「Nobuko's Summer Dedication」


人間科学専攻 塩澤順子

著者紹介:
「河嶋ゼミ3期生の塩澤順子です。順子と書いて『のぶこ』と読みます。この変わった読み方は、祖母がつけました。現在は、バリバリの専業主婦です。家族は夫と3人(小3娘・小1息子・年中息子)の子供がいます。社会人の経験は出産退職するまで、某銀行につとめていました。出産というイベントは生活の一部に過ぎないと妊娠するまでは思っていましたが、実のところ片手間というわけにはいかないということを身をもって経験しました。」
 

 今年の夏休みは、おかげさまでサラリーマンの夫は出張続きで夏期休暇が取れず、私は日々の生活に翻弄されレポートが遅々として進まないので、家に籠ろうと思っていました。しかし、それを許してくれないのが、我が家の3人のちびっこギャングたち。旅行に連れて行けとは言わないものの、やれプールに連れて行け(実は、この原稿もプールサイドで書いています)、やれ花火をやらせろ、公園に連れて行け、と要求はエスカレートするばかり。それだけなら許せるのですが、夏休みの宿題や一学期の授業内容の復習なるものを横目で見つつ三度の食事の用意と2度のおやつタイム。一体、どこの誰が主婦は三食昼寝付でやめられない暇な身分といったのだろうと、私のフラストレーションのボルテージは今夏の気温並に急上昇。ああ、秋が待ち遠しい。

 大体、私が子供の頃は熱中症になるから外に出てはいけないとテレビの天気予報や母親が言うわけでなく、公園に一人で遊びに行けないほど物騒でもなかったのに。

 愚痴っても仕方ないので、幼稚園児の息子の外遊びは小学生の娘任せにせず、後ろから付かず離れず付いていく。ああ、これが夫だったら久し振りに手でもつなぐのに。おかげさまで、日焼け止めの甲斐もなく、顔中しみだらけ。週末に久し振りに夫に会ったら、「10年前の君のつるつるの顔が懐かしい。」としみじみと言われる始末。

 そんな中でも、子供たちとの生活の中に楽しみを見出すのが今の私に許される唯一の贅沢なのです。まずは、夏祭り。特に、子ども会の夏祭りは興奮もの(こんなもので興奮できるのかって)。近頃はヒヨコや金魚すくいはありません。動物愛護だそうです。そういえば、6年前にお祭りで買った金魚も一夜にして天国に召されました(ああ合掌)。今年はNHKの朝の連ドラの「ちゅらさん」でスーパーボールが出てきて、子供たちもそれが欲しかったようで、「スーパーボールすくい」に夢中でした。今も子供たちの部屋でゴロゴロしています。ところで、小1の息子はこの夏祭りに友達のM君と行きました。小学校に入ってできた息子にとっては初の親友のようです。でも、残念なことにM君は8月一杯で遠くに引っ越してしまいます。息子は一応お別れすることをわかっているようですが、初めての友人との別れをどのように迎えるのか、母親としてはドキドキの心境です(息子よ強く生きるのよ!)。

 そして、今年の我が家の最大の話題といえば、この小1の息子がサマーキャンプに参加したこと(初めての一人でのお泊り)です。息子は車に乗るとすぐにゲロゲロ、しょっちゅう鼻血ブーで身体弱いねんといった感じ(でも、母親の私が言うのも何ですが、甘いマスクで放っておけないタイプなのです)。おねしょも内心心配していたのです。23日の奥多摩秋川キャンプ。東京地方は大気が不安定で田園都市線の変電所に落雷があった日に息子は出かけました(ああ、嵐の予感)。ところが、2日後、日焼けして男になった息子が帰ってきました。見違えるほどにたくましくなって、母親としては嬉しい反面、ちょっぴり寂しかったりして、複雑な気持ちです。夫に話すと、「会社でもあるさ。地位は人をつくるってこと。それでもどうにもならないやつもいるけどね。」とクールな返事。虫も掴めなかったのに、今では平気。おねしょもなくなり、めでたし、めでたし。

 こう書いてくると何だかめでたくないのは私だけみたい。折角入った大学院なのにペーパーが書けず焦る日々。夫には、「タモリみたいに学歴に大学院中退なんてカッコいいじゃない。」とからかわれる始末。くやしい、だけど書けない。神様、いるなら出てきてといつもは無神論者の私もにわかに信心深くなる今日この頃です。