「卒業してから入学した」





平成12年度修了生・国際情報
斎藤俊之

 私は、本科を20013月に卒業しました。1期生であります。学校は「論文を書くことを目標に勉強、研究すること」そして「多くの先生方、友人と知り合い、つながりをつくる場」。この2つが両輪となって大きく回って前進し、自己を磨いていく所であると考えています。しかし、通学制と違い通信制であるため後者の先生方や友人と直接語り合う、多く知り合うという時間、空間の側面は難しさが伴うのは事実だといえます。しかし、卒業した今、引き続きゼミの仲間と集いそして既卒生、在学生を問わないサークル活動へ参加させていただき、会う度に多くの方と出会い、多くの方の見方、考え方に触れられることに大変大きな喜びを感じています。そうです、2年間の課程は卒業したものの、自分を磨くのはこれからなのですね。

 ここでは、「卒業してから入学した」と思い立った契機のある一部を報告したいと思います。

 在学中はレポートに論文とどう仕上げるか悩み続けた日々でした。しかし、仕事場がありながら又年甲斐にもなく通学制の学生みたいにエンジョイし、多くの仲間と語り合ったり旅行に行ったりしたいと思っていたのでした。しかし、そんな欲望もメインの論文を考えることにしか頭が回らず、又、悩みを相談する手だて、相手もゼミの仲間以外には見つからず、一人思い悩む事が多い2年間でありました。唯一、ホッとする時は、一年に3回程度のゼミ学習で仲間と顔をあわせた時であります。日頃、メールで近況報告などをやり取りをしているもののやはり同じ空間に居合わせ、顔を見ながら話す、お酒を飲みながら雑談する、そのひと時がどれだけ力になったことか。だから、一緒に論文作成にがんばるこのゼミのメンバーだけでも一生の友人として卒業後、お付き合いしたいと率直に考えていたのでした。

 そんな折、メンバー5名(和田民子さん・伊藤満さん・鈴木佳徳さん・榊原厚子さん・筆者)の親睦をさらに深める契機が訪れたのはマラヤ大学(マレーシア)で客員教授をされていた長谷川啓之先生の元へ、なんとみんなで修了記念旅行を企画し実行しようということでありました。この企画が持ち上がったのは2年目の11月末。論文作成大詰めの時であり、この話が「がんばる素」になったことはいうまでもありません。「論文を完成させマレーシアへ行こう」が合言葉になっていたのです。

 論文試問を終え、残務整理もひとまず目途が立ち、すがすがしい気持ちで2月にマレーシアへ5名で長谷川先生にお会いしに出掛けました。その時の感動は未だに忘れられません。

 特に、長谷川先生とのアポイントでは、待ち合わせ場所をマラヤ大学の正門ということにしましたが、何箇所か門があり、理解している場所が果たしてその場所なのか正直、自信がなかったのです。特に、先生との連絡手段はe-メールのみであり、お会いする前日にホテルから連絡をしたかったのですがアクセスできず、不安でいっぱいでした。しかし、メンバーで右左を見ながら長谷川先生の姿を探し、先生とアイコンタクトが出来たときにはホッとしました。

 先生の解説で巡るマレーシアクアラルンプール近郊は日本人観光客が訪れることの無いエリアであり住む人の素顔を見ることが出来ました。そしてその情景に対し、メンバーが発する見方、気がつく所にはなるほどという点が多く、斬新さがあり、これまで知らなかったメンバーの一面を垣間見ることが出来ました。もっと早くこうした場が持てれば論文の内容にも生かせたのではとやや悔しい思いをしました。

 この時からメンバー5名と先生を囲む機会を年に1回、国内又は国外で持とうと決めたのであります。

写真1.)ゼミ仲間で長谷川教授を訪ねマラヤ大学へ

 ゼミ間、専攻間を超えた仲間との交流が出来るというのは実にうれしいもので、願ってもない事といえます。そんな企画に参画できる機会を得たのは、3月の修了式後の懇談会の時でした。私と同じゼミの和田民子さんを通じ荘光ゼミの石大三郎さんと山本忠士さんから「台湾研修へ一緒に行きませんか」と誘われたことでした。

 参加するメンバーはゼミを超えさらに専攻間、学年を超えているものでした。最初は正直、ややぎこちない壁を感じましたが、この台湾研修がその後の自分に、この大学院に入って良かったという実感と面白みを増すきっかけを与えてくれたのであります。(参照:電子マガジン6号)

写真2.)荘光ゼミ・歴史研究会の台湾研修‘01/09/0811
写真3.)歴史研究会・長野研修‘01/10/2021(研修内容は電子マガジン6号参照)
写真4.)長谷川ゼミ1期生 先生御夫妻を囲んで同窓会・那須塩原高原にて‘02/01/1213
写真5.)歴史研究会・時事問題を語る会の函館研修‘02/02/0910

台湾研修後は、歴史研究会の活動を中心に先生方、仲間と一緒に行動しています。各地を回ることから人とのつながりもさることながらその場でしか味わうことが出来ない一品などにも巡り会え、親しい仲間と一緒に寝食し、勉強に対する刺激を受けることは楽しくて言葉に言い表せません。

 2002年2月中旬現在、サークルは歴史研究会、時事問題を語る会、行政研究会が立ち上がっておりさらにいくつかの研究会が立ち上げを準備していると聞きます。活動を益々活発化させ大学当局側で補うことが出来ない面をサークルが補完できるようになれば素晴らしいと念願しています。(社会人)通信制大学院の学生の凄みは、各界各層に職と籍を持っていることです。一人で思い悩まず、チャンスを生かし、行動してみると共通する分野での有機的つながりを見出せるかもしれません。いや、それが出来るすごい力を秘めていることは間違いないのです。

 修了証書をもらったから終わりではないのです。