国際情報専攻 諏訪一幸

「IT時代の新聞」

 IT化で既存メディアの有用性に疑問が呈されている。新聞無用論さえ聞こえてくる。しかし、新聞の存在価値がなくなったわけではない。

 第一に、情報量の多さである。毎朝、毎夕、数十ページにものぼる新鮮な情報が一度に入手できる。受動的ではあるが、便利だ。

 第二に、総合性である。専門紙を別にすると、総合紙には政治、経済、文化、社会、スポーツなど、あらゆる分野の情報が満載されている。総合的な見識形成に有用である。

 第三に、新聞のもつ世論形成力である。新聞にはそれぞれ独自の主義主張がある。誤った情報や偏った考え方がある。読み比べることで、価値観の多様性が認識できる。新聞論調を媒介とする議論を通じて形成された世論に、大きな誤りはないはずである。

 技術革新は日進月歩、ライフスタイルも千差万別だ。だが、それによって新聞の有用性が否定されることは、ないのである。