院生必読
「誤解を受けないメールの書き方について」





国際情報専攻
落合仁子


はじめに

メールは、即時に手紙を送ることが出来る非常に便利な媒体として利用されている。メールは、時と場合によって、メールの文体を変える必要がある。今回は、メールの利点欠点について考え、そこから、具体的にどのようにメールを書くと良いのかについて考察してみたい。

1.メールの利点について

第一点として、即受性がある。メールは、電話回線とパソコン等の機器があれば、即座に受信、送信することが可能である。

第二点として、自分と違うキャラクターになれる。いつもは、消極的な人でも、メールを使って、積極的に意見を言うことが出来る。時として、自分と違うキャラクターになれる特性が、悪く作用する場合も考えられる。

第三点として、顔が見えないため、対等に意見を言うことができる。面と向かって言いにくいことも、メールであれば、活字をつかって意見を言える。

2.メールの欠点について

第一点は、文字伝達のため、言葉が足りず、誤解が生じる点である。メールは、一見、手紙のようである。しかし、瞬時に送ることが出来、なおかつ、限られた画面で見るため、簡潔に書かなければならない。  

第二点は、極端な意見を述べてしまうという点である。普段は、公平な意見を述べている方でも、メールという媒体では、極端な意見に特化してしまう傾向がある。

上記より、メールの欠点である文字伝達のために、言葉が足りず、誤解が生じることに対しては、私が、具体的例をあげ、考察する。

3.誤解を受けるメールの具体例

 メールの書き方について、ネチケット、つまりインターネットを利用する中でのエチケット集を見ると、メールは話し言葉で書きましょうとある。

 しかし、この話し掛けは、正確に、話し言葉を文章化したものではない。電話や会って話しをする言葉を正確に文章化したのでは、相手に混乱を招くことになる。

 具体的に例を見てみたい。

(受信メール1

落合さん

日々寒くなって参りました。

ところで、公開討論の資料は出来ましたか?

進行状況をお知らせください。

真邉

 真邉先生が、公開討論の資料について、落合に、催促のメールを下さった例である。

(送信メール例1

真邉先生

ご連絡ありがとうございます。

公開討論の資料ですが、完成しているところだけお送りします。

仕事が忙しく時間が取れずにおり、まだ完成しておりませんでした。

ご連絡が遅くなりましたことお詫び申し上げます。

落合

私が、真邉先生にお返しする例をあげてみる。

 この例は、話しかけと敬語を用いた中間の例となる。相手とある程度、交流がある場合は、このようになるであろう。

(送信メール例2

本当に寒くなり、嫌になりますね。

実は、仕事が忙しくて出来なかったんです。

スミマセン。(^^; 出来た分、お送りします。

また、近いうちに、ご連絡します。

よろしく。(^o^)P

 

次の例を見てみる。

 これは、非常に近しい友人宛てである。顔文字を使い、話し掛ける雰囲気を感じる。しかし、これは、目上の方には使うことは、出来ない。

(送信メール例3

まだ出来上がっていませんよ

>落合さん

>日々寒くなって参りました。

>ところで、公開討論の資料は出来ましたか?

>進行状況をお知らせください。

>真邉

 次に、言葉足らずの例である。最後に「よ」を用いているものの、あまりにも短すぎて、相手への気遣いが感じられず、相手は怒ってしまう可能性が高い。しかし、非常に頻繁にメールのやりとりをしていた場合、短い方が簡潔な場合も考えられる。

(送信メール例4

真邉先生

拝 啓 先生におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

この度は、公開討論の件で、ご連絡頂き、恐縮です。仕事で新たなプロジェクトを任されまして、時間を取れずにおちました。まだ、未完成ではありますが、添付でお送りさせて頂きます。ご連絡遅くなりましたこと深くお詫び申し上げます。

 寒さ厳しい折、何卒ご自愛下さい。                    敬 具

 最後は、最も丁寧な例である。拝啓で始まり、敬具で終わる丁寧な印象を受ける。目上の方に、有効な文体であるが、目上の方であっても、ある程度交流があり、語りかけるようなメールをもらった際に、返すには、適当ではない。

4.メールを書く上での留意点

以上の例から、メールを書く上での留意点を述べる。

1.      軽い礼儀を持つ。親しさを考えなければならない。先程の例にあるように、相手との親しさやメールのやりとりの頻度によって、書く文体は変化する。

2.      語りかけるように書く。堅い文章では、相手との距離感を感じ、不快にさせてしまう場合がある。メールでは、ビジネス文書ほど堅くなく、話し言葉ほど、フランクではないことが重要である。

3.      自分の感情を文章化する。顔が見えないため、言葉が足りぬ文章では、相手を不快にさせることがある。自分の感情を言葉で付け加えるべきであろう。時と場合によっては、顔文字も有効である。

4.      相手を思いやる気持ちを持って書く。送り手は、非常に忙しい中、メールをくれたかもしれない。相手の状況を踏まえ、相手を思いやる文章を一言入れるべきである。

5.      要点を押さえ、簡潔に書く。長々と書いてしまっては、読む相手も疲れるので、要点を押さえて、簡潔に書くべきである。

おわりに

 私も日々、気をつけて、メールをするが、時として、誤解も招いてしまう失敗をしている。読者の方も、相手の真意をわかりかねるメールを受け取り、困ったことが一度はあると思う。そして、もしかしたら、メールにおいて、意図しない誤解を相手に与えているかもしれない。

 メールは、送り手と受け手のお互いの思いやりによって、成立する。

 顔の見えないメールでは、言葉から思いやりを伝え、嗅ぎ取らなくてはいけない。より良い活用のためには、提案した5つの事項を踏まえ、日々振り返る必要があるのではないだろうか。