国際情報専攻 立石佳代

中国にとって望ましき米国

「中国は米国の関与を望んでいない」

 中国は、米国の冷戦構造終結後の一極支配構造を警戒し、米国がアジアでの影響力を強めていることに懸念を抱いている。

このところ、米国と中国との間では、「人権問題」「台湾問題」などをめぐって、対立する場面がある。これは、米国のアジアでの影響力を強めようとする政策や関与から摩擦が生じていると考えられる。

米国は中国の人権問題改善を要求するが、中国では、まず、人民の生存権を保障するための経済発展を実現し、その達成によって経済・社会・文化の権利を段階的に改善していくつもりである。米国こそ、人権侵害を理由に発展途上国の政治に干渉し、思い通りにならないと援助を減らすと脅す「人権外交」を展開しているではないか。さらに、米国の台湾統一妨害は、内政干渉であるといえる。

このように考えると、米国の関与は、人権批判や内政干渉とも受け取れる。友好関係を築くためには、行過ぎた関与は無用だ。


米国にとって望ましき中国

「米中関係の発展へ向けて」

中国は経済発展によって、国際的な立場を強めている。米国は、世界平和と安全に影響を与える米中関係の発展と、中国の国際協調に期待している。

1997年にアジア経済危機が発生し、アジアの経済が下降した。なかでも日本経済はバブル崩壊以降低迷が続いている。だが、中国だけは昨今の世界経済の中では、めざましい発展を遂げている。国際的な経済活動も活発化し、WTO(世界貿易機関)加盟への合意に至った。これは、国際社会への協調姿勢である。

その一方で、中国経済の発展に対して、人権問題の改善が遅れていることを指摘したい。米国は天安門事件以降、改善を求めてきたが、残念ながら、今なお、市民の社会・政治的な権利、さらに少数民族問題や宗教信仰の自由など人権全般について、中国当局は著しく制限を加えている。早急な改善を望む。

今後も米中関係の発展に向けて、中国の人権問題改善と経済発展を支援していきたい。