「星 亮一氏著『浅井長政』、『蜂須賀小六正勝』のご紹介」


星 亮一著PHP文庫2001年11月1日発行????円)
学研M文庫2001年11月15日発行????円)

以前、この大学院の院生専用HPの「ディスカッション・ルーム」に星亮一さん(当院国際情報専攻2期生で、歴史家でいらっしゃいます)の執筆された新刊書を1冊ご紹介したことがあります。今年6月に発売された『よみなおし戊辰戦争』(ちくま新書)です。それから半年足らず、111日に『浅井長政』(PHP文庫)、また15日には『蜂須賀小六正勝』(学研M文庫)をお出しになりました。実に精力的な活動をされていらっしゃいます。学生業、修士論文作成の方は大丈夫なんでしょうか、といささか心配いたしましたが、それはどうやら私、自分自身についてのみ必要なようです。

史実に即しながら、時にはその際に採用しなかった異説も盛り込みながら、星さんの書かれる本には、当時の情況が力強く描き出されています。今回の『浅井長政』、『蜂須賀小六正勝』は正にそうしたものです。ぶっきらぼうとも思えそうなぎりぎりのところで描く小気味よい文章からは、色や音、空気までが伝わってきます。そうして歴史に埋もれ今に伝わらなくなってしまった、武将たちの気性や思考様式までをも鮮やかに浮かび上がらせ、通説に真っ向から挑んでくるのです。

浅井長政は信長の義弟でありながら、なぜ反旗を翻し浅倉方についたのか。蜂須賀小六は、単なる夜盗の棟梁なのか、秀吉と共にどう生きたのか。このニ書は互いに独立したものですが、同時期に発刊されることの意味は少なくないものがあるでしょう。信長を軸に絡まる人間関係、思惑、感情。是非並行して読んでいただきたいと思います。恩と情と理の相克や“血”のジレンマ・アイロニーが渦巻く時代を、現代から少し離れたところから、彼らにほんの少し近づいたところから、感じ取ることができると思います。ここでは敢えて、それらの詳しい内容には触れないことにしようと思います。皆さんの新鮮な感性を先に曇らせてしまわないように。

次に、星亮一さんの既刊書をご紹介しておきます。

1990年/中公新書/敗者の維新史 会津藩士荒川勝茂の日記
1995年/中公新書/奥羽越列藩同盟 東日本政府樹立の夢
1996
年/成美文庫/会津白虎隊 物語と史跡をたずねて
1997
年/PHP文庫/山中鹿之助 毛利に挑んだ不屈の武将
1997
年/成美堂出版/河井継之助

1997年/成美文庫/松平容保
1998
年/廣済堂文庫/会津農兵隊始末記
1998
年/角川選書/平太の戊辰戦争 少年兵が見た会津藩の落日
1998
年/PHP文庫/山口多聞 空母「飛龍」に殉じた果断の提督
1998
年/中公文庫/京都守護職 会津藩の光と陰

1998年/成美文庫/二本松少年隊 物語と史跡をたずねて
1998
年/集英社/会津残照譜
1999
年/成美文庫/小栗上野介 物語と史蹟をたずねて
1999
年/PHP/伊藤整一 戦艦「大和」に殉じた至誠の提督
1999
年/PHP文庫/ジョン万次郎 日本を開国に導いた陰の主役

1999年/光人社/天風の海 会津海将 出羽重遠の生涯
2000
年/PHP文庫/淵田美津雄 真珠湾攻撃を成功させた名指揮官
2000
年/光人社/満州歴史街道 まぼろしの国を訪ねて
2000
年/中公文庫/最後の幕臣 小栗上野介
2001
年/光人社/沈黙の提督 海将 東郷平八郎伝

2001年/廣済堂出版/旗巻峠の密書 伊達戦記仙台戊辰始末
2001
年/成美文庫/河井継之助
2001
年/ちくま新書/よみなおし戊辰戦争 幕末の東西対立

2001年/光人社/黄河歴史街道

国際情報専攻 情野瑞穂