院生必読
「第二回公開討論会「メールにおけるコミュニケーションスタイル」総括」
国際情報専攻 落合仁子 |
1.公開討論会実施
去る11月17日、国際情報専攻冬期スクーリング2日目に第二回公開討論「メールにおけるコミュニケーションスタイル」が実施された。昨年、院生からの強い希望で実現した公開討論を、今年もぜひやりたいということになり、近藤大博教授に貴重なスクーリングのお時間を割いて頂いた。私、落合と二期生の村上恒夫さんが実行委員として動く。テーマは、E-mailという身近な問題を取り上げ、コーディネーターに人間科学専攻の真邉一近教授を、お招きした。
2.討論会の目的
今回の目的は、E-mailによるコミュニケーションを今一度振り返ってみることであった。
真邉教授によると、E-mailのコミュニケーションも、通常の人間のコミュニケーションと変わらぬものであるということであった。しかし、活字伝達であるE-mailには、意図しない誤解を招いたり、受信したメールの相手の真意が理解出来ぬことが時折ある。今後、さらにE-mail活用が活発化する中で、より良い活用方法を考えることの重要性を感じ、今回のテーマ設定となった。
3.準備
テーマを設定したのは、9月下旬である。他案もあったが、早めに設定出来た。その後、E-mailで、真邉教授に専門的な視点から、ご指導受け、問題提起、討論会の流れを推敲する。問題提起の内容、アプローチ方法で、頭を悩ます日々が続いた。10月13日にディスカッションルームを通じ、院生に告知する。告知した時点では、明確な問題提起が定まらずにいた。近藤教授より関連書物をお貸しいただき、その書物から問題点列記をし、ようやく、問題提起内容について絞ることが出来た。
4.当日
当日の流れは、以下の通りである。
1.「誤解を受けないメールの書き方について」 問題提起者 落合仁子
2.「メールの即時性について ―ただ早く着きすぎてしまっただけのことなんです―」 問題提起者 村上恒夫
3.「E-mailとコミュニケーションスタイル」真邉一近教授
4. 1〜3を受けての全体討議
司会 落合仁子
アシスタント 内山幹子
スクーリング2日目で、皆顔見知りということも手伝い、和やかな雰囲気の中、行われた。問題提起においては、戸惑うことなく、進めることが出来た。村上さんの問題提起は、実体験を元に具体例を述べ、皆の共感を呼ぶ。真邉教授のお話では、専門的見解をより分かりやすくご説明頂いたことで、自分のコミュニケーションの位置を知る。全体討議では、事前に用紙に質問を書いていただき、質問表から、指名式で討論を進めた。当初の予定よりも、質問の範囲が広く、進行に苦慮した。参加者の方のご発言は、笑いに富むものが多く、つたない進行を補うものであった。また、内山さんが常に会場に気を配ってくださった。
5. 結論 ―メールは、時間を置いて見直せ!―
私の問題提起では、相手との新密度によって、文体を変える必要性について提起した。また、村上さんは、携帯とメールとの具体例を出し、即時性からくる問題点、解決法について提起した。真邉教授からは、言外の意味を理解してもらえることを期待した高コンテキストコミュニケ―タ、言われたこと、書かれている情報だけを利用する低コンテキストコミュニケ―タ同士のコミュニケーションでは、誤解が生じることをお話頂いた。
真邉教授が行ったコミュニケーションテストで、問題提起者の村上さんは、あいさつ、世間話などからメールを始めるタイプであり、落合は、用件重視型と結果となり、相反することがわかった。参加者も自分のコミュニケーションのタイプを知り、それぞれ自分を振り返る良い機会となった。
討論の中で、メールの使用については、誤解が生じないように、同世代ではメール、それ以外の世代は、違う媒体を使うと言った意見や、TPOをわきまえ、使用媒体を変えるという意見、E-mailにおいては手紙に順ずるもののため、即時性を求めない、といった意見が出された。また、メールの文章で、誤解を招いてしまった例や、返信をしかねた経験も出された。送信したメールの中で、誤字脱字に気づき、恥ずかしい思いをしたという意見もあった。
メール、手紙、また、リポート等においても、すぐ相手に出すのではなく、時間を置いて、見直して見ることが重要であるという見解に落ち着いた。
5.反省と今後の展望
最も大きい反省事項は、全体討議の進行である。全員の質問を網羅しようとするあまり、討論の範囲が広くなってしまった。問題点を絞って、討論出来ればより良かったと思う。
また、内容がディスカッションであり、ディベートではなかった。反対派、賛成派に別れるディベートの方が、進行がしやすいだろう。多様な意見を引き出す、まとめることの難しさを感じた。司会者である私の力量が足らなかったことが悔やまれてならない。
私の未熟な進行でも、それなりの形を作ることができたのは、多数のご協力を頂いたからに他ならない。ご多忙の中、ご協力頂いた真邉一近教授、近藤大博教授や、激務の中、常にサポートしてくださった村上恒夫さん、親身になってご協力くださった内山幹子さんに深く感謝している。大学院事務課の方にも非常にお世話になった。当日は、スクーリング参加者の他、小松憲治教授、乾一宇教授もおいでくださった。人の心のあたたかさに触れ、コミュニケーションの有用性を感じることが出来たのことは、私のかけがえのない体験であった。
来年度は、四期生が中軸となる。今年の反省点も含め、来年度のサポートに向け、準備したい。
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