「締切りは・遠くに見えて・すぐ近く」



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情野瑞穂


私のほかからもきっと多くの修論奮闘記が寄せられていることでしょう。私のがこれから2年となる方、またこれから入学される方にプラスになるとか刺激になるとかは思われませんが、ふーんそういうこともあるかもしれないねぇ程度にお読みいただければ、と思います。

1年の冬期スクーリング。ハッピーアワーで、初の卒業生である先輩が話されていました。「まず書き始めましょう。資料はあとからついてきます」そうか、じゃ、夏にはとりあえず全部書き終えて、そのあとじっくり練り直していこう。かくして、快調なスタートを切ったのでありました。

テーマはイスラーム。イスラーム世界が概して立ち遅れてしまっているのはなぜか。イスラームが発展を阻害するものなのか。イスラームと経済、発展の関連・構図を明らかにしていこう。そう設定したのは1年の夏頃だった。そうしてどんどん資料を収集し・・・・・しかし肝心要のイスラーム経済の本や論文が見つからない。それでもあちこちの文献検索でそれとおぼしき物を取り出し、ずらぁっと並べて片っ端から斜め読みをし探した。そのうち見つかるであろう、と。

1年も終わる頃には、意気込みよろしくテーマ設定までと論文の大筋を大体書き出し、序章などの本論の一部となりそうなものをタイプ・アップ。ところが、やっぱりメイン部分の資料がついてこない。中世の帝国時代のものばかり。現代イスラーム経済はあっても“点”で、体系的な良書と判断できたのはたったの1冊だけ。うーむ、これはどうしたものか。

2年となり、受講した先生からご案内いただき、イスラーム研究の大家、黒田壽郎先生の公開講座を聴講しに行く好機に恵まれた。お取り計らいいただいたお陰で、講演のあと、黒田先生から直接ご教示を頂戴した。先生のひと言は効いた!!!「イスラーム経済はねぇ、難しいねぇ」私がたった1冊見つけた有効なイスラーム経済論の訳をされていたのが黒田先生で、その先生がそうおっしゃるなら、これはもう方向転換しないとダメだ・・・・・すぐ決行、それまでの大分を捨てた。

2年の夏。とりあえず書き終えようと思っていたのに、実際はテーマ設定ができただけだった。新しいテーマに沿った参考文献をリスト・アップをするために、再度手当たり次第に当たっていくと、ん?これは前に読んだぞ、というものが続出。文献を採択していく作業で、“参考にしない文献リスト”というものを同時に作っておけばよかった・・・・・

夏のゼミの段階で、お仲間はもう結構書いていた。私はやっと決まったテーマに、不安定なチャプタリングを施した段階。11月のゼミでやっと資料と筋とが固まった。さあ、あとはガンガン書くのみ!!!1年近く前に書いていたものもうまく使って繋げていこう。そうタカをくくっていたら、それはどうもうまくゆかない。文章が流れないのだ。これはもう始めっから書くしかない。大丈夫か?間に合うか?

平均睡眠時間3時間の毎日が続き、締切り間近は、1日おきに徹夜となった。12月1月はパソコンのトラブルが多いらしい。私の場合は1月13日、最終の印刷をしようとしたところにプリンターが動かなくなり、慌てて父の勤めている会社の助けを借りて終了させた。そこは24時間体制の職場で、土曜日の深夜でも開いていたのである。あわや!という危機を乗り越えて14日、めでたく発送。15日必着の締切りに間に合ったのでした。

先生方、先輩方、同期の皆さま、応援や手助けを下さった皆さま、本当にありがとうございました。機会がありましたら、後に所沢校舎に置かれることになる私の論文をご覧いただき、感想をお寄せください。これから書かれる皆さん、「為せば成る」ですゾ