのやら。 再構築した論文のプランの方は、やっとアウトラインが出来たくらいのところだったので、
もう書けないかと思いました。 卒業を延ばそうかとも考えましたが、それで、何かが解決するとは思えませんでした。
一人じゃだめだ、このままではだめだと思って、指導教授に会いに行きました。 何度も何度も行きました。11月の終わり、なりふり構わず、
ありとあらゆるところでインターネットのアンケート頼みました。 1日で、アンケート依頼のメールを120通書きました。
「今頃何やってる、修士課程をなめてんのか」と見ず知らずの、どうも研究職という感じのオヤジに メールで研究計画の遅れについて説教食いました。
紅白歌合戦の中島みゆきの「地上の星」を背中で聞きながら、エクセルのグラフ作ってました。
「あたしのは、プロジェクトXじゃなくて、ペケだわさ」と言いながら。 お正月は、元旦の朝からまだ統計やってました。
最後は夫も統計してくれました。猫たちはしっぽ振ってくれました。 締め切りの前の日にやっとできあがって、電車に乗って所沢まで届けに行きました。
口頭試問の日は、何が出来てなかったのか、これからどうやって研究したらいいか、教えて頂きました。
一所懸命、修正をして提出しました。 でも、今は、あきらめなくて良かったと思っています。 何が言いたいかというと、私の場合、働きながら家族と生活し、友人とつきあいもしながら、
自分の勉強をするということは、人生がいきなり何倍も濃密になるみたいな、
今まではごく普通の水を泳いでいたのに、急にゼリーの中を泳いでいくことになったような、
何ともいえない重圧を感じ、いつもの何倍もの気力と体力を必要としました。
結局、ほぼ2年間、遊びらしい遊びもせず、「白倉は大学院と心中したと思って!」と言い放ち、
友人達には迷惑もかけました。仕事先には話をしませんでしたが、最後の3ヶ月は、ずいぶん、
前倒しだの期限遅れだのと、タイムスケジュールを守れない最悪の業者になりさがりました。 それでも、時間は容赦なく過ぎ去っていきます。
だから、どうぞ、何があっても最後まであきらめないでがんばって下さい。
今日の努力の向こうに、きっと卒業が待っています。
あきらめさえしなければ、明けない夜はなく、できない論文もありません。
きっと...
大学院に入ってから、もうじき2年。
あと数日で、冷たい雨の降る土曜日に、受験会場へ出かけた日から、丸2年になります。
このあいだに、修士論文を書くという最終目的に向かって、色々やってみたこと、実行したことをまとめてみました。
自分の苦いにがい経験から、多少、余分に筆が滑ったところもあります。 感情が入っていて、なんだか、告白文のようになってしまったところもあります。
論文ではなく、マガジンの記事として書いたので、エッセイのような、読み物のような、
キメラのようになってしまったけれど、参考にはならないまでも、何か伝えることができれば、幸いです。
2003年2月18日 何十回目かの誕生日に
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