――こうすればよかった――


                                                      

                               国際情報専攻3期生  松村泰夫

                 
修士論文奮戦記
                      
 修論を提出した今になって思うことは、ああすればよかった、こうすればよかったとの反省が大きかったことである。これから挑戦する方々のために、自分では十分にできなかった反省点に基づき、独断と偏見で「理想の姿」をイメージして、思いつくままに書かせてもらいます。

 まず、最初からPowerPointを知的創作ツールとして使うことをお奨めします。項目を箇条書きにすることにより、アイディアの可視化が図れ、元気が出てきます。KJ法1をご存知の方は得意とする分野でしょう。じっと考えているだけでは、何も進まないし、1週間何も進展しない状態が続くようであれば、見通しは暗いと考えるべきです。いかにファイトを燃やすかを考えましょう。挫折したくない人は、このことをしっかり肝に銘じて下さい。

 研究計画の立案、テーマ名の決定に当たっては、候補のテーマを

 PowerPointで書き並べてみます。テーマ選定の経緯、動機は確かなものか?人の物まね・後追いでないこと。独自性があること。新しさ・新規性があること。何か訴える内容があること。社会にとって有意義である(と確信が持てる)こと。自分に、その分野の経験や深い知識が既にあること。興味も湧き、その分野で第一人者になれそうな気がすること。ライフワークにしたいテーマであること。資料はあるのか? インターネットで検索して、参考文献を10冊選ぶこと。その本を図書館で手にとって見ること。あるいは購入して手元においてみることです。これだけで、修論に一歩近づけます。以下に、各ポイントを要約して述べます。

 章立てを考えるには、単純に、序章、1章、2章、3章、4章、5章、おわりにを想定すれば、自ずと次の章立てが思い浮かびます。悩むことは全くないはずです。

 序章 テーマの概要、テーマ選定の理由、本稿の読者は誰か? 目的は何か?等を書く。次に章別の概要を書く。5頁程度。

 1章 現状、現象、内容を幅広く、概括的・総論的に捉えて書く。10頁程度。

 2章問題点の抽出。なぜ問題となるのか? なぜ問題にするのか? 問題の状況や特質等を洗い出す。問題点の背景を明らかにする。社会的な必要性や意義の有無、将来動向等を“物差し”にして問題点を抽出すてみる。10頁程度。

 3章 問題が起きた原因を分析する。原因の分類方法を幾通りにも考える。“論理的に筋の通る”分類法を一つだけ採用する、他は捨てる。その後に、現象面に現れる表面的な原因ではなく根本的な“真の原因”を追究し、反省点にまとめる。15頁程度。

 4章 “真の原因”を踏まえた上で、~すべきであった、~であればよかった、と言えることを集める。自分の考えを述べる。なぜそう言えるのか? 独断ではないのか? 自己満足とか自己顕示欲が強いとかの批判は出ないか?論理の飛躍はないのか? 前に述べたことと矛盾しないか? 終始一貫しているか? 曖昧性が排除され、具体的か? 等を自己点検しつつ、反省点を改善策にまとめる。また、各方面・分野別の提言にまとめる。10頁程度。

 5章 今後の課題と展望。提言の実現を阻む問題点、今後どうゆう条件が整えば提言が実現できるのか? 今後、世の中はどう変るのか・どう変るべきなのか? 5頁程度。

 おわりに テーマ選定の経緯、その後の状況の変化、続編への期待、本稿を読むことにより、読者が得るものは何か? 社会的なメリットはあるのか? 謝辞。3頁程度。

 もうこれで、58頁! 重複や曖昧性を排除し、具体的に書き進めば、50頁以下に納まるでしょう。具体的には、次の通りです。

 構想を立案する際には、まず、PowerPointの画面上に計画や方針、述べたいこと等を箇条書きにします。順不同で思いつくままでよい。気楽に思いつくまま書き込むことで、思考が進みます。頭の中で考えてから、まとめて書くのはやめて、すぐ画面上に書き留めておいて、日を変えて何度も見直し、キーワードを更新(追加・修正・削除)します。不思議なことに、日を変えるとまた、新しいアイディアが生れます。文章の推敲も進みます。行き詰まったら、その部分は残したままにして、次の章に進みます。初めから一気に書き通すのは無理な話しですので、そんなことは考えないことにします。紙の上で下書きして、これを推敲しながら書き直すのはやめにして、画面の上で「一部を修正したり」、「入れ替えたり」、「追加したり」、「削除したり」して編集します。“没”になった画面も最後の部分に残しておきます。こうすれば、机の上にはゴミが出ませんし、整理が楽になります。

