「専攻を超えた交流」





文化情報専攻
安田 保

新聞に掲載された日大大学院の広告を見て、昨年の今ごろは願書を提出し、入試に備えていたことを思い出した。今は文化情報を専攻し、充実した時間を過ごしているが、最初から文化情報にすんなりと決めた訳ではなかった。 私は十年来アパレル関係の仕事を続けており、海外のブランドを扱ってきました。 今までの経験と今後の仕事を考えれば、国際情報を専攻するべきであったが、最終的に文化情報の専攻を決定しました。 

 私の主な仕事は、海外でブランドを保有するライセンサーと日本でブランドの使用権を与えられたライセンシーとの仲を取り持つことでした。ライセンスビジネスを成功させるには、双方に利益を生むことは勿論ですが、双方が協力し、ブランドイメージを向上させることが大切です。 いかに信頼関係を築き、それを維持するかがポイントです。国により、商習慣、文化は違います。 お互いにそれらを理解することから本当の信頼感が生まれます。 私がこの仕事に面白味を感じたのは、単に商品やお金が動くだけではなく、人と人とのつながりが基本となっているからです。

外国の方は、日本の文化に大変興味を示します。 特に私が仕事をしてきた相手が、アメリカ、オーストラリアといった歴史の浅い国々の方だったからかも知れませんが、日本人が守り続けて来た伝統に憧れを持っているように思います。 子供の頃より、茶道が身近にある環境で育った私は、日本文化については、ある程度の知識があると思っていました。しかし、彼らの興味は表面的な日本文化だけでなく、精神的なものにも及びます。 彼らから質問されたことにより、真剣に日本文化について学んでみようという気になりました。あらゆる国、民族の文化を理解し、融合を目指す文化情報専攻が今の私には最も必要とするものを与えてくれると考え選んだ次第です。 

いざ大学院で学び始めてみると、我々の目指すものは、自己満足の為に文化を学ぶのではなく、学んだことを社会に、海外に発信する、役立てるためであることを確信しました。これは広い意味で国際情報であるとも言えます。また、他専攻の院生、教授とも交流する機会があり、彼らの研究、考えを知ることもできます。この専攻を超えた交流は、サークル活動等を通じて活発になることでしょう。本大学院は社会人により構成されています。それぞれが今までの経験に基づき様々な情報を持っています。必要な情報は大学院の誰かに尋ねれば与えてもらえる。また、自分の得意分野の情報は人に与えてあげる。そのような専攻を超えた個人間の交流も今後は活発になって行くことでしょう。 専攻にこだわらず自由に学べることが分かってから、ますます大学院が楽しく、身近な存在になりました。 今年も多くの学生が入学し、この喜びを見つけることを期待します。