国際情報専攻 木裕之

中国にとって望ましき米国

「アジアの大国の威信」

 中国は人権問題や台湾問題に介入してくる米国を快く思ってはいないであろう。中国は古代よりアジア諸国に多大な影響を与え続けてきた国であり、中国は地理的にも文化的にもアジアの中心に位置していると考えている。ゆえに建国二百年程度の米国にさし図されることは威信がゆるさないであろう。

 しかし、遅々として進まない先進化を果たすには、先進諸国の持つ先進技術、莫大な資金を必要としている。開放政策の一環としての、海外企業の中国誘致、合弁会社の設立などはいい例である。とりわけ、米国の持つ技術、資金を欲しているように思える。米国企業も巨大な利益を生み出すであろう中国市場をにらんで進出してくるであろう。ここに両者の思惑の一致がみられる。

 よって、中国が望んでいる米国とは、米国が企業を進出させる一方で、国内問題とされることについては口出しをしてこないという姿であろう。


米国にとって望ましき中国

「国際社会の一員として」

 今後、米国と中国は経済的つながりをますます深めていくことであろう。自由主義国の盟主を自負する米国は社会主義国に対して、経済的支援の条件として経済の自由化、国民の人権の保護などを訴えてきた。中国に対してもそうしてきた。しかし、現在の中国は共産党のもと、ある程度の統制がとれていて、経済活動も自由化されつつある。だが、一方で知的所有権の侵害や偽ブランド品の製造を行うなど、問題となる部分も多い。

 世界一の人口を抱える中国が消費大国となれば、経済先進国にとって莫大な利益をもたらす。ならば、米国企業の中国進出を後押ししてやった方が、米国の国益になると考えているであろう。米国が中国に望む姿は、体制に対してというものではなく、米国企業が進出しやすい環境の整備、ビジネスのグローバル・スタンダードの遵守といったものであり、

中国が国際社会の中で共通の認識をもつ国になるというものであろう。