国際情報専攻 中村知司

中国にとって望ましき米国

「真のグローバリゼーションを」

米国はグローバリゼーションの名の下に、中国をはじめ世界の国々に対して様々な要求をつきつける。例えば、人権問題である。これは、あくまで米国の民主主義や生活水準などの価値観を基準とした話であり、誤った認識と言わざるを得ない。国によって経済・社会の発展段階や価値観は異なる。中国は、複雑な国内事情に配慮しながら改革開放を進めている。米国は、全てを自国の価値観で断定せず、各国の事情をよく勘案する姿勢を望みたい。

一方で、米国は世界第一の温暖化ガス排出国であるにもかかわらず、京都議定書への調印に反対している。しかもその主な理由は、自国の産業保護である。環境問題は正にグローバルな問題である。このような重要な問題に関して自国の都合のみを優先することは、グローバリゼーションの観点から考えて如何かと思われる。

米国は、自国の価値観に偏せず、各国の事情を考慮し、真のグローバリゼーションの推進役を果たすことを望みたい。


米国にとって望ましき中国

「大国としての意識を」

中国は広大な国土に13億の人口を有する。経済的には90年代を通して毎年10%近い高成長を遂げるなど、文字通り世界の「大国」である。なかでも、輸出産業の発展は著しく、輸出総額は最近10年間で3.5倍以上伸びて2000年には2492億ドル(前年比27.8%増)に達している。

しかし、中国の企業の中には模倣商品を生産する企業も多い。世界に流通する偽物商品の27%が中国産との調査結果もある。これは、正当な権利である知的財産権の重大な侵害である。また、国際機関からの再三にわたる勧告にもかかわらず、劣悪な作業環境で不当に安い賃金で労働者を酷使する企業も多い。このような形で産業の競争力を確保して行くことが続けば、国際貿易のルールを大きく揺るがしかねない。

前述通り、中国は既に世界的な大国の域に達している。今年中にも、世界貿易機関(WTO)加盟することはほぼ確実となった。この機会に、中国は大国としての意識を持ち世界のルールに則って行動することを望みたい。