「修士論文の提出を終えて」



国際情報
専攻
新谷眞瑜



 

自己紹介
 私は、1945年生れで、56歳、某一部上場の化学メーカーに勤め、輸出入貿易業務に約30年従事し、残り4年で定年を迎えます。東京ヘ来てから、8年単身赴任で、生れは和歌山県です。

本大学院志望理由
 私が、本大学院総合社会情報研究科 国際情報専攻を志望した理由としては、約30年従事して来た輸出入業務のノウハウを何としても修士論文を書き上げ、無事に定年を迎えたく、是非とも一つの仕事のけじめをつけたいと念願していたからです。
        
修士論文のテーマ
 修士論文のテーマは、『国際貿易の実務分析』で、趣旨は下記の通りです。

 「日本において貿易が何故必要か」と問われると、「日本は資源がないから、輸出 によって外貨を稼ぐ、そのためにエネルギー資源、工業原材料等を輸入しなければな らないからだ」と答える人が多かった。こうした考え方は現在の日本の貿易を考える上で非常に時代遅れである。
 第一に、こうした考え方は、「日本には資源がない」という特殊性を余りにも強調 しすぎてしまった。同じような国はほかにも沢山ある。経済にとっての資源は、単なる資源ばかりではない。人的資源、技術資源、資本等多種多様である。「資源があるか、ないか」なのではなく、各国毎に各種の資源を保有している度合いが異なることが貿易を生む、いわゆる国際分業である。
 第二に、「輸入のために輸出が必要だ」という考え方と「輸入は必需的なものであり輸出は促進されるべきもの」というこれらの二つの前提は現在においては正しくない。まず、輸入の内容は、多様であり、必ずしも必需的なものではない。例えばユニクロ・100円ショプ等のように、石油等の必需的な資源よりも、国民生活によりニーズを満たすための製品輸入が増えて来ている。
 現在に日本にとってむしろ輸入を促進することによって国民生活が豊かになり、合わせて世界経済の発展に如何に寄与するかという方向に求められている。
 一方、ここ10年間、国際貿易構造を地域的にとらえると、日本、米国、東南アジアの三極間の貿易が増加傾向にあり、特に東南アジアから米国への輸出の伸びが比較的 高くなる等、三極間貿易および多極間貿易で東南アジアの存在感が増している。また、最近では、中国が一つの極となり、国際分業構造を形成している。
 こうした東南アジア域内の貿易構造の変化を直視した上で、国際貿易の実務面でど う変化して入るのかを分析した。
分析方法
 仕事を通じて、業界紙、業界誌、日本経済新聞、日経産業、朝日新聞、化学工業日 報、ジェトロ・センサー、月刊ダイヤモンド、等に毎日目を通し、特に業界誌、業界 紙の統計資料を集めることに力を注いだ。また、船会社、乙仲、海貨業者と直接会話を持ち、知識を深めて行った。
  また月一回のセミナーについては、事前に小松教授よりご許可を頂き、当日の午前中に個人指導を受け、その度ごとに教授からのご指摘およびご指導の受けた箇所をさらに深く調査し、次回のセミナーまでに準備し、さらに新しい論題の章、節、項目を増量して行き、また ご指摘を受け、回を重ね、最終的には約120枚の原稿に達した。
こうした学業はほ とんど毎土、日、祭日を費やし、連休が重なると大いに捗った。

 最後に私の人生は一生勉強だと思っております。この修士論文をベースにしてまた新しい発見をする覚悟です。