国際情報専攻 宮内伸一

中国にとって望ましき米国

「お家の問題に口を挟むな!」

中米関係における最も核心的な、最も敏感な事は台湾問題である。中米間の三つの共同コミュニケは、「両国関係を健全に、安定して発展させる基礎である。」と中国人民日報で報じられている。ここ二十余年来、米国は一つの中国の政策を堅持すると約束し、米中国交樹立後、両国関係の発展および台湾情勢の相対的安定などの利益をもたらしている。しかしその反面で米国は、台湾に先進的な兵器と軍事装備を売却している。米議会は、「台湾安全保障強化法案」で、さらに台湾を戦域ミサイル防衛システムに組み入れようとしている。これは、中国への内政干渉であり、中国の安全保証には、重大な脅威であると感じている。

中国政府は、「台湾人民は我々と血の繋がりをもつ同胞である。」と論じている。経済的に成功した台湾の統合は、中国が資本主義社会へ進出する為には、手っ取り早い同胞である。つまり、米国は、「お家の問題に口を挟むな」ということである。したがって、米国の必用な介入を排し、中国の早急な近代化を推し進めたい。と望んでいるのではないでしょうか。


米国にとって望ましき中国

「鈴をつけて席上に!」

米国にとって、中国とは、敵国であり、戦略上のパートナーとして、輸出向けの広大な市場として、過去40年間を通じて、経済や軍事等の面で非常な関心と脅威を抱いている。

中国市場のWTOへの参加は、近代の資本主義社会をリードする米国にとって、巨大市場であるが、逆に考えれば既存の秩序を崩し、軍事的バランスも脅威となるでしょう。

両国の関係は、天安門事件を経て貿易重視の関係へと推移し,軍事的には中国包囲網を築きながらも、経済的には、中国での投資や販売を増やし、米国企業を支援している。敵視と友好関係の両方を維持するという、複雑な外交を展開している。

米国の対中国外交は、繁栄を築いた民主主義体制を崩壊させる危険性を含み今後、さらに強大な国になったとき米国を出し抜いて、世界的に影響力が拡大し、現状の体制崩壊を招く危険性を孕んでいる。

したがって、米国にとって中国は、「草原の子虎」のようなもので、その首に鈴をつけ、急激な市場開放に突き進む中国に対して、包括的に規制し、その影響力を抑制して、世界ルールの席上に繋ぎたいと望んでいるのではないでしょうか。