修論提出1カ月前に楽をする方法


                                                      

                              国際情報専攻3期生   佐藤友厚

                   総合社会情報研究科4期生、5期生の皆さん、乾ゼミ3期生の佐藤友厚です。

  もちろん私も修論作成に苦労しましたが、タイトルにありますとおり、提出直前に焦りまくることはありませんでした。ここではそのコツについてお話したいと思います。

 そのコツとは結論から言えば2点。「資料を集めまくること」と「早いうちに書き始めること」です。当たり前ですが、これがなかなかできないものなのです。

 資料を集めまくることの効果は、@研究する分野で何をどのように論じているのかが分かること。A自分が論じようとしていることが、すでに論じられているかどうかが分かること。B自分の論文のネタが集まること、です。

 @についてですが、例えば、「どのようにすればわが国の銀行の競争力が高まるか」とか「どのようなカウンセリングをすれば悩みを抱える人は救われるのか」といった内容は、言いふるされているようでいても多くの研究者が研究を続けていることが分かります。

それらを論じている研究者がどういうオリジナリティをもってアプローチしているのか。自分の分野の先行研究を分析すると得られるところ大です。また、同じ内容でも政治的バイアスからか結論が違うものもあります。どちらが正しいのか調べるのも楽しいです。

 Aについてですが、せっかく修論を書いても、誰かに先に書かれていて、同じようなアプローチをしていたら「なんだ、丸写しか・・・」と思われるのも「しゃく」ですよね。例えば、気象予報の精度をいかに高めるかについて論じるとします。一生懸命論文を書いても、学会の論文で既に発表されていたりすると第三者からは「丸写し」と思われてしまいます。それを避けるためにも先行研究や関連情報には注意を払いましょう。
 
 Bについてですが、自分の論を援護してくれる情報や論文があったに越したことはありません。私も修論が根拠に基づくものにするべきと考えて、集めまくりました。しかし、おびただしい資料を基に論文を書き始めても、論文の筋と関係が無かったりして、結局、捨てたものも多くありました。また、私はロシアについての論文だったので流動的な部分がありました。このため、提出日の前日まで情報を集め、自分の論が正しいかを確認しました。

 スクーリングでも国際情報専攻主任の近藤先生が「あなたの修論で書こうとしている内容に関連する本をどれくらい読みましたか」と言われていたことを思い出します。

 どうやって、集めるかですが、大学院のホームページにある検索サイトへのリンクは大変役に立ちます。また、アメリカ議会のホームページとか外国の研究所のホームページ、あるいは蔵書が検索できる公立図書館のホームページなど、その気になれば手段はいくら
でもあります。

 さて、早いうちに書き始めることについてですが、資料を読みこなすと、ある人は興味がわき、ある人は疑問がわき、また、ある人は何を書くべきかが見えてくるようです。私もその興味、疑問を基に論文計画書を作成し、書き始めました。

 私は4章からなる論文だったのですが、1カ月で1章を書き、指導を受けてもう1カ月で修正、このペースで4章を8カ月で、残りの「はじめに」や要旨などをやはり2カ月で書きました。

 したがって、1年生後期の2月に計画書を作成し、2年生後期12月のゼミでほぼ 書き終えたものを乾先生に見て頂くことができました。既に1度指導を受けているので、12月のゼミでは大きく変更することもなく、章のバランスだとか、細部の修正で済ませることができました。

  言いかえると、2年生後期に焦るのではなく、1年生後期から自らにプレッシャーをかけて焦っていたというわけです。

  昔、ある人の講演で大変感動した話がありました。オリンピックのメダリストや厳しい訓練に耐えた特殊部隊の兵士は共通してこういうことを言うそうです。「私はすごいことをしてきたわけではない。自分の限界がどこまでかを探していただけだ」と。

 皆さんも修論でどこまでいいものができるか、限界を探してみてはいかがでしょうか。