アメリカ出産秘話




人間科学専攻4期生 石舘美弥子

いざ、渡米!

 時は1991年、真夏の8月、夫の赴任に伴いアメリカへ行くことになりました。前年に長女を出産していた私は、乳飲み子を抱えての大移動でした。New Yorkに到着後、一路Connecticut州のStamfordへ向かいました。緑広がる田園風景に「ここって…アメリカ??」
 大都会東京の喧騒生活から一転、これから始まるアメリカ生活に期待と不安の入り混じる幕開けです。

第2子妊娠!

 半年が過ぎアメリカ生活にも慣れ始めた頃、待望の第2子を妊娠しました。こどもを通じて知り合った近所の(といっても、車で約20分の距離)友人Lindaの紹介で、近所の(といっても、車で約20分のクリニック)産婦人科を受診しました。クールな印象のプーチン大統領似の男性医師でした。待合室には数人の妊婦さんカップルがいます。大柄なアメリカ女性に比べると、私は細身で小柄です。受診のたびにプーチン医師は私に言います。“ Eat a lot. ”問題は思うように増えない私の体重でした。毎月受診時には体重を量ります。体重計を見つめながら、ため息ばかり。「あぁ〜・・今回もあまり増えていない・・・」待合室で大柄な妊婦さんに混じると、私はまるで子どものようです。食事は美味しくいただけるのに、食べても、食べても太れないのです。悶々と体重のことばかり考える日々が続いているときに助けてくれたのが、友人Lindaの一言です。“ Why don’t you change your doctor? ”途中で担当医師を変えるなんて考えもしなかったことでした。しかも、プーチン医師はLindaの紹介です。実は、アメリカでは、医師を変えるのは当たり前なのです。プーチン医師に思い切ってその旨を告げると、笑顔で快諾されました。私のMedical RecordLindaお勧めの新しい女性医師へ速やかに送付されました。女性医師は、増えない体重に悩む私に、穏やかな笑顔で“ No problem ! ”彼女のfirst nameは“ Julia ”。憧れのJohn Lennon の実母と同じ名前に一層親しみが増し、めでたし、めでたし。

早産の危機!

 妊娠後期に入り、体重は4kgほど増えました。やや少なめの体重増加ではありますが、妊娠は順調に経過し、Julia は相変わらず穏やかな笑顔で“ No problem ! ”しかし、事態は急な展開へ。定期受診のその日、いつものJuliaの言葉“ No problem ! ”がありません。早産の危険があるため、直ちに入院が必要だと告げられました。急な事態に直面し、2歳になる長女のことが私の頭の中を駆け巡りました。夫は出張中のため、連絡がとれません。困っている私を助けてくれたのが、友人のLindaでした。長女をLindaの家に預けて、私は無事に(?)入院生活に入ることができました。すでに始まっていた陣痛(鈍感な私は、3分間隔となっていたことに全く気づかなかったのです)を抑えるための点滴治療、そしてベッド上安静・・・出産までの不自由な生活の、はじまり、はじまり。

無事に出産!

その後、入退院を繰り返しながら約1ヵ月・・・このように元気な男の子が生まれました。

左から、Julia Gray, M.D. わが息子、そして私 (おしまい)