修士論文・中間発表会に参加して




人間科学専攻3期生 荒木正昭

 928日(土)・29日(日)にかけて、本大学院初めての「修士論文・中間発表会」が市ヶ谷の大学本部にて開催された。私の所属するゼミの河嶋孝教授から、「修士論文の中間発表会に参加しませんか」と言われたのが9月上旬であった。8月下旬、河嶋ゼミ(軽井沢)ですでに中間発表を済ませ、約75ページの修士論文を書き上げ、あとは校正と資料整理をするだけで参加したことから、誰よりも早く進んでいるということでの推薦であったと推測する。ところが、自分の論文をゼミ以外の人前で喋るのは初めてであり、なんとパソコンは入学時初級研修を受ける力しかなく、やっとここまで来たというのが現状であった。したがって、発表は「PowerPointでして下さい」と言われても、正直PowerPointを使ったことがなく、また75ページをPowerPointにまとめるのに非常に苦労した。

 現在、大阪市の専門学校と財務省(大阪造幣局)の講師を掛け持っていること、9月は試験期間でもあり、正直お断りしようと考えていた。しかし、河嶋教授から「こんなチャンスはそんなにあるものではないですよ。修士論文の口頭試問の練習にもなります。また、ゼミから一人は推薦しなければならないので…。」と言われ、準備もそこそこで参加の旨を伝えた。また、真邊一近教授より「今回は、3専攻の合同なので、できるだけ他専攻の方に理解できるように発表して下さい。」という宿題まで頂き、専門的知識をやっと理解しつつあった私が、どのように限られた時間内(20分)で発表したらよいのか、夜遅くまでの格闘であった。また、河嶋教授からは「時間内に納めて下さい。しかし、時間が足りなくてもだめですよ。また、早口にならないように。」とのメールが発表1週間前に届き、何度も何度も横にストップウォッチを置き、練習を重ねた。

 ところが、何度しても1分オーバーする。止む無く、一番私の論文の内容で説明しなければならないところを消去し(これは後に判明)、練習すると1945秒で終了した。発表当日の午前4時であった。朝一番の新幹線に京都駅から乗り、新幹線の中でゆっくり寝ようと考えていたのだが、これまた寝られない。結局、新幹線の中でもストップウォッチを離せないまま東京駅に着いてしまった。

 このような不安の中、発表は思ったより緊張はしなかったが、やはり一番重要な箇所の消去は、他の専攻の方には理解しにくかったようである。気持ちはできるだけ易しく伝えようと思っていたのだが、結局余裕がなかったというのが本音である。

 私の大学時代の恩師であるT先生が、「難しい話を難しくすることはそんなに難しいことではありません。それより、一般の人にも理解できるように易しく話すことの方が、よっぽど難しいことです。」との言葉を発表後思い出した。

 このように苦労した発表であったが、他専攻の方との交流、終了後の懇親会等楽しい思い出となったことだけは事実である。

                                      以上