 画面上に項目を箇条書きに並べてみます。表にしてもよいでしょう。表の作成には、Wordの画面の最上部分にある罫線(A)⇒挿入(I)⇒表(T)⇒表のサイズで列数(C)と行数(R)を指定します。表の形の修正には“鉛筆マーク”と“消しゴムマーク”が便利です。

 集めた項目は、大項目・中項目・小項目に概念整理をします。項目をグループ分けして新しい名前を付けます。項目の内容を抽象化して大項目に集約することもあります。不足している項目を発見し、追加していくうちに新たな項目が生れまることもあります。

 概念レベルを大・中・小に並べ変え、ストーリーになるように構成します。全体として本文の「あらすじ」が、PowerPointの画面上にできたことになります。

 資料収集する際には、資料を見かけたらすぐにコピーを取る、キングファイルに綴じる、見出しを付けることです。ファイルの厚さが3冊、合計15cm程度まで集める必要があります。新聞・雑誌を後で切り抜くのは、やめて、すぐ切り抜く(新聞名、日付、版、面を記入する)。後でもう一度読み直すのは、やめて、読みながらマーカーペンで印を付ける。

 参考文献には、赤や青で線を引いたり、書き込みを入れたり、見出し(ポスイット)を貼り付けたりして、精々汚しましょう。論文に引用したい個所には、明確な印を付けておきましょう。これらを逐次PowerPointの画面に登録しておきます。

 文章を書く際は、PowerPointの画面を「あらすじ」に見た立て、Wordで文章化します。

 起承転結に気をつけましょう。注や出典の表記には細心の注意が必要です。
表は、縦列2項目では、表にする意味がありません。縦列3項目以上の場合で初めて表の意味が生まれるでしょう。(文章で書くと、説明が長くなるので表にするわけです。)

 ユニークな表を創作しましょう。図は、物まねでは面白くありません。ユニークな図を創作して挿入して下さい。図の作成には、Wordの最下段部分の「オートシェイプ(U)」⇒(線、基本図形、ブロック矢印、フローチャート、吹き出し等)の中から好きな図形を選び、位置決めと大きさを決めれば図ができます。

 目次は、Excelで作れば、縦列がきちんとそろいます。要約は、着手時に書いたものが、本文を書き進むうちに変化してしまいます。修論の途中経過報告会に提出できるように、こまめに見直しをする必要があります。

 要約を、あまりかっこよく書き過ぎると、本文との整合性がとれなくなります。本文と要約は行きつ戻りつしながら書くものではないでしょうか。
 ウィルス対策としては、大学院からの「お知らせ」を見て、こまめにパターン・ファイルを更新するしかありません。

 データファイルは、「マイドキュメント」と[3.5インチFD(A:)]の2種類にそれぞれセイブし、親・子・孫の3世代をいつも把握しておきます。パソコン機能を過信してはいけません。案外耐久性にモロイところがあります。フロッピーの「上書き保存」は避けて、「名前を付けて保存」しましょう。ファイル名の最後には日付と改訂番号を登録しておきましょう。例えば、2.20.V5等を登録しましょう。日付だけでは不十分です、一日に何度も改訂するからです。V50程度になれば本文の“完成の域”に近づいたと言えるでしょう。

 消耗品としては、フロッピーは50枚、プリント用紙は1万枚、トナーカートリッジ4本、ドラムユニット1本(プリンターの機種によります。)等を予め購入します。深夜作業中に用紙切れ等のエラーメッセージが出ると、腹が立ちます。フロッピーは、使い捨てのつもりで考えます。プリンター用紙の裏紙再使用は考えないこと。廃棄処分した方が混乱は起きません。
以上