「−I have a Dream−」





国際情報専攻
村上恒夫

今から40年前、一人の若き指導者が米国に誕生した。当時の米国は、不況、人種問題など多くの課題を抱えていた。人々は若い彼に、米国の未来を託したのだ。彼こそは米国第三十五代大統領、ジョン・F・ケネディーである。

彼は、その就任中に世界を原爆戦争の悪夢から回避するなど、重要な世界史の一部を構成した。そして、その死までもがあまりにも悲劇的、そしてミステリアスなため、今でも人々の話題になる。しかし、これらの事件を差し引いても彼が行った「ニューフロンティア政策」が、多くの米国人を勇気づけたことには間違いないだろう。「ニューフロンティア政策」は多くの点で、その昔行われた「ニューデイール政策」と似ている。「ニューディール政策」の延長線上に位置するのだろう。しかし、決定的に違う点は「ニューフロンティア政策」が長期的な展望をもった政策、これからの米国の設計図だった点ではないだろうか。米国人はこれを見て、米国の輝ける将来に夢を馳せたのだ。

そして、夢の実現には人々の力を必要とした。彼の有名な就任演説の一節からも理解できる。And so, my fellow Americans: ask not what your country can do for you--ask what you can do for your country.」(Inaugural Address  JANUARY 20.1961)。 当時は日本でもこの言葉が、「会社が君に何をしてくれるのかを問うのではなく、君が会社に何をするかを問いたまえ。」のように、各所で使用され流行したそうだ。

彼は国民に希望を持たせた指導者だ。「月へ人類を送り込む」と言われれば、彼に夢中になるに決まっている。彼の演説は歌にもなっている。一国の指導者の演説が歌になるど考えられるだろうか。彼は間違いなく国民に愛された指導者なのだ。

ここまで書いてきて思った。最近どこかの国でこれに近い盛り上がりがあるではないか。そう、この日本なのだ。「8割を越す支持率」、「米百表の精神」、「痛みをともなう聖域無き構造改革」などなど。足りないのは「月へ人類を送り込む」と言う夢だ。この大不況のど真ん中であり、公共事業の大削減が火急の事案である。しかし、このような現代だからこそ、夢を持とうではないか。一国の指導者の行動が、外国からの圧力で左右される国。一国の教科書の内容を外国から圧力がかかる国。このような国に夢は無い。無いならば我々の手で作ろうではないか。宇宙開発、宇宙開発と連呼すると、空想家と言われる。酷いときには、新興宗教の信者(ハルマゲドンの信奉者)とも間違えられもする。人は、「現実は。。。。現実は。。。。」と言う。
「現実」、それは、避けて通れないもの。冷酷なまでの事実。ならば冷静に頭を働かせようではないか。イギリスの理論物理学者ホーキング博士が「人類は今後1000年以内に災害か地球温暖化のために、滅亡する。」(「ホーキング博士の警告」 毎日新聞2000.10.29
 少なくと太陽が消滅するのは避けて通れない物理化学的な現象である。将来の事実−「太陽系そのものが消滅する」。こんな現実的な問題があるのに、「夢想家の無責任な主張だ」と言う言葉で片付けて良い問題なのだろうか。「必ずやってくる現実的な問題を解決する方策を考えず、現実、現実と言いながら、結局進歩がない」。いったいどちらが夢想家なのだろうか?

 人類だけが、この地球上の生物を助けることができる唯一の種なのだ。それに貢献する一歩を日本も確実に築こうではないか。

提案−日本のこれからの国家目標−「火星に日の丸を立てよう」。その昔、ソ連に宇宙開発の先を越されたアメリカは、新しい大統領を迎えた。その名を「J.F.ケネディー」、新しいタイプの大統領。彼は宇宙開発を積極的に行い、アメリカ人を月に送り込んだ。

 今こそ日本も奮い立とう。新しい国家目標は、バルチック艦隊、203高地、朝鮮、満州などではない。新しい希望の大陸、まさしくニューフロンティア、宇宙へ行こう!
そして、その一歩は火星に日の丸を立てることから始めようではないか。

 

本文中、ケネディー大統領就任演説の抜粋は以下から、20018月に転用しました。

Inaugural Address, January 20, 1961  

John Fitzgerald Kennedy Library - Columbia Point - Boston, Massachusetts 02125

http://www.cs.umb.edu/jfklibrary/index.htm#TOP

 

題名「I have a Dream」は公民権運動に生涯を捧げた、マーチン・ルーサ・キング牧師の演説から引用いたしました。