変わりゆく東京に思うこと(レトログルメ情報付)

           
                               人間科学専攻4期生 白鳥栄司

                   バブル経済崩壊から約10年、日本経済は未だ出口の見えない長期不況下にあります。しかし、この10年間の東京を中心とする首都圏の建設ラッシュを目の辺りにすると、不況とはほど遠い印象を受けます。お台場や有明のウォーターフロントの開発、新橋駅前の汐留地区〔新橋・汐留地区に寄りの際は小川軒さん(新橋駅前ビル1号館1階)の「レイズンウィッチ」がお勧めです。ここと、目黒本店でしか売っていません。ただし、ラムレーズンはアルコールが幾分強めなので、幼児には与えないほうかよいと思われます。まさに、大人の味です。(脱線)〕、丸の内再開発、六本木地区の森ビル再開発、品川駅前などあげればきりがないほどです。建設会社に勤務する私にとっては、このように建設が続くのは個人的にはありがたいことです。

 ところで、数年前までは(今でもそうです)東京で一番高い建築物は「東京タワー」であり、私のオフィスからも、ひときわ存在感のある眺めでした。しかし、現在、付近に高層ビルが数多く完成し、「東京タワー」の存在感にそれほどのインパクトがなくなってしまいました。

 又、交通網、特に地下鉄は都営12号線を初めとしてその網の目は、もはや自分の頭に記憶させておくこともできないほど複雑化し、今も進化し続けています。さらに、前述の新しいオフィス街の完成による相乗効果で人々の朝夕の通勤の流れも微妙に変化し、山手線のラッシュ時間が幾分早まり、昨年夏ごろより、朝は15分早く家を出るようにしています。

 先日、悪友達と毎年恒例の「あんこう鍋の会」を神田須田町の伊勢源さんでおこないました。この界隈もオフィス街であり、ビルの谷間に、戦前からの老舗である伊勢源さんや蕎麦屋さん、焼鳥屋さん、鰻屋さん、甘味屋さん等が、高層ビルの最上階のレストランとは一線を画す昔からの味を守っています。私は「あんきも」は苦手なのですが、伊勢源さんの「あんきも」だけは年1回、美味しく頂かせてもらっています。

 交通博物館もある神田須田町界隈は私のお気に入りのスポットです。〔又、横浜、野毛の焼鳥屋街も好きなスポットです。野毛の町で飲んで、ブリーズベイホテルの最上階のバーからMM21を眺めると、日ごろのストレスも解消されます(脱線)。焼鳥ではないですが、泰華楼さんのシュウマイも逸品です(大脱線)。〕

 今後も、東京はどんどん進化していくと私は考えます。しかし、その進化は単に巨大なオフィス街、おしゃれなショピングセンターを作ることではなく、本来、日本、江戸が持っていた文化との融合を図って行われなくては、欧米で失敗した都市再開発(都市中心部がスラム化する)の二の舞を踏むことになるでしょう。

 具体的なこととしては、毎年、桜の花が咲くころになると「花見」をする、夏になれば町内会の「盆踊」といったことが、巨大ビル群と違和感なく共存出来る都市づくりを模索する必要があると考えます。

以上
伊勢源さんにて。筆者です。
これでは、単なる酔っ払いですね。