「eラーニング考」

            -ある時、ある場所での「eラーニング」を巡る仮想対談-

                        

              
                              人間科学専攻4期生  桜庭 望

                 
ある時、ある場所での「eラーニング」を巡る仮想対談

<い>eラーニングって、どんなものか知ってる?

<ろ>WBT:Web Based Trainingならやったことがあるよ。TOEIC(トーイック)試験の対策で。

<い>英語の勉強ができるeラーニングサービスは色々あるね。やってみてどうだった?

<ろ>1日10分くらいでできる問題が毎日メールで配信される2か月のコースは、結構よかった。時間がある時は復習もできるし、学習の進捗状況をWeb上で確認できるのがいい。

<い>やはり、目標がないと続けるのは難しいね。学習履歴は、モチベーションを維持させるのに役立つ。

<ろ>「いつでもどこでもできる」ということは、裏を返せば「やらなくてもいい」ことになってしまう。仕事が忙しい時は、後まわしになったりする。

<い>実は、コミュニケーション型の英語のeラーニングをやってるんだけど、3か月以上休んでる。

<ろ>英語が出来るスタッフが増えたからね。以前は自分で解決しなければならなかったけど、最近は英語の出来る人に任せちゃう。英語が話せないと困る状況に追い込まれると勉強するんだけど、最近は困ってないなぁ。コミュニケーション型の場合はどんなシステムを使うの?

<い>セントラ(Centra)というシンポジウムシステムを使って、先生が教材を提示しながら、その日のテーマについて参加者に発言させながら進める。例えば「お金」とか「保険」とか「家族」とか。

<ろ>先生は、どこに住んでいるの?

<い>アメリカ、イギリス、オーストラリア、韓国に住んでいるという先生もいた。生徒の方は、日本、韓国、メキシコ、トルコ、ドイツなど色々な国からアクセスしている。

<ろ>面白そうだね。でも、どうして休んでいるの?

<い>自分のモチベーションの問題だよ。ちょっと忙しくて休んだら、そのままになってしまって。

<ろ>自己管理って難しいね。学校に通って卒業するという目標があればいいけど、通信教育の場合も、自分がしっかりしていないと似たような状況になる。

<い>eラーニングの用語に、LMS:Learning Management Systemという考え方があって、学習を総合的に管理するために、学習のアドバイスを行ったり、遅れそうな人を励ましたりするメンターという存在が注目されている。

<ろ>学校で言うと担任の先生?

<い>先生というより相談相手かな。

<ろ>結局、eラーニングと言っても、誰かの手助けは必要かもしれないね。

<い>資格が必要だとか、はっきりした目標がある場合は、人に言われなくてもやるんだけど・・。

<ろ>とりあえず次のTOEIC(トーイック)かTOEFL(トフル)試験の申し込みをしてみたら。

<い>申し込んでから勉強するって訳ね。結局、大切なのは目標を持ち続けることか。


eラーニングを巡る状況

1.プラットフォーム

(1)CBT(Computer Based Training)・・・・CD-ROM提供型
(2)WBT(Web Based Training)・・・・・・ネットワーク利用型
(3)LMS(Learning Management System)・・学習を総合的に管理
※サポート体制・・受講率を高め、モチベーションを維持させる方法
  学習進度などの進捗管理や学習のアドバイスを行うメンタリング
  集合型研修とeラーニングを組み合わせたブレンディングなど

2.コンテンツ

(1)教材マニュアル型・・教科書やマニュアルをWBTで提供、暗記もの向き
(2)RPG型・・・・・・・学習の履歴管理機能でRPGのように確認、自己管理が必要
(3)コミュニティ型・・・チューターに質問や受講者同士で討論をしたりできる機能付き
※英語や手話の練習では、音声や動画を利用して学習効果をあげている

3.eラーニングをとりまく技術

(1)インフラストラクチャ
・ブロードバンド
  DSLや光ファイバで大容量のデータがスムースにやりとりできる
(2)システム
・Application Service Provider(ASP)
基盤となるソフトウェアや学習ソフト、掲示板などを提供する業者
(3)標準規格
・「SCORM」(Sharable Courseware Object Reference Model)
  インターネットとXMLを利用したeラーニングの新標準
(4)端末
・PDA(小型の情報機器:Personal Digital Assistants)を利用したもの
・ゲーム機(SONYのPlayStation2、MicroSoftのXbox、任天堂のGAMECUBE等利用)
・携帯電話(i-modeやEZwebメニューに学習コンテンツ、英会話や国家資格試験等)