ある時、閃き
人間科学専攻3期生 横山典子
先日、修士論文の最終提出をしました。論文を書くためにどのくらい時間を使っていたのかと思い返すと・・・? 仕事中−。 私の生業は言語聴覚士といって、病院で主に脳卒中の後遺症のためにことばが不自由になった人に対して、言語リハビリを行っています。患者さんの言語機能のレベルに合ったやりとりを展開するので、「やりとり」といっても、検査結果を踏まえて尚且つ実際のやりとりで可能なレベルを常に探りながら行います。 「私の話したことは患者さんに理解されているかな」、「患者さんが1番伝達し易い方法は、身振りか、描画か、あるいは・・・」と頭はいつもフル回転。・・・・していると、フル回転の中から、不意にポンっと論文のアイディアが出てくることがありました。 幸いいつも手元にメモ用紙だけはいっぱいあるので、さささっとキーワードだけメモしておきました。これらは慌てて書いたのにも関わらず、後々役立つメモとなりました。 また、職場で、自分の職種に関連の薄い勉強会に出席させられるようになりました。折りしも、論文も大詰めの時期だったので、「そんな時間があれば論文のために頭を使いたのに」と思いつつ渋々着席しました。 すると、その勉強会の先生の話が理路整然としているのに聴き入っているうちに、ポンっと、自分の論文の考察文が思い浮かびました。この時もさささっと周りの人にわからないように暗号めいたことをメモして、「何故こういう時に思い付くのか」と不思議な一方、「しめしめ。勉強会に来て良かった」とニンマリしていたのでした。 こんな訳で、パソコンに向かっていた時に限らず、頭は論文に向かっていたようです。 論文に向かっていた間は、仕事だけでは味わえない楽しさがありました。職場で嫌なことがあっても、「自分の書いた論文を指導してくれる教授がいる」ことが励みとなり、論文を書いていた期間は職場を替えずに持ち堪えることができました。 ただ、論文提出してからというもの、ポンっと閃きが出てこないので、また頭をブンブン回す目標が必要みたいです |
